前編記事でお伝えしたように、世界のエグゼクティブ層の平均退社時刻は「17時11分」……。なぜ彼らは早々に帰れるのか。決定的な違いは、退社の直前ではなく「毎朝」にあった。世界のエリート層の72%が実践し、一般層はわずか18%だという習慣を『世界の一流は「平日」の夜に何をしているのか』の著者で、元マイクロソフト役員の越川慎司氏が明かす。
前編記事を読む→世界の一流の退社時刻は「17時11分」…元マイクロソフト役員が明かす”優秀な人ほど早く帰る”現実
決定的な違いは「毎朝の習慣」にある
いったいなぜ、彼らは早々に退社することができるのでしょうか。
世界のエグゼクティブとそれ以外の人を分ける決定的な違いは、毎朝の習慣にあります。
世界のエグゼクティブは、その日の業務の終了時間を、朝のうちに自分で決めているのです。
弊社が2025年7月から2026年4月にかけて欧米およびアジアのエグゼクティブを対象に実施した調査では、世界のエリート層の72%が「朝のうちにその日の業務を終える時間を決めている」と回答しました。
対して、同様の習慣を持っている一般層はわずか18%にとどまっています。
「今日はここまで」と境界線を引く
1日の終わりをあらかじめ設定することは、単なるスケジュール管理の技術を意味するのではありません。
この習慣の本質は、自分自身に対して「今日の業務はここまでだ」という境界線を明確に引けるかどうかにあります。
私がこの「境界線を引く」という考え方を最初に学んだのは、ワシントン州レドモンドのマイクロソフト本社に勤務していた2005年ごろのことです。
当時の上司はオーストラリア人で、無口ながらもひと言に重みがあるタイプでした。
ある日の夕方、私が資料の修正を続けていたところ、通りかかった彼は足を止めずに「仕事は終わらせるものではない。切り上げるものだ」と言い、そのまま荷物をまとめてエレベーターへ消えていきました。
「戦略的な中断」が生産性を上げる
私はその言葉の真意をすぐには理解できませんでした。
しかし、その後の数か月間、彼が毎日17時台に席を立つ姿を観察するうちに、私の考えは変わっていきました。
彼の仕事の質は、早く切り上げることで低下するどころか、高い水準を維持していました。
さらに、翌朝の判断スピードにおいては、周囲の誰よりも秀でていたのです。
「切り上げる」という行為は、決して仕事を途中で放り出す無責任な行動ではありません。
それは、翌日の生産性を最大限に引き上げるための、戦略的な中断を意味していました。
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越川慎司
株式会社クロスリバー代表取締役。国内外の通信会社に勤務した後、2005年にマイクロソフト米国本社に入社。業務執行役員として事業責任者などを歴任する。2017年に株式会社クロスリバーを設立。世界各地に分散したメンバーが週休3日・リモートワーク・複業(専業禁止)をしながら800社以上の働き方改革を支援。オンライン講演・講座は年間300件以上、受講者満足度は平均96%。PIVOTなどメディア出演多数。Voicy「トップ5%社員の習慣ラジオ」が好評放送中。著書多数、最新刊は『世界の一流は「平日」の夜に何をしているのか』(クロスメディア・パブリッシング)。