これはバブルに違いない。気の早い人はそう囁き始めた。だが、金融緩和が続く限り、株高は続くという識者も多い。問題はこの相場がいつ終わるか、だ。
前編記事『資産バブルか、通過点か…日経平均5万円超え「高市トレード」にみる「恍惚と不安」』より続く。
米国経済は二極化が進行中
さらに不安に拍車をかけるのが、米国経済の先行きだ。AIブームの震源として株高に沸くが、実体経済では二極化がさらに進んでいるという。
在米ジャーナリストの岩田太郎氏が現地の様子を語る。
「バイデン時代より緩やかにはなりましたが、インフレが落ち着きません。年収10万ドル以上の高所得者の賃上げペースは物価上昇率を上回っていますが、中間層や低所得者層の賃上げは物価上昇率に追いつかない。その結果、格差はどんどん開いていきます。
トランプ大統領は物価を下げると宣言したものの、実際はそうなっていません。直近の支持率が43%まで下落しましたが、トランプ支持者であれ、民主党支持者であれ、みんな約束が違うじゃないかと怒っているのだと思います」
「ゴキブリが1匹いたら、他にもいる」
物価高対策には中央銀行が利上げをするのが金融政策のセオリーだ。しかし、米国は景気対策を優先して、前述のように利下げに踏み切った。そのため、米国のインフレは長期化するおそれがある。
ミリタス・フィナンシャル・コンサルティング代表の田渕直也氏が指摘する。
「米国の労働者層のほとんどは生活が苦しく、これが消費の足かせとなって不況を招くおそれがあります。9月にサブプライム(低所得者)向けの自動車ローン会社が破綻しましたが、問題はこれで終わるのか。米金融大手JPモルガンのジェイミー・ダイモンCEOは『ゴキブリが1匹いたら、他にもいる』と発言しているほどです。米国が危なくなると、海外頼みの日本経済は相当厳しくなるでしょう」
大暴落へのカウントダウン
インフレが止まらず、ようやく日銀が利上げに踏み切る―。これが日経平均大暴落のトリガーとなる。前出の石原氏が警告する。
「いまは物価高といっても、以前の欧米ほどではなく、国民はまだ耐えられています。しかし、円安が進み、インフレが収まらなかったらどうなるか。さらなる物価高を招くと、日銀は金利を上げざるを得なくなります。そうなると、株価も不動産価格も暴落する。昨年7月に日銀が追加利上げを発表した前後で、日経平均株価は1万円下げていますが、今後、連続利上げに追い込まれたら目も当てられません。
そうは言っても、しばらくは株価も高止まりするはずです。米国はちょうど1年後に中間選挙を控え、それまでは表面上は景気を悪くできません。ただし、日米ともにインフレを金利で制御できなくなったときに、ズドンと暴落する可能性が高い。特に中間選挙の後が危ないでしょう」
株高の熱気のなかで、暴落へのカウントダウンが静かに始まっているのである。
「週刊現代」2025年11月24日号より
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