近年、スーパー業界に大きな変革が起きている。いわゆる大手の定番スーパー以外に、地方の有力スーパーが全国規模で続々と進出しており、どれも個性的で掘り出し物も多い、との噂。都内近郊も例外ではない。
都内住みのライターが、“スーパー巡りが趣味”というママ友に誘われて出かけてみると、今まで噂でしか知らなかったスーパーは、それぞれ目新しい特性があり、見たことのない食材にも出会えた。普段の『三度の食事のための義務感としての買い物』の枠を超え、ちょっとしたイベント感覚を味わうことができて大満足だった。
今回は、新店舗が続々とオープンしているという西東京周辺のスーパーを前後編でお届けする。前編では、11月29日オープンしたばかりの『生鮮市場TOP! 東久留米店』(東京・東久留米市)、六本木や虎ノ門にも支店を出した『福島屋 本店』(東京・羽村市)をルポする。スーパーに行く機会が増える年末年始、少しでも参考になれば幸いだ。
※原稿内に出てくる価格は一定ではありません。取材時の価格です。また、撮影は購入後に別の場所で行っています。
スーパー巡りは西東京がアツい⁉
「物価高で、スーパーに行っても何でもかんでも値上がりしていて、買い物が全然楽しくないんだよね……」と息子の小中学校の同級生のママ友・MさんにLINEで愚痴をこぼすと、「うちの近所は、激安スーパーラッシュでめっちゃ楽しいよー!」と返答が。数年前に東京郊外の小平市に戸建てを購入したMさん。「都心にはまだ進出していないスーパーもあるから、1日かけて都下のスーパー巡りしない!?」と思わぬお誘いがきた。
「生活圏には、『ヤオコー』『いなげや』『OKストア』とかもあるんだけど、今、このあたりで熱いのは、ともにオープンしたばかりの『生鮮市場TOP!』 と『トライアル西友』。両親の病院の付き添いや介護で、立川やその先の東京西部の奥の方に行くと、都心では見かけないスーパーがいろいろあってびっくり。『コストコ』的な日本のスーパーとか、オーガニックなものが揃うおしゃれ系のスーパーとか、私の推しのスーパーも紹介したいし」
よし乗った! いったいどんなスーパーがあるのか、そそられる食材があるのか、リサーチしてみよう!
オープンしたばかりの『生鮮市場TOP! 東久留米店』
Mさんの車に乗せてもらい、まず向かったのは『生鮮市場TOP! 東久留米店』。『生鮮市場TOP!』は、以前からお惣菜に定評があり全国スーパーの「お弁当・お惣菜大賞」でも常連入賞のマミーマートが運営する、生鮮食品を強化したディフュージョンライン(セカンドライン)らしい。関東中心に展開し、店舗数は埼玉がもっとも多い。ここ東久留米店は11月29日に開店したばかりで、駐車場はほぼ満杯だった。
お店に入っていきなり目に飛び込んできたのは、「ブロッコリー 99円」のポップ。うちの近所では198円が相場でときに280円以上にもなるブロッコリーが99円! 房も大きく持つとずっしり重く緑も濃い。こんなに新鮮なのに、この値段!? と迷わずカゴに入れた。同じくブロッコリーをゲットしたMさんは、すぐさまあたりを見回し「えー、焼き芋も1本99円! 安い~」と大喜び。「普通の焼き芋よりひと回り小ぶりだけど、1度で食べきるにはちょうどいいサイズ。この大きさを待ってたの!」と間髪入れずカゴにイン。
野菜や果物はどれも安くて新鮮で、手当たり次第にカゴに放り込みそうになるのを我慢。なにしろこれからスーパーをはしごするのだ。ここで焦ってはならない、と自分に言い聞かせる。
魚コーナーには、ブーメラン状のマグロの刺身用・切り身(『ロピア』『トライアル西友』でも売られていた)を発見。1つで大トロ・中トロ・赤身をバランスよく楽しめるらしい。こちらも、後ろ髪を引かれたが、スーパー巡りはまだまだ続くので今日はパスするしかない……。それにしても、刺身、寿司のバリエーションが多い。鮮度の良さがわかるエッジが立ったネタにうっとり。「小平市内に『マミーマート』もあってよく行くんだけど、鮮魚売り場の大きさは一般的。でも、ここは売り場面積も広いし、扱っている種類も豊富。お寿司はデパ地下的な美しさだよね」とMさんもうっとりしている……。
隣の精肉コーナーへ移動すると、Mさんは「国産若鶏皮なしムネスライス・焼肉用」を購入。「この間購入して、お鍋に入れたらすごく柔らかくておいしかった。鶏肉は調理に気を遣うからカットしてあるのはとても便利」と再び熱弁。肉のパックは、大家族サイズだけでなく単身者サイズもある。レバーなど鮮度が命なものもカットした部分の角が立っていてなかなかよい。
そして、評判のお惣菜コーナーへ。お惣菜のおいしさで定評のあるマミーマート傘下というだけあって、いやがおうにも期待が高まる。Mさんによれば「お弁当・お惣菜大賞12年連続受賞のマミーマートの商品も『生鮮市場TOP!』で購入可能」とのこと。普通のスーパーのお惣菜売り場の3~5倍は広く、お弁当やお惣菜がずらりと並んでいる。
どのお弁当もお買い得なのに、ひとつひとつのおかずのクオリティが高く、箸休め的なお漬物やキンピラまでおいしそう。私はMさんイチオシの「国産鶏仕様の柔らか鶏天ぷら」と「イタリア産トリュフ香る卵サンドイッチ」を購入。鶏天ぷらは家族で奪い合って食べて一瞬で食卓から消えた。サンドイッチはコンビニの卵サンドとほぼ同じ価格で、トリュフが入ってボリュームも満点! Mさん情報によると、夕方だけでなく、午後帯になると20%値引きなどのタグも付くものもあり、半額まで値引きされることもあるという。定価でもお買い得感があるのに、ここからさらに値引きとは……!
