トランプ“大混乱”相場に明るい兆し!
トランプ政権による関税への警戒感で株式市場の混乱は継続しているが、4月初旬の最悪期と比較すればやや明るい兆しが見え始めてきたように感じられる。
このように海外の要因によって市場は大きく振り回される。それ以前は、外需系の銘柄の過熱感によって、内需ディフェンシブ株に注目が集まる傾向があった。
しかし、今回の市場の混乱により、新たに外需系景気敏感株への投資も一考する余地が生まれている。
さて、トランプ大統領は、これまでは一方的に関税の強化を押し付けてきたが、最近になって自動車関税の一部や対中関税を減免する意向を示し始めるなど、世界各国と全面的に敵対していた一時期に比べて態度が軟化し始めていると解釈してもいいかもしれない。それとともに、株式市場も世界的に底値からの反転傾向が継続している。
その一方で、トランプ氏の発言やSNSでの発信などは「朝令暮改」と揶揄されるように、これまでの議論が一夜にしてひっくり返る可能性は依然として低くない。というより、そういったリスクを常に警戒しておくことは、現在の不透明な市場環境で安定的な投資リターンを得るために必要不可決であるといっていいだろう。
その意味で、筆者はこれまで貿易問題が落ち着きを見せるまでは、小売や情報通信に代表される内需系の業種やディフェンシブ性の高い業種への投資を繰り返し推奨してきた。
「外需・景気敏感株」の逆襲
実際に、年初来の外需・景気敏感系の業種と内需・ディフェンシブ系の業種の指数の平均騰落率の推移を観察すると、現状では内需・ディフェンシブ系の業種の方がパフォーマンスは優位な状態となっている。
図:年初来の外需・景気敏感業種と内需・ディフェンシブ業種の平均株価
しかしながら、足元の市場全体の反転によって両者の格差は縮小を見せ始めており、外需・景気敏感系の業種および銘柄の逆襲劇が始まったかのような動きが見られ始めている。
一般論として、市場がリスクオンの環境に突入した場合、グローバル製造業や資源などがけん引する外需・景気敏感系の業種は強い上昇を見せることが多いことで知られている。それまでの経済の不透明感によって売られ続けた需給環境が一気に逆流するためだ。
無論、内需系の業種も市場全体が上昇すれば連れ高する可能性は高い。安定感を重視するのであれば、今後も内需系の優良銘柄を主軸とした投資アイデアやポートフォリオを構築していくべきだろう。他方、この景気敏感業種の強いリバーサルの期待を無視して放置するのも、もどかしさが拭えない。
とはいえ、依然としてトランプ氏の一挙手一投足に振り回されるリスクは決して低くないことは前述の通りだ。
リスクはあるか…?「外需・景気敏感株」の実力
そこで、今回は、引き続き内需株によるリスク回避への備えがすでにあることを前提として、反射的に大きな上昇を見せる可能性のある外需・景気敏感業種に属する銘柄について、可能なかぎり投資リスクを低減する要素を加えることによって、彼らとの良好な付き合い方を探っていくことを目的としたい。
具体的に付与する定量要素は、個人投資家が愛してやまない「配当利回り」である。高配当利回りの銘柄は、業績の変動に比して大きく数字が変化しにくい特性を持つ配当に焦点を当てた指標であることや、そもそもこれまでに売られて配当利回りが高騰しているケースが多いこと、そして強固な逆張り主体である個人投資家が下落時に買いを入れる可能性が高いことなどが複合的に作用し、一般的に荒れ相場で底堅さを発揮しやすいことで知られている。
実際に、過去数年程度で高配当利回り株のパフォーマンスはそもそも良好であったが、今年の年始からの混乱相場でもその投資効果は堅調な状態を維持していることが分かる。
以下は、TOPIX構成銘柄について、配当利回りの上位下位25%点で銘柄を高配当利回り群、低配当利回り群に分類し、月次の平均騰落率(対TOPIX)を累積したものである。
予想配当利回りは、12ヵ月先のコンセンサス予想値を使用している。
図:TOPIX構成銘柄 配当利回りの投資効果
これを踏まえれば、現在のような乱高下を見せるリスクの高い市場環境下でもさらに相対的にリスクの大きい外需・景気敏感株について、底堅さの特性を有する高配当利回りの要素を付与することは、リスクヘッジの観点での相性がいいといえなくもない。
そこで、外需・景気敏感銘柄に対する配当利回りの適用方法と実際の効果、そして最終的な銘柄の選定について考えてみたい。
つづく後編記事『【日本株】トランプ大混乱相場を乗り切る「ウラワザ」はこれだ…!「配当利回り×配当成長率」が織りなす「珠玉の22銘柄」を一挙公開する!』でじっくりとお伝えしていこう。