「旧三大財閥」と呼ばれる、三菱、三井、住友の各グループ。金融、商社、不動産、メーカーなど、数多くの企業を抱えているが、もっとも従業員数が多いのは意外な「あの会社」だという。『教養としての三菱・三井・住友』の著者、山川清弘氏が、「従業員数ランキング」を通じて、イメージとは異なる企業の「実力」を分析する。
「従業員数ランキング」から見えてくるもの
時価総額とは異なり、「どれだけ多くの人が働いているか」というランキングを見ると、企業のタイプや役割がよりはっきり表れます。
従業員数が多い企業とは、多様な仕事が存在し、海外を含む広い範囲で活動している企業、と言い換えることもできます。
就職や転職を考える際、「どんな規模の会社で働きたいか」「どれくらい多様なキャリアパスがあるか」といった観点で企業を見ることは重要です。このランキングは、そうした判断材料にもなるでしょう。
三菱グループでトップに立つのは、三菱UFJフィナンシャル・グループの約15.6万人。メガバンクとして全国に支店網を持ち、多数の従業員を抱えています。銀行、信託、証券、カード会社など、金融サービスの全分野をカバーしているため、従業員数も膨大です。
2位の三菱電機も約15万人と拮抗しています。海外での生産・販売体制が充実しており、グローバル企業としての規模がうかがえます。
圧倒的に多い住友電気工業の従業員数
三井グループでは、三井住友フィナンシャルグループが約12.3万人でトップ。
注目すべきは、東レ(約4.8万人)や王子ホールディングス(約3.9万人)といった素材メーカーの従業員数の多さです。これらの企業は、国内外に多数の工場を持ち、製造・研究・営業など、多様な人材を雇用しています。
住友グループ、そして3グループすべてを通じてトップに立つのが、住友電気工業の約28.8万人です。
住友電気工業の従業員数が圧倒的に多い理由は、自動車部品事業のグローバル展開にあります。世界中の自動車生産拠点に近接する形で工場を展開しており、海外での従業員数が非常に多くなっています。
2位のNEC(約10.4万人)、3位の住友商事(約8.3万人)も大所帯です。
NECは、国内外でIT・通信事業を展開しており、システムエンジニア、営業、サポート要員など、多様な職種を抱えています。住友商事は、世界中に拠点を持つ総合商社として、資源、インフラ、消費財など、あらゆる分野で人材を配置しています。
さらに、三菱グループが技術系と金融、三井グループがICT、住友グループがインフラ系といったように、それぞれの強い分野が違うことも分かります。
従業員数から会社の性質を読み解ける
従業員数を把握しておくことは、会社の実態を掴むうえで有効です。
組織が大きいほど役割や職種も多様で、キャリアの選択肢が広がりやすいと考えられます。
加えて、大規模企業は教育制度や福利厚生が整っている傾向があり、長期的に働く環境としての安心感にもつながります。従業員数に注目することで、その企業が持つスケールの大きさや成長の土台を具体的にイメージしやすくなるでしょう。
さらに、転職や取引の判断においても、自分が求める働き方や関わり方と合致しているかを見極める手がかりになります。
単なる数字ですが、会社の性質を読み解く基本的な指標として押さえておくと役立ちます。
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