私たちにとっていちばん身近な自然といえば、食卓かもしれない。野菜も果物も魚も、すべては森や海、土や水など、自然の恵みから生まれているのだから。しかし現在、気候変動や生物多様性の喪失、海洋の酸性化、森林破壊などの環境変化が、食料生産を脅かしている。ならば毎日欠かせない「食べること」を楽しみながら、森や海の環境を守る道を探せないだろうか。環境保全・再生やその応援につながる“おいしい”を紹介する。
※掲載の「買える店」「食べられる店」は、常設とは限りません。
未利用魚の利用は海洋資源の持続可能性を広げる
ここで買えます・食べられます
buy:〈ポケットマルシェ〉のサイトにて「未利用魚」で検索
日本近海では約3700種類の魚介類が獲れるが、食用として人気があるのは50種類程度。人気の魚種が過剰に漁獲されるいっぽうで、市場価値が低い未利用魚、低利用魚として廃棄されがちな魚種もある。需要がない理由は、「サイズがコストに見合わない」「出荷するのに数が足りない」「知名度が低い」など。
地域の食文化とも密接に関わってくるため、ある地域では高級でも、なじみのない他の地域では価値が低いということもある。温暖化の影響で獲れる地域が変わっている今は、北海道で獲れたブリが本州で、石川で獲れたサワラが関西で販売されるという現象も。
また消費者にとっては、「調理の仕方がわからない」という問題もある。かつては町の“魚屋さん”が、安い地魚のおいしい食べ方を教えてくれたり、料理に応じた下処理をしてくれたりしていた。しかし、大型スーパーの台頭によって対面販売が減り、それも難しくなってしまった。
漁獲量が減少している今、未利用魚の消費が増えれば、漁師の収入が増える可能性も広がる。限りある資源を有効活用し、生態系への負担を減らすためにも、ぜひ注目したいところ。見慣れない姿でも味は抜群だったりする。
そんな流通経路に乗りにくい未利用魚を購入するには、漁師から直接、魚を購入できるオンラインサービスの利用も手。〈ポケットマルシェ〉ではさまざまな漁師の出店があり、釣り上げても市場に流通しづらく廃棄されがちな魚を取り揃えている。手に入れた魚は、その名前で食べ方をネット検索してみるのがおすすめ。
また、未利用魚のなかでも、海水温の上昇によって増加したアイゴやブダイ、クロダイ、イスズミといった海藻を食べる植食性魚は、藻場減少の大きな要因ともなっている。
ここで買えます・食べられます
buy:〈丸徳水産〉オンラインショップ
eat:〈肴やえん〉(長崎県対馬市美津島町)
そこで長崎県対馬市の〈丸徳水産〉では、「食べる磯焼け対策」として「そう介プロジェクト」を開始。独特の臭みがあるイスズミ調理の研究を重ねて、メンチカツやさつま揚げといったおいしい惣菜に仕立てて販売している。
ニッスイのサステナ商品が大手ならではのインパクトを生む
水産業者大手のニッスイは、事業活動の基幹が海の恵みであることから、水産資源の持続可能性を図るためのさまざまな施策に取り組んでいる。例えば鳥取県では、県と琴浦町と連携して付近の森林5.933haを「おさかなをはぐくむ湧水と海を守る森」と名づけて保全。従業員参加型の植樹活動や下草刈りなどを毎年実施している。サーモンの養殖事業を展開している岩手県陸前高田市や、兵庫県でも森林再生事業に参加。
また、第七十八光洋丸・第八十八光洋丸が行う中西部太平洋のカツオ・キハダマグロまき網漁業では、日本船籍のまき網漁業として初めて、MSC漁業認証も取得。
海洋生物資源の減少に対して求められている養殖に関しても、「黒瀬ぶり」ブランドで天然稚魚に依存しない「完全養殖」を実現。親魚の育成から人工採卵、種苗生産、養殖までを一貫管理し、安定した品質とサステナビリティを両立している。
ここで買えます・食べられます
buy:全国量販店や鮮魚小売店にて
黒瀬ぶりはニッスイ公式オンラインショップ「海の元気倶楽部」でも販売
陸奥湾のホタテのために魚付き林を再生中
海岸や河岸などに存在する森林を「魚付き林」と呼ぶ。森林の木陰が魚の休息や産卵場所になったり、森が育んだ栄養豊富な冷たい水が川を通じて海に流れ、プランクトンを育てたり、雨水を調整して土砂の流入を防いだりする。
青森県の「陸奥湾の海と山をつなぐ植樹祭」は、湾に注ぐ川の上流である八甲田山系の山肌にブナやミズナラなどの広葉樹を植林し、海辺の自然環境を守ろうとする活動だ。地球温暖化によって陸奥湾のホタテ養殖も厳しい状況が続いているが、2010年の猛暑による養殖ホタテの大量死がきっかけで「ホタテを守る植林基金」が設立された。創設したのは、長年林業に携わる傍ら、「陸奥湾のホタテを高温から守る植樹祭実行委員会」「白神山地を守る会」「平内町ブルーツーリズム推進協議会」の3団体の代表を担ってきた永井雄人さん。地元の平内町や同町漁協、商工会などとも連携。現在も毎年6月に、平内町内童子の国有林「社会貢献の森」で植林を続けている。
ここで買えます・食べられます
buy:青森県東津軽郡平内町の〈ほたて広場〉 〈龍運丸水産〉 〈唐丸水産〉 〈アラコウ水産〉
※すべて通信販売可能
●情報は、『FRaU SDGs MOOK 森と海が教えてくれる、気持ちのいい暮らし』発売時点のものです(2025年12月)。
Illustration:Yumi Uchida Text & Edit:Shiori Fujii Cooperation:UMITO Partners
FRaU SDGs MOOK
森と海が教えてくれる、きもちのいい暮らし
▼ご購⼊はこちらから
【Amazon】
https://amzn.to/4hRLuqI
【楽天ブックス】
https://books.rakuten.co.jp/rb/18438571/
【セブンネットショッピング】
https://7net.omni7.jp/detail/1107670693
※ネット書店で売り切れの場合は、お近くの書店でお求めください。
「FRaU×SDGsプロジェクト」の 会員になりませんか?【登録受付中】
2030年のゴールに向けて多くの方に「SDGs」を知ってもらい、“ご自身にできることを見つけてほしい”“アクションにつなげてほしい”そんな願いからスタートした「FRaU×SDGsプロジェクト」。
このプロジェクトの会員の皆さまには、SDGsにまつわるさまざまな情報、今後開催予定のイベント告知、FRaU誌面やFRaUwebの企画参加のご案内などをお送りしています。FRaU主催のイベントに優先的にご参加いただくことができたり、サステナブルグッズの会員限定プレゼント企画に応募できたり、さまざまな特典もご用意。
さらにメールマガジン登録された方には、最新トピックス満載のメールマガジンを毎週配信。イベント告知などはイチ早くお届けします。年齢、性別などの条件はなく、登録も無料。ご興味のある方は、会員登録ページよりご登録をお願いします。
SDGs会員登録(無料)はこちらから▶︎
SDGs会員について詳しく知りたい方はこちら▼
https://gendai.ismedia.jp/list/special/frau_sdgs