「ママ友」ワードはいつから使われ始めた?
子どもを持つママにとって、ママ友との関係は、大きなウェイトを占めるものだ。SNSで「ママ友」と検索すると、「友より、同志と呼ぶほうがふさわしい」「子育ての大変な時期を乗り切るにはなくてはならない存在」などと拠り所にする声がある一方で、トラブルに遭っただとか、ひどいママ友がいたなどの辛いエピソードもたくさん出てくる。
東京未来大学こども心理学部の「子育て期における友人関係の葛藤」の研究によると、ママ友とは、子どもを介した関係であるために、トラブルが生じた場合に「距離をとる」のが難しく、ママたちはそれぞれに異なる背景があっても、子どもを通して強い同調性が求められるため、対人関係に葛藤が生じやすいという。
ところで、ママ友という言葉はいつから使われ出したのか。
読売テレビの報道局専門部長や「現代用語の基礎知識」執筆委員を務めた道浦俊彦さんのブログに「読売新聞の記事データベースには、1995年(平成7年)に『公園デビュー』、1999年(平成11年)には『ママ友』という言葉が登場した」という引用文が出ていた。東京・文京区の名門幼稚園のママ友どうしのトラブルから殺人事件にまで発展した「お受験殺人事件」もまた、「ママ友」の登場した頃に重なる。
『ママ友がこわい 子どもが同学年という小さな絶望』(野原広子著 / KADOKAWA)の漫画とともに、ママ友との関係を考える短期連載の第7話では、かつて仲良しだったママ友から無視をされ、今では幼稚園の夏祭りに用意する紙コップの色さえ訊けなくなってしまった、32歳の主婦サキのつらい境遇をお伝えする。
子育て中のママたちが抱えるそれぞれの事情と、地味に、けれども着実に心を蝕んでいく悪意を描いた本書は、2015年の出版以降、現在まで「リアルすぎる」などとSNSで話題になっており、記事を公開するごとに多くの声が投稿されている。
一緒にいると楽しくてたまらなかったのに
一人娘のミイとサラリーマンの夫と暮らすサキは、ママ友のリエに無視されている。リエはミイが幼稚園に通い始めた頃に、初めてできたサキのママ友だった。
リエの娘ののちゃんとミイは仲良しで、リエとサキは幼稚園の帰りに公園に寄ったり、お休みの日は一緒にバーベキューをしたり。サキはリエと一緒にいると楽しくて仕方がなかった。
だがふたりの関係は、娘たちが年中に上がる頃、変わった。
「リエちゃん」「サキちゃん」と呼び合っていた関係は、「久保田さん」「田中さん」と他人行儀な呼び方になり、リエはあてつけのようにサキを無視し、意地悪を言う。
そんなリエの態度にビクビクして過ごす自分に嫌気がさすサキなのだが、一方で、楽しかった日々を忘れることもできない。
◇リエの態度に苛立つ一方で、楽しかった思い出を捨てきれないサキ。「一緒にいて、楽しかった」日々は、もう戻ってこないのか。ふたりの間に、いったい何があったのだろう。
次の第8話「『幼稚園のおゆうぎ会で…32歳主婦が「仲良しだった」ママ友から無視される「兆候」」で、その一端が見え始める。