日本相撲協会が事情聴取
「『いつか重大な問題を起こしてしまうのではないか』と心配していましたが、これほど早く自らの過ちで師匠としての経歴を汚すことになるとは……」
こう声を落とすのは、ある角界関係者だ。
元横綱・照ノ富士の伊勢ヶ濱親方(34歳)が、弟子の幕内・伯乃富士(22歳)への暴力行為をめぐり、日本相撲協会の事情聴取を受けていたことが2月27日、わかった。
「どうやら伊勢ヶ濱親方がトラブルを起こしたようだ」
相撲担当記者らの間で不穏な情報が飛び交ったのは、2月24日午前のことだ。エディオンアリーナ大阪で開催される春場所の新番付発表があったこの日、本来なら宿舎のある大阪にいるはずの伊勢ヶ濱親方が、東京・両国の国技館に姿を現したのだ。
「本来、伊勢ヶ濱親方は新小結に昇進した熱海富士の会見に同席する予定でした。ところが急遽、熱海富士単独の会見に変更された。不思議に思っていたところ、伯乃富士とのトラブルをめぐり、コンプライアンス委員会の聴取を受けるために緊急帰京したことが判明したのです」(相撲担当記者)
現時点では暴力行為に至った経緯など詳細は明らかにされていないが、伊勢ヶ濱親方は協会に自ら報告したという。
申告を受け、協会は当事者の伊勢ヶ濱親方と伯乃富士、さらに現場に居合わせた幕内・錦富士も証人として聴取した。
角界入りをめぐる「因縁」
翌2月25日、十両以上の関取で構成される力士会が大阪市内で開催されたが、伯乃富士の姿はなかった。
「『怪我の治療のため』という理由で欠席。現在、伊勢ヶ濱親方は大阪の部屋で指導していますが、伯乃富士は東京に残っており、姿を見せていません。『グーで殴られた』との話もあり、伯乃富士の顔はかなり腫れ上がっているともいわれています」(前出・記者)
伊勢ヶ濱親方は弟子らに対し、「責任は自分にある」と反省の弁を述べたというが、部屋内部には動揺が広がっている。背景には、この二人の「浅からぬ因縁」を指摘する声もある。
「伯乃富士は、元横綱・白鵬が師匠を務めていた旧宮城野部屋から移籍してきた力士の一人。じつは、二人には鳥取城北高校の先輩後輩という間柄以上の『感情的なしこり』がありました。かつて現役時代の伊勢ヶ濱親方が『うちの部屋に来いよ』と伯乃富士を勧誘した際、彼は憧れの白鵬がいる宮城野部屋を選び、誘いを断った経緯があるのです。これを根に持った現役時代の伊勢ヶ濱親方が『対戦したときは覚悟しておけ』と伯乃富士に言い放ったという話は有名です。
酒席で酔った伯乃富士が女性に絡み、怒った伊勢ヶ濱親方が暴行を加えたともいわれていますが、もともと微妙な関係性だっただけに、『いったい何があったのか』と注目されています」(前出・角界関係者)
目に余る「独断専行」
伊勢ヶ濱親方は昨年6月、先代(元横綱・旭富士で、現・宮城野親方)の定年に伴い部屋を継承。1月31日には盛大な断髪式を行ったばかりだった。
「もともと近寄りがたいタイプでしたが、怪我で番付を大きく下げた時期は、すっかり謙虚になり『苦労して人間が変わった』と評価されていた。だが、一人横綱になり、さらに師匠になると独断専行が目立つようになった。1万5000円のツアー料金で外国人観光客を土俵に上げ、現役力士と『対戦』させるなど、伝統を軽視するような行為もあり、『指導者として大丈夫か』と危惧されていた矢先のことでした」(同前)
今後については、協会のコンプライアンス委員会が処分案をまとめ、理事会で協議される見通しだ。
「令和のいま、いかなる理由があろうとも手を出せば100%殴った側が悪い。処遇について降格などが取り沙汰されているが、厳罰があってもおかしくない。近年、協会は暴力に極めて厳しく、暴力問題を起こした日馬富士や貴ノ岩、北青鵬らは事実上の追放となりました。自ら報告したことが情状酌量の余地となるか。いずれにしても、師匠としての資質が厳しく問われています」(同前)
協会の判断に注目が集まる。
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