最も捨てられている食材
値上がりを続ける食費が生活コストを圧迫する一方で、2022年の世界の食品廃棄は推計で約10.5億トン。1人あたり年間132kgを捨てている計算となる(「Food Waste Index Report 2024」より)。
ハウス食品グループが「食品ロス」について、定期的に会員に実施しているアンケートでは、月に1~2回以上食品や食材を捨ててしまっていると答えた人の割合は、2021年9月59.1%、2022年5月でも56.5%で、最も捨てられているものは、キャベツ、きゅうり、もやし、レタス、食パンがワースト5だった。
野菜は鮮度が短く、冷蔵庫でもかさばるため、おいしく使い切るにはコツがいる。
そんな「コツ」を教えてくれるのが、先月2月20日に発売された『わたし思いの自炊ごはん ひとりの料理を楽しむヒント』(こてらみや著/家の光協会)だ。
タイトルに、「ひとりの料理を楽しむヒント」とあるように、こてらさんはひとり暮らしだ。2年前に食べることが大好きだった夫を亡くし、いっときは料理へのモチベーションが下がった。料理家といえども、料理が億劫に感じることもしばしばあったという。そんな時、こてらさんの空腹を満たしたのが、野菜の漬物だ。食欲がわかず、何をつくっていいか思いつかない日も、大好きなお酒とお漬けもので始めると、しばらくすると、「ぐぅ~」とお腹が鳴って動き出すという。
切って塩でもむだけの漬けもの
「漬けもの」と言っても、「けっして大そうなものではなく、ざくざく切って塩でもむだけ、お酢に漬けるだけ」、それをポリ袋に入れれば、カサも減って、冷蔵庫の中もすっきり。
そのうえこうした「野菜の塩漬け」は、「下味つきでうまみを含んだカット野菜として使える」のだ。
物価高の昨今でも、値段が安定しているキャベツや小松菜は、塩でもめば、1週間ほどで乳酸発酵が始まる。酸味とうまみが増して、時間が「漬物」にしてくれるうえに、1ヵ月くらいはおいしくいただける。
酢漬けの玉ねぎは、辛みがとれてまろやかになり、作ったその日よりも、数日後のほうがおいしいくらいだ。こちらも10日間くらいは、キープできる。
余り野菜が「劣化していく食材」ではなく、いつでも使えて、放置もできる「仕込み野菜」に変わると、冷蔵庫を開けるたびに感じていた「早く使わなければ」というプレッシャーがなくなる。この安堵感は、日々台所に立つ人にしかわからないだろう。
ひとり分の料理の億劫さを小さくし、残り野菜のプレッシャーをなくしてくれる3種の「野菜の漬けもの」の作り方を、本書『わたし思いの自炊ごはん ひとりの料理を楽しむヒント』より紹介する。
手間は切るだけ。漬けもの3種
キャベツの塩漬け
材料(作りやすい分量)
キャベツ 500g(1/2個)
塩 10g(キャベツの重量の2%)
作り方
1 キャベツは芯を除いて1cm幅に切る。
2 ボウルに1と塩を入れ、底から混ぜて塩を全体になじませ、しんなりするまで20分ほどおく。
3 汁ごとポリ袋に入れ、押さえつけるようにして空気を抜いて口を閉じ、ときどき軽くもむ。1~2時間後から食べられる。使うたびに空気を抜いて口を閉じ、冷蔵庫で保存する。
*1週間ほどで乳酸発酵が始まり、酸味とうまみが増す。1か月を目安に食べきる。
玉ねぎの酢漬け
材料(作りやすい分量)
玉ねぎ 300g(1個)
塩 4.5g(玉ねぎの重量1.5%)
酢 45g(玉ねぎの重量の15%)
作り方
1 玉ねぎは縦半分に切り、縦薄切りにする。
2 ボウルに1と塩を入れ、底から混ぜて塩を全体になじませ、10分ほどおく。
3 酢を加えて全体になじませ、保存容器に入れる。翌日から食べられる。使うたびに上下を返すように混ぜ、表面を平らに整えて冷蔵庫で保存する。
*10日ほどで食べきる。
こてらさんの一番のお気に入り漬けもの
小松菜の塩漬け
材料(作りやすい分量)
小松菜 300g(1束)
塩 6g(小松菜の重量の2%)
作り方
1 小松菜は根を切り落として5cm長さに切り、根元の土をきれいに洗い流す。
2 ポリ袋に1と塩を入れ、袋をふって塩を全体になじませ、しんなりするまでおく。
3 押さえつけるようにして空気を抜いて口を閉じ、軽くもむ。1~2時間後から食べられる。使うたびに空気を抜いて口を閉じ、冷蔵庫で保存する。
*1週間ほどで乳酸発酵が始まり、酸味とうまみが増す。1か月を目安に食べきる。
◇いつでも食べられる漬けものにご飯と汁物。ひとりご飯なら十分だ。なんなら冷凍ご飯をチンして、お茶と漬けものでもいいくらいだ。だが、そこで終わらせないのが、さすが料理家である。
第2話「冷蔵庫に『塩漬け』『酢漬け』野菜があればお腹が空いてもすぐにごはんが完成。ひとりごはんを助ける『おかず貯金』」では、冷蔵庫に仕込んだ漬けものに、ほんの1工程足すだけで、酒に合うつまみやご飯が進むおかずに変身させるワザをお伝えする。