日本の美意識、ものづくりの精神を宿す木工、漆器、陶器、磁器、指物など。使って、眺めて、触れることで日常だけでなく、特別な時間もより上質にしてくれる日本のものづくりの世界をご紹介。
固定観念を捨てて新たな価値を生み出すクラフトマンシップ
中川木工芸 木桶
中川木工芸三代目・中川周士氏は滋賀県の比良工房で伝統的な桶づくりを中心に、木工技術を継承しながら革新的な作品作りも積極的に行っている。
重要無形文化財保持者の父・中川清司氏とは異なる作風で、木工芸にモダンで大胆なデザイン性を取り入れている。木桶の構造美と機能性を活かした工芸建築の創造を目指して取り組んだ「木桶の茶室」はじめ、固定観念を捨て、柔軟にものづくりを捉える力と、創造力をアップデートするクラフトマンシップで新たな価値を生み出す。
毎日使いたい革命的な日用品たち
東屋「半ティシューの匣」
国内の信頼できる手工業者と協働して、いくつもの生活のための道具を生み出している「東屋」。日々、手に取るティシューを衛生的に使うための美しい匣も然り。いつも静かにそこにあり確かに役立つ「もの」と、そんな「もの」を作り出す仕組みの創造を目指している。
すべてのプロダクトが定番商品という点にも「もの」への責任感と愛が感じられ、それは信頼感へつながっている。クラフトマンシップによって形になった感性は人の営みにそっと寄り添いながら日々の暮らしを豊かにしてくれる。
伝統を継承しつつ今の時代に合った日常の漆器
GATOMIKIO/1 我戸幹男商店 直営店
加賀市山中温泉地区でつくられる山中漆器。古くより木地師が多くいることから挽物木地の生産量で全国一を誇る。
木目模様を生かして自然の風合いを表現する山中漆器は、木が育つ方向に器の形を取る「縦木取り」によって、乾燥による歪みが出にくい堅牢な漆器が出来上がり、薄挽きや蓋物などを精巧に仕上げることが可能。
山中漆器の技を生かし、そこに現代的なエッセンスを加える「我戸幹男商店」。轆轤挽きによる同心円という制約はかえってその美を際立たせ、無駄な要素を削ぎ落とした普遍的な美やカタチへと昇華させている。
GATOMIKIO/1
我戸幹男商店 直営店(電話0761-75-7244)
漆の新たな可能性を体現した唯一無二の美しさ
西村圭功漆工房 撓めの漆器
三代・西村圭功氏は、京塗の祖である木村表斎の流れを汲み、表派の後継者といわれている。受け継いだ塗師としての技術を踏襲しながら茶道具、食器、撓め作品からアートピースまで、漆器の新たな可能性を追求し、洗練された作品を発表し続けている。
なかでも、オーダーでつくる椀類は、依頼者と打ち合わせを何度も重ねることで、その想いを叶える形に仕上げる。また、一流の料理人からは料理が引き立つと高い評価を受け注文が絶えない。工房では、木地から上塗りまで一貫して、西村圭功氏を中心とした協働的なチームで制作にあたっている。
Text:Motoko Saito