お手頃な価格でセンスのいいインテリアが揃う。IKEAは魅力的な場所です。ベッドにテーブルに椅子、食器に調理道具…… さらにはおもちゃや食品まで、実に幅広いアイテムが揃うIKEAはまた、「必要なかったかも?」というものまで買ってしまう“魔”の場所でもあります。
そこで、インテリアのプロで、4月15日には『照明と家具からはじめる北欧インテリア』が刊行となる行正り香さんが「失敗しない」IKEAの回り方を教えてくれました。
何も考えずにIKEAの入り口をくぐってはいけない
「IKEAは楽しい場所です。けれど同時に、『気づいたらカゴがいっぱい』『家に持ち帰ったら、なぜかチグハグ』という声もよく聞きます。その原因の多くは、考えずに歩き始めてしまうこと。ほとんどのIKEA店舗は広く、情報量が多いからこそ、入店前の準備が大切です。
家のインテリアを揃えようと思ってIKEAを訪れるとき、まず最初に考えていただきたいのは、スタイルを絞ること。IKEAには、モダン、ファームハウス、トラディショナル、ナチュラルなど、いくつものスタイルが共存しています。どれも魅力的ですが、『この路線でいく』『今日の目的はこのスタイルのこれ』と絞るだけで目に入る情報が整理され、判断がぐっと楽になります。できればお店に行く前に、IKEAのサイトを見て、あたりをつけておきましょう。
そして、迷ったアイテムがわが家になじむかどうか、判断するにあたって大事になってくるのがご自宅の写真です。必ず写真に撮っておいていただきたいのが家の“壁と床”、そして“建具”。
壁と床の素材と色は何か、ドアは何色か、ドアノブはシルバーか。この要素を無視すると、いざ家具を置いてみたときに『お店では素敵だったのになんだか合わない……』ということになりかねません。
①素材、②色、③サイズ。入店前にメモしておくべき3大要素
さらに、部屋のサイズは必ず数字で記録しておきます。幅・奥行き・通路の余白を頭に入れておくと、『入るかどうか』ではなく『収まるかどうか』で判断できるようになります。できれば、買いたいアイテムの”色”もお店に行く前に、ある程度あたりをつけておくことをおすすめします。
ベースは何色にしたいのか。同系色でまとめたいのか、それとも色を組み合わせたいのか。どんな色に囲まれて過ごしたいのかーーそんなことを意識してからお店に入ってください。その下準備がないと、たくさんの情報が目に飛び込んできて決断できません。
ここまでの準備ができたら、いよいよ売り場へGO! です。そして、お店に行ってからの”回る順番”も意外と重要です。まずは大物から決めましょう。ソファやダイニングテーブルを購入するなら、まずはそれらの売り場に直行。空間の印象を決める家具を最初に選びます。
「セールだから」で買うのは失敗のもと。セールでなくてもほしいか?で考える
次に見るのは絨毯やラグです。これらは床を覆い、空間のトーンを大きく左右します。ソファやテーブルとの相性、部屋のサイズ感を意識して選びましょう。ここが決まると、色のコーディネートがほぼ固まります。
そこからちょっと行ったり来たりしながら、大きな面積の家具に合うカーテンや照明を選びます。これらも想像以上に空間の印象を変えます。特に照明は、『どんなスタイルの照明の下で時間を過ごしたいか』を基準に決めていきます(私は一番先に照明を選ぶこともあります) 。
最後に、クッションや器、グラス、観葉植物などの小物を選びます。このとき、ぜひ心に留めておいてほしいのが、『セールだから買う』のは絶対禁止ということ。手頃さは魅力ですが、それだけを理由に選ぶと、家に帰った瞬間に違和感が生まれてしまいます。
迷ったときの判断の基準はひとつだけ。『今日決めたスタイルと色はわが家に合っているか?』ーーそれだけです。IKEAはすばらしいインテリアショップですが、一度に全部買う場所ではありません。今日は見送ってもいい。むしろ、その余白があるほうが家は整っていきます。
スタイルを絞り、色のトーンを決め、壁に床、建具を思い出し、サイズを数字で記録し、お店に入ったら大物から順番に見るーーこの流れを意識するだけで、IKEAは驚くほど巡りやすく、必要なものだけを買えるようになります。
文/行正り香
撮影/富野かりん
「働く」の前に「暮らす」が大事。北欧インテリアの決定版
『照明と家具からはじめる北欧インテリア』
☑︎ インテリアは照明で完成する
☑︎ 「家具からインテリアを考える」発想
☑︎ 北欧で人気の「Japandi(ジャパンディ)」とは
☑︎ “自分価値”のあるアイテムの選び方
北欧の国々のインテリアが素敵な理由と幸福度が高い理由は同じ。それは、「仕事」の前に「暮らし」が大事な人々だから。元デンマーク観光大使の著者が現地の最新実例から読み解く、いま北欧インテリアを取り入れたい人が知っておきたい基本の1冊です。
行正り香/ゆきまさりか
料理家、インテリアデザイナー。福岡県出身。UCバークレー卒業。デンマーク親善大使に選ばれるなど、北欧のインテリアに造詣が深く、インテリアコーディネーターやリフォームプランナーとして多数の家作りに携わる。30冊を超える料理本のほか、家作りに関する著書『行正り香のインテリア』『行正り香の家作り』もロングセラーとなっている。探求学習・英語スピーキング学習教材「なるほど! エージェント」の開発も手掛ける。2023年、東京国立博物館のアンバサダーに就任。館内のレストラン・カフェの照明ディレクションもサポート。