【虎ファン納得】阪神・佐藤輝明が「令和のホームラン王」になるために…レジェンド・岡田彰布からの「アドバイス」

本塁打数で首位を快走する姿は、去年までとは一味違う。何が変わったのか、プロや恩師が多角的に分析。勝利に向かって振り抜け、輝明！

前編記事『【阪神タイガース】佐藤輝明が本塁打王＆打点トップ！今季ついに覚醒した「納得の理由」』より続く

甲子園は予選の初戦コールド負け

さらにフィールディングも改善しているという。

「一番驚いたのは、守備です。以前は適当にグラブを出していたのが、いまはボールに対して下からスーッと拾いに行く。打球を足で取るイメージになりました。

昨年までは、本人にそんな気はないんだろうけど、雑に見えてしまうところがありました。でも、今季は精度の高いバッティングや守備を志しているように見えます」（岡氏）

才能ひしめくプロ野球界にあって、佐藤輝明は野球エリートではない。兵庫県西宮市にある仁川学院高校野球部出身で、甲子園には出場できなかった。高校3年生の夏の大会では、地区予選の初戦でコールド負けを喫した。

同校野球部部長の中尾和光氏が振り返る。

「高校2年の春から、桁外れの長打力でした。性格もマイペースで、本人は高校の頃からプロに行くつもりだったそうです。授業中、居眠りをしていた佐藤に、その教科の先生が『野球で食っていけるわけじゃないから、勉強しとけよ』と言ったそうです。すると、寝起きの佐藤が『僕はプロになります』と答えたそうです。根拠はないけど、プロになる自信はあったんだと思います。

そうはいっても初戦負けですから、プロどころか、大学野球部のセレクションにも引っかからなかった。本人が『近大（近畿大学）に入部を聞いてもらえませんか』と言ってきたので、人づてに近大の田中秀昌監督を紹介してもらって、特別にセレクションを受けさせてもらったんです」

当時の監督である田中氏が話を引き継ぐ。

「ワンスイングを見て、『これはプロやな』と思いました。スイングスピードがめちゃくちゃ速く、プロに行けると確信しました。ただ、大学の野球部も推薦で入るとなると、実績が必要なんです。仁川学院は1回戦負けですから、プロのスカウトに推薦状を書いてもらうなどして、短大から入ってもらい、後に4年制に編入してもらったわけです」

「トリプルスリー」も狙える

佐藤輝明は関西学生リーグで14本塁打を放ち、近大の先輩、二岡智宏・現巨人ヘッドコーチの記録を更新する大活躍を見せた。

田中氏は今季、教え子にこんな記録を期待する。

「飛距離もさることながら、足も速いところが佐藤の非凡なところです。50mを6秒フラットくらいで走っていましたから。あの体型で、打てて守れて走れるという選手を、私は初めて見ました。プロに入ってからあまり見せていませんが、盗塁を真剣にやったらずいぶんと行けると思います。打率3割30本塁打30盗塁のトリプルスリーも、あの脚力だったら可能です」

高校時代のチームメイトで、現在、社会人アメフトチーム、パナソニックインパルスでワイドレシーバーを務める桑田理介氏もエールを送る。

「僕は関西大学でアメフト部に入ったのですが、近大でのテルの活躍はとても刺激になりました。パナソニックに内定が決まった後の秋に、テルが4球団から指名されて、やっぱりすごいな、と。’23年に阪神が日本一になったことも刺激になり、僕たちも’25年1月にライスボウルで勝って、日本一に。今年は連覇が目標ですし、阪神にも優勝してほしいです。お互いに日本一になれたらいいですね」