「自炊疲れ」にもってこいの料理
ガソリン、JRの運賃に電気代の値上げ、さらにここ数年続く食品価格の上昇で、ますます苦しくなる生活費。節約を意識すれば、外食や惣菜に頼る回数は減らさないといけないし、体のためにも、ちゃんと自炊したほうがいいとはわかっているけど、手間のかかることはしたくない。
そんな「自炊疲れ」もあってか、ここ数年、注目されているのが「せいろ」料理だ。食材を切って並べて火にかけるだけ。「蒸す」ものは、野菜、肉、魚、ごはん、パン、ソーセージや練り物など何でもよく、家にあるものでもごちそうに見えるのがありがたい。シンプルな調理法ながら、栄養価が保たれ、素材のうまみを引き出し、竹素材のせいろごと食卓に出せば見栄えもいいと、一石何鳥にもなるすぐれものだ。
著者累計30万部の人気漫画家・おづまりこさんも、せいろがお気に入りのようだ。
1000円で自分を癒やす小さなセルフケアしながら、日常を楽しくする『わたしの1ヶ月1000円ごほうび』シリーズの最新刊『わたしの1ヶ月1000円ごほうび3』(おづまりこ著/KADOKAWA)では、せいろを使った食事を紹介している。
年収200万生活から生まれた「ずぼら自炊」
ときに「ずぼら自炊」と自ら語る、安価で無理のないおづさんの料理は、限られた予算の中でも「おいしい」「楽しい」を大切に、旬の食材をうまく使いながら、工夫を凝らす。
漫画家になる前の上京後、年収200万円生活を送っていた時の食生活の工夫を描いた『おひとりさまのあったか1ヶ月食費2万円生活』1~3巻や『おひとりさまのあったか1ヶ月食費2万円生活 四季の野菜レシピ』 も人気だ。
本書『わたしの1ヶ月1000円ごほうび3』より、その使い道を紹介する連載記事。第1話ではカステラをひとりじめ、第2話では芋菓子の大人買い、第3話ではいなり寿司で旅気分を再現し、第4話では喫茶店で甘いものとともに読書の時間を満喫した。さらに第5話では、冷えた手を温めるハンドバスで、手軽に「温泉気分」を味わった。
予算1000円でいろんな具材を試す
いずれも、1000円台という予算枠の中で「自分をどう喜ばせるか」を真剣に考え抜いた選択だ。選ぶときの真剣さ、味わう時(体験する時)の向き合い方に、私たちは1000円の価値に気づかされる。
第6話では、「せいろ」を使った料理を作る。といっても、せいろはすでに持っていて、「普段の料理」「いつものおかず」に使っている。今回は、家にあるものを適当に入れる「いつも」とは違って、あえて具材選びから楽しむことにした。
「予算1000円でいろんな具材を試してみよう」
そう決めたおづさんは、食材を選びにスーパーに向かう。普段なら冷蔵庫にあるもので済ませるところだが、今回は「ごほうび」。予算の中でどれだけ満足できる組み合わせができるかを考える時間もまた楽しい。
野菜好きのおづさんがまず手に取ったのは、かぼちゃとれんこん。さらに、白菜、ブロッコリー、舞茸といった野菜と豚肉。そして海老焼売!
こうして、普段よりだいぶ贅沢なラインナップが完成。これでも1食分にすると1000円にちゃんと収まる。
帰宅後は、材料を切って、せいろに並べて、火にかけて待つだけ。蒸している間に胡麻マヨとピリ辛の2種類のつけだれを用意する。
15分後――。ふたを開けると、第1弾の、かぼちゃ、舞茸、れんこん、そして豚肉が完成。旨味が全開の素材を味わい、「胃腸も喜んでいる」とおづさん。
続いて第2弾は、ブロッコリー、白菜と海老焼売。こちらはピリ辛のつけだれで楽しむ。
放り込むだけなので自炊疲れにもぴったり。なのに、なぜか「丁寧な生活」っぽく見えるのも、「せいろごはん」の人気のゆえんだろう。
こうして過ごす「せいろナイト」は、まさにおづさんらしいごほうびの形。限られた予算の中で工夫しながら、自分の体と気持ちを満たしていく。その積み重ねが、日々の暮らしを心地よく整えてくれるのだ。
本編は著者の実体験に基づくエッセイです。商品・サービス内容、価格等は変更となる場合がありますのでご了承ください。