誰もが当たり前のように使うSNS。だからこそ、自分でも気が付かないうちに、SNSで周囲の人を困らせたり怒らせたりしていることも。
「褒めたつもりが、相手の気分を害してしまった…」「笑顔スタンプを送ったのに、嫌みと受け取られた…」「自分の投稿に、なぜか反応をもらえない…」「友達申請をしたら、関係が悪化した…」「良かれと思った投稿で、なぜか炎上してしまった…」
こうしたことにはすべて理由があります。そのためにもSNSという「問題」の公式を知り、きちんと使いこなすことが不可欠です。テレビ、ネットでの解説で大人気の著者が、確実に仕事でもプライベートでも役立つSNSの使い方をお伝えします。
『若者はLINEに「。」をつけない 大人のためのSNS講義』連載第16回
『あなたの投稿、誰に見られてますか?…世代で変わるSNSの「当たり前」とそこに潜むリスクとは』より続く。
意図しない不特定多数が見るという怖さ
「お父さんって酔っ払うとこんななんだ。かっこ悪い」
「いつも偉そうなくせに、お母さんだってこんなことしてる」
子どもがネットやSNSを検索するようになり、SNSに投稿していたプライベートな投稿や写真を子どもに見られてしまったということは、よく話題となります。
SNSへの投稿は、自分が想定する相手しか見ないと思って投稿してしまいがちですが、実際はほとんどの投稿が誰からでも見られてしまいます。
LINEのグループ投稿や、鍵をかけたアカウントでの投稿など以外は、検索対象にもなり、意図しない人が見ることも多く、その中には見られたくない人も交じっていることがあります。
自分の投稿が知らないうちに見られている
知り合ったばかりの人を、何気なくネットやSNS上で検索したことがある人も多いでしょう。興味がある人を検索するのは、いまや当たり前の行為であり、たとえつながっていなくても、SNS上の投稿は知らないうちに見られていると思ったほうがいいのです。
職場の愚痴を書いたり、クライアントの悪口を書いたりすると、その人たちが見て、内容から自分たちのことだとわかってしまうこともあります。
匿名で所属などを隠して利用しても、知っている人が見れば、誰が書いているのか簡単に推測できてしまうものです。
特に教員や医療関係者などの場合、SNS投稿で炎上したり、問題になることが少なくありません。どちらも倫理観を求められる職業であり、誰にとっても自分事となりやすいためでしょう。
SNS上の投稿が罪に問われることも
2024年12月、鹿児島県教育委員会は、20代の小学校教諭が担任する児童の日記やテストを撮影し、SNSに投稿したとして、減給1ヵ月の懲戒処分としました。教諭はほかにも、授業風景や集合写真を私物のスマホで撮影し、個人や内容が判別できる状態で、閲覧者を限定して投稿していました。画像や動画には、児童をからかうような不適切な文言も記載していたといいます。県の懲戒指針には、投稿を禁止する条項は特にありませんでした。
2025年1月には、X上で千葉大学医学部附属病院の看護師と思われる人物が、「インシデントおきても普通に隠蔽してしまう」とか、「(薬は)飲ませるの面倒だからいつも飲ませたフリをしてこっそり捨ててる」などの不適切な投稿をして話題になりました(調査は2025年3月現在続行中)。同2月、「刑法犯に該当する行為をした」として、千葉大学は人格権を侵害した投稿主を懲戒解雇処分としました。
SNS上の投稿は、前述の通り、炎上状態となることがあります。
その結果、自分の勤務先の名前に泥を塗るだけでなく、内容によっては罪に問われたり、減給処分となったり、解雇されてしまうことさえあるのです。
『承認欲求の暴走から斎藤知事に「公選法違反」疑い…SNS戦略をバラした“広報女子”がすべきだったこと』へ続く。