アークヒルズにも入ったこだわりの『福島屋』
次に向かったのは、羽村市にある『福島屋 本店』。「ここは郊外の少し高級なスーパーって感じだったんだけど、六本木のアークヒルズや虎ノ門ヒルズにも入っているんだよ」とは、Mさんの解説。小平市からは少し距離があるが、Mさんが実家に帰る途中に本店があるという。店舗はさほど広くないものの、普通のスーパーではあまり見かけない商品が並び、オーガニックなものも多い。
野菜にはそれぞれ生産者の名前が入っていて、産直コーナーとか、自然食品店風。「ちょっとお高めだけど、味が濃くてしっかり身が詰まった感じ。きのこ類が豊富で、葉野菜も鮮度がいいからなのか購入後もすぐにヘタらない。香りがいいルッコラはリピ買い中」(Mさん)
私が驚いたのは、お肉。とにかく美しい。以前の取材で知った個体識別番号から牛肉の品質を判定するアプリでチェックしたら、なんと5点満点で4.9点の鹿児島産牛肉のランプステーキ用肉を発見! ここまで高ポイントの牛肉は、今まで見たことがなく、Mさんとふたりで超盛り上がった。
他の肉の品質もMさんお墨付きで、彼女がとくに好きなのが「岩手県産 豚ヒキ肉 2度挽」。細かく挽いているので、口当たりがよく、そぼろを作ると細かくて上品に仕上がるのだとか。
「お肉は、豚肉は岩手県の館ケ森高原の生産者さんのものらしくて、ひき肉も含めて、バラしゃぶとかも脂に臭みがなくておいしい。おいしいお肉食べたいってときには、母の用事を済ませてから福島屋詣でしているの」とMさん。
さらに、パン好きでもあるMさんの推しは、「全粒粉の食パン」。福島屋に行ったら必ず買うという。「全粒粉のパンなのに、もちもちしていて、焼かなくてもおいしい。パンはクロワッサンもカンパーニュもオススメ。安いわけではないけど、おいしいものを食べたいと思ったらココは外せないかも」というのがMさんの福島屋評。
私はまだ食べていないが福島屋オリジナルのマヨネーズに期待大。「さすがに羽村は遠いだろう……」と思う方もいるかもしれないが、羽村の『福島屋』の近くには、8月末に『生鮮市場TOP! 羽村店』も出来て、車で15分も走れば、『ジョイフル本田 瑞穂』内に巨大な『ジャパンミート』もある。人気スーパーのホットスポットエリアなので、スーパー巡りとしてプランをたてれば楽しめるはずだ。
さらに、この取材後、Mさんは、仕事の帰りに六本木の『福島屋』にも立ち寄ってみたという。「価格は、本店と変わらず、2度挽の豚ヒキ肉もステーキ肉も値ごろ感があった。さらに、ディスカウントコーナーがあって、めちゃくちゃ大振りの食べごろのアボカドが半額になっていて3つで554円! 即買いしました。今夜はタコス料理作ります!」とLINEが来た。私も都心の『福島屋』に行ってみようと思った。
後編『フーコット、トライアル西友…西東京の激安スーパーは本当に安いのか潜入ルポ』では、人気スーパー『ヤオコー』のセカンドラインの『フーコット』(東京・昭島市)と都内初で話題の『トライアル西友』(東京・小平市)の様子をレポートする。