「どんなサービスがあればうれしいですか?」「どんなことで悩んでいるのですか?」……。『空気を読むな、温度を測れ!』の著者、大條充能氏は、「分からないことはクライアントに聞く」ことを重視しているという。リクルート草創期に「リクルートのお祭り男」として注目を集めた同氏が、創業者・江副浩正氏から教わった、ビジネスパーソンにとって大事なことを明かす。
江副浩正さんから教わったこと
私はリクルート時代に「分からないことはクライアントに聞け」という姿勢を創業時の江副浩正さんから、何度も教わりました。なぜなら、本当にお客様が何を求めているのか、その“答え”はお客様自身しか持っていないからです。
だからこそ、「どんなサービスがあればうれしいですか?」とお客様に積極的に問いかけ、いただいた声をもとに改善を重ねていくことでビジネスを最適化してきました。
まだインターネットが普及していない時代、リクルートは情報誌を通じて、読者やユーザーとクライアントをつなぐマッチングサービスを提供していました。
当時は、求人情報誌『B-ing』、アルバイト情報誌『フロム・エー』、女性向け転職誌『とらばーゆ』、職人向けの『ガテン』など、さまざまな情報誌がありました。
どの情報誌にも「読者フィードバックはがき」がついており、「ここが使いにくい」「もっとこうしてほしい」といったご意見を集める工夫がなされていました。
ご意見を送ってくださった方には、ちょっとしたプレゼントをお渡しするなど、声を集める仕掛けも用意。「読者フィードバックはがき」は、それを集める具体的なツールでした。
客の声に耳をすませてニーズをつかむ
1991年、私は職人向け情報誌『ガテン』の創刊プロジェクトに関わりました。そして創刊2年目のこと。ある日、読者アンケートで印象的なはがきが届きました。
「これから長距離ドライバーになろうと思っていますが、ドライバーの車はAMラジオしかなく、FMラジオを聞けないと聞いています。FMラジオが聞ける車があればうれしいです」と書かれていました。
『ガテン』の編集部やガテンを担当している営業部のメンバーも自分たちの周りのスタッフや関係者からはさまざまな声をいただきますが、実際に転職を考えている方の本音を知る機会は、戻ってきた読者はがきくらいしかありません。
そこで編集部で運送業界の会社に確認したところ、FMラジオが聞ける車は本当に少ないことが判明。そこで「FMラジオが聞けるドライバー・聞ける仕事」という特集を組むことにしたのです。
さらに、FMラジオが聞ける車を持つ会社には積極的に求人募集をかけてもらったところ、この企画は大きな反響を呼び、多くの会社で求めていた人材を採用でき、ドライバーを目指す方とのマッチングもうまくいきました。
このように、どんな仕事の現場でも、そこで働いている人、一人ひとりのニーズは見えにくいものです。だからこそ、お客様が本当に何を求めているのか、日ごろから注意深く感じ取ることが大切です。
常にお客様の声に耳をすませ、そのニーズをしっかりキャッチしていくこと。そして、その声に合わせてサービスや情報を柔軟に変えていく。これが、お客様にぴったり合う提案につながります。
「オフィス移転」で生まれる意外なニーズ
私はゼロインを立ち上げてからも、同じような工夫を続けています。
例えばオフィス移転を担当すると、総務部門とオフィス家具メーカーや引っ越し会社の間に、どちらも担当しない「空白の仕事」がいくつも見つかることがありました。
例を挙げると、什器の配置を示すナンバリング図面づくりや、その番号に合わせて荷物を箱詰めし、正しく番号を振る作業などです。これらは総務も引っ越し会社もやってくれません。部門のメンバー全員で協力して完成させる必要がありました。
このような「空白の仕事」がいくつもある中で納期を守り、全員がきちんと作業を終えるためには、誰かが中心となって皆をまとめることが不可欠です。
さらに現場では「どうしたらミスが減るか」「一人ひとりが気持ちよく動けるか」と、みんなで知恵をしぼりながら進めていかないといけません。
そこでゼロインでは、こうしたお悩みに応えるため「オフィス移転部門タスクプロジェクトマネジメントサービス」と名づけた業務支援を、今では標準的なサービスとして提供しています。
「クライアントに聞く」という勇気を持つ
また、ゼロインの社員をお客様のオフィスに派遣して行うビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)サービスというサービスでは、通常3名以上のゼロインのスタッフが現場に常駐し、チームで業務を引き受けます。これは単なる人材派遣ではなく、お客様の業務そのものを丸ごと運営する「業務請負」という形で行っています。
また、お客様の中には「1名が週に2回来てくれるだけで十分」というご相談もあります。しかし一般的な派遣会社が行うBPOサービスでは、週2回だけ派遣するというサービスには対応できないことが多いのです。
そこでゼロインではゼロインから週2回だけ総務のプロが伺い、必要な業務をしっかり引き受けて帰る「0.5人工業務請負サービス」というサービスも行うようになりました。
さらに、BPOサービスを提供するだけでなく、「自分たちで業務を効率よく進めたい」というお客様には、総務部門の自律化をサポートするコンサルティングも実施。
例えば、業務を標準化し、誰が担当しても安定して運営できるようにするためのマニュアルづくりや、部門全体で目指す姿はどういうものなのかを一緒に考えるのをお手伝いしたりします。
このようなコンサルティングを「総務自律化支援サービス」と呼んでいます。
このようなさまざまなサービスが生まれたのも、「分からないことがあればお客様にしっかり聞こう」というリクルート時代に私が身につけた姿勢が、今のゼロイン社員の間にも根づいているからだと思っています。
みなさんも、わからないことがあった時は、ぜひ「クライアントに聞く」という勇気を持ってみてください。それが信頼関係を築き、より良いサービスや仕事につながるはずです。
聞くことは恥ずかしいことじゃないんだぜ!
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