イランへの攻撃直後に「石川入り」
高市早苗首相が2月28日に石川県入りしたことが批判を招いている。石川県では、3月8日に知事選挙の投開票が実施される予定で、高市氏は現職の馳浩氏を応援するために現地入りした。2月28日といえば、米国とイスラエルがイランに対して軍事攻撃を開始した日でもある。つまり高市氏は、イランへの攻撃開始が判明した後に石川入りを決行したのだ。
現在イランには約200人の邦人が残っているとされており、中東で戦端が開かれた中での選挙応援は危機管理上、問題だと一部野党は批判を強めた。
高市氏自身も訪問先の金沢市で「イランで大変なことが起きている。それで飛行機に乗るかどうかだいぶ迷った」と石川入りを逡巡したことを認めたが、そうまでして選挙応援を強行したのはなぜか。
永田町関係者は、こう話す。
「馳氏は国会議員時代に、自民党総裁選で高市氏の推薦人になったことがある。今回の石川県知事選は保守分裂選挙で、馳氏は前・金沢市長の山野之義氏と接戦になっており、高市氏との近さをアピールしてテコ入れを図ったもようだ。
知事選に現職の総理大臣が応援に入るのは異例だが、高市氏が石川入りしたのは、馳氏がかつて高市氏の推薦人を務めたからだけではない。石川県知事選は、自民党が大勝した衆院選後、初の大型地方選挙。高市氏にとっては落とせない選挙になっている。
というのも、高市氏は衆院選こそ“高市旋風”で大勝したものの、自身が首相になって以降、地方選挙は苦戦続きだった。『高市人気と自民党に支持が戻ってきているかは別問題』と言われ続けてきたのもこのためで、高市氏は衆院選後初の大型地方選挙である石川県知事選を勝利して、自身の政権基盤をより強固にしたいのだろう」
大本命は「沖縄県知事選」
高市氏が見据えているのは、石川県知事選の「その先」だ。
衆院選を除けば、2026年に実施される大型選挙といえば沖縄県知事選だ。高市氏としては12年ぶりとなる保守系の沖縄県知事を誕生させたいところだ。
大手紙政治部記者は、高市氏の石川入りの狙いをこう解説する。
「本人が演説で『迷った』と言っているぐらいですから、本当に行くかどうか迷ったのでしょう。首相が知事選の応援に行くだけでも異例なのに、週明けから衆院予算委員会を控え、さらに米・イスラエルによるイラン攻撃が始まった直後という状況ですから、批判は免れないでしょう。
それだけ高市氏が石川県知事選を重視していたともいえ、同知事選は沖縄県知事選の前哨戦となっています。
首相は演説でイラン情勢について『かなり前からさまざまな動きをみながら、イランにお住まいの邦人の皆さまに国外へ退避してもらう対応を続けてきた』『危機管理、万全の体制を取っていく』と強調し、木原稔官房長官も『出張したこと自体に問題があったとは考えていない』と述べていますが、今の高市氏をいさめられる人はいないでしょう」
もっとも肝心の石川県知事選の情勢は、馳氏と山野氏が横一線で拮抗しているという。馳氏には自民・維新両党が推薦を出す一方、山野氏は国民民主党県連から支持を取りつけた。勝敗の鍵を握るのは票田の金沢市をどちらが制すかで、高市氏が2月28日に金沢に入ったのもこのためだ。
一方、“迷った”末の石川入りには一定のリスクも伴いそうだ。馳氏が選挙戦をものにすれば高市氏にとっては衆院選に続く連勝となって弾みがつくが、馳氏が敗れれば高市政権にけちがつきかねない。
石川県知事選の結果は高市氏が長期政権を築いていけるかの一つのバロメーターになるかもしれない。
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