4月から放送していた春クールドラマはどれも苦戦を強いられた――。
最大の衝撃は、堤真一が主演を務めた日曜劇場『GIFT』(TBS系)の全話平均世帯視聴率が7.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)で1ケタ台に撃沈したことだ。
また、高視聴率が期待された『未解決の女 警視庁文書捜査官 Season3』『ボーダレス〜広域移動捜査隊〜』(ともにテレビ朝日系)、『時すでにおスシ!?』『田鎖ブラザーズ』(ともにTBS系)などもこぞって不振に終わり、テレビドラマの危機さえも感じさせた。
そんな閉塞感を吹き飛ばすべく、各局が本気を見せているのが7月からスタートしている夏クールドラマだ。タイトルの顔ぶれを見渡すだけでワクワクする作品が並んでいる。
前編記事『ドラマ関係者が「VIVANTより期待している」…豊作の「夏ドラマ」』では、『Tシャツが乾くまで』(TBS系、金曜午後10時〜)、警察ヒューマンドラマ『さよならノワール』(フジテレビ系、火曜午後9時〜)、『告白-25年目の秘密-』(日本テレビ系)と、関係者が高評価する作品を挙げていった。
本記事では、前編記事とは逆に業界関係者が今後を不安視する「面白くない」と感じた夏ドラマと、好スタートを切った『VIVANT』に死角はあるのか? をお届けする。
知性やクールさを感じないGACKTの『ブラックトリック』
ドラマや映画のレビューを行なうドラマライターのD氏は、「夏クールは豊作揃い」と前置きした上で、自身が「つまらない」と感じた作品を挙げる。
「GACKTさんが主演を務める『ブラックトリック~裁きを操る弁護人~』(フジテレビ系、月曜午後9時~)は申し訳ないのですが、すでに離脱してしまいましたね。
GACKTさんはビジュアルのインパクトは抜群ですが、法廷シーンでのセリフ回しが小声でなおかつ芝居がかりすぎていて、弁護士としての知性や冷静さを一切感じなかった」
多くのテレビドラマで脚本を手掛けるE氏も、同作を「イマイチ」と評し、その理由をこう語る。
「『ブラックトリック』は脚本家が7名並ぶライターズルーム方式を採用しています。この方式はアメリカでは一般的ですが、まだ日本では方法論が確立しておらず、話数ごとにトーンが微妙にズレたり、主人公のキャラクター像が定まっていない。
フジテレビとしては新しい試みをしたいのでしょうが、現状では裏目に出ていると思います」
視聴率圧勝の『VIVANT』に死角はあるのか?
最後に大本命と目される『VIVANT』(TBS系)についての感想も聞いた。前編記事で『Tシャツが乾くまで』を絶賛した、キー局で連続ドラマのプロデューサーを手掛けるA氏が語る。
「放送直前に総合演出を務める福澤克雄監督のパワハラ騒動が報じられたことはかなりマイナスのように感じましたが、心配無用。初回世帯視聴率18.8%を叩き出したのは、さすがの一言ですね。
とはいえ、1話(表記上は11話)は登場人物や専門用語について語られるシーンが目立ち、無理にスピーディな展開を入れ込んだように感じた。
あれでは、情報過多すぎてストーリーに没入しづらい。2話(12話)以降も同じような展開が続けば、飽きられてしまうのでは? 2クールという長い期間を乗り切れるのかは疑問です。スケールが大きくなりすぎてしまった結果、コアな視聴者以外は置き去りといった事態にならなければよいですが……」
今年の夏も記録的な猛暑が続いており、外出もままならない日が多い。そんな夏だからこそ、冷房の効いた部屋でテレビドラマをじっくり楽しむ絶好の機会でもある。
『VIVANT』の壮大なスケール感に圧倒されるもよし、『Tシャツが乾くまで』の繊細な心理描写に浸るもよし、『さよならノワール』の骨太な人間ドラマに胸を打たれるもよし。
業界人の評価だけに左右されることなく、自分だけの“推し作品”を見つけてほしい。
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