まずは「法定相続情報一覧図」を作成しよう
妻を、夫を、あるいは老親やきょうだいといった肉親を亡くした悲しみと憔悴の中、膨大な手続きをこなすのは本当に苦しい。
さらに、必要な書類をなんとか集めても、いざ記入しようとしたら「見慣れない専門用語ばかり」「細かな条件が多く、書き方がよくわからない」とパニックに陥ってしまう。そこで重要になるのが、手続きで共通して使える必須書類の知識と、その書き方だ。
ここでは、「これさえ押さえればOK」という必須書類の記入例を丁寧に確認していこう。
多くの手続きで必要になる書類の代表格は、故人や遺族の戸籍謄本だ。コピーが認められず、手続きのたびにいちいち役所に請求すると手間もおカネもかかる。
そこで役に立つのが法定相続情報証明制度だ。前章でも述べたように、この制度を使うと、故人と相続人(財産などを引き継ぐ人)に関する情報を1枚にまとめた「法定相続情報一覧図の写し」(以下、一覧図の写し)が手に入る。一覧図の写しは、故人の出生から死亡まですべての戸(除)籍謄本と相続人の戸籍謄本、さらに住民票の代わりにもなる。
これによって、手続きのたびに戸籍謄本を取得する必要がなくなる。一覧図の写しが使える手続きは下のように多数あるため、生前に一覧図を仮作成し、死後の早い段階で手続きを始めたいところだ。
・銀行口座の解約
・有価証券の名義変更
・未支給年金/給付金の請求
・遺族年金の請求
・相続税の申告
・自動車の名義変更
・不動産の相続登記
申出書の書き方、注意点をおさえる
さらに一覧図の写しは、希望すれば無料で必要な分だけ交付してもらえる。
このしくみを利用するには、原本となる法定相続情報一覧図を作る必要がある。法定相続人が確定し、故人と相続人の戸籍謄本を集めたら、それをもとに故人と相続人全員の関係を書こう(前頁を参照)。一覧図の見本と申出書は、最寄りの法務局の窓口でもらえるほか、法務局のホームページからダウンロードもできる。
一覧図を書くとき、相続人の住所を記載するかどうかは任意。ただし記載しておけば、相続登記などの手続きをする際に、相続人の住所を証明する住民票が不要になるから、なるべく書いたほうがいい。
申出書の書き方について、株式会社夢相続の代表取締役で相続実務士の曽根恵子氏が解説する。
「相続人の中から1人の申出人を決めて『申出人』と記入しましょう。申し出ができるのは相続人か、相続人から委任された代理人のみであることに気をつけてください。
もし、追加で一覧図の写しが必要になった場合は、5年以内であれば再交付してもらえます。ただし、再交付を受けられるのは初めに申し出をした申出人だけ。他の相続人が再交付を受けるには、当初の申出人の委任状が必要です」
書類提出後、1週間ほどで一覧図の写しが交付、戸(除)籍謄本なども返却される。
死後の手続きで必須となる書類は他にもある。つづく【後編記事】『「申請ミスで即罰則も」絶対に忘れてはいけない死後の手続き【必須書類】完全図解…これだけ覚えればOKです』で解説していく。
「週刊現代」2026年3月16日号より