相変わらず中国経済は厳しい
トランプ大統領の訪問を間近に控えた中国の経済は相変わらず低調だ。
中国政府が5月9日に発表した4月の輸出(ドル建て)は前年比14.1%増と、伸び率は3月の2.5%から加速した。中国経済の頼みの綱である輸出は好調さを維持した形だが、手放しでは喜べない。
「イラン戦争により世界的にインフレが進む」との懸念から、中国製部品を備蓄しようとする海外からの注文が殺到したことが、輸出急増の原因だったからだ。
このため、5月以降はその反動で中国の輸出は前年割れする可能性がある。
気がかりなのは、中国の製造コストが高騰していることだ。
中国南部の広東省などでは4月下旬、液化天然ガス(LNG)などの輸入価格の高騰のせいで電気料金が大幅に上昇した。
エネルギー価格の上昇は薄利多売の中国の製造業の経営をさらに圧迫する。
大手玩具店も工場を閉鎖
BBCは4月下旬、「中国の最大の製造拠点の一つである広東省仏山市の工場地帯の労働者らが崖っぷちに追い込まれている」と報じた。この地域での労働者の賃金は時給18~20元(約420~465円)と低いが、それでも工場経営が成り立たなくなっており、解雇の波が押し寄せているというわけだ。
資材価格の高騰も頭の痛い問題だ。
仏国際放送局RFIも5月3日、「中東紛争によるプラスチック価格の高騰が中国の玩具業界を直撃し、大手企業の倒産や抗議活動が続いている」と報じた。
耐衝撃性や加工性に優れることから、ブロック玩具の主要素材やプラモデルや精巧な人形の関節パーツなど、さまざまな用途で使用されるABS樹脂の価格が1トン当たり9000元(約21万円)から1万3150元(約30万円)に上昇したため、製造コストが1.5倍に跳ね上がっていることなどが要因とされる。
実際に玩具大手「華盛玩具(ワトソン・トイズ)」がコスト高から、広西にある主要4工場を閉鎖し清算手続きに入ったことが報じられている。
路上生活者の呼び名を制定
路上生活者の大量発生が危惧される中、中国政府の対応は「臭いものに蓋をする」だ。中国政府は4月下旬、「流浪乞討者(路上で物乞いなどをして暮らす人)」という呼び名を「流散人員(さまよう人)」に改める方針を示した。
これに対し、ネット上の反応は「呆れて物も言えない」だ。
製造コストの上昇は中国経済のアキレス腱である個人消費にも冷水を浴びせている。
中国政府傘下のシンクタンクによれば、3月のスマートフォンの国内出荷台数は前年比6.3%減となり、4か月連続のマイナスとなった。メモリ価格の上昇による値上げが足を引っ張った形だ。ノート型のパソコン価格も最大で50%も上昇したため、客足は激減している。
経済は一向に改善しない。後編記事『5人に1人がギグワークで食いつなぐ中国…8400万に膨れ上がったギグワーカーの不満が爆発寸前に』で見ていくように、特に苦境に立たされているのが若者たちだ。雇用難が進み失業率は約16%に及ぶとされる。正規職が不足するなかで進むのが若者たちのギグワーカー化だ。政府は対策に躍起になるが、肝心の若者たちの不満は高まるばかりだ。