家事代行を日本人スタッフに頼むのは抵抗あり?
近年、共働き世帯や単身者の増加、さらに政府の推進も相まって、家事代行サービスの市場は拡大の一途を辿っています。
しかし、その一方で、「日本人スタッフに家事代行を頼むことに、なんとなく抵抗がある……」と感じる利用者が少なくないようです。
フィリピン人専門の家事代行サービス「ピナイ家事代行サービス」が実施した満足度調査(2025年8月18日公表、定期利用者179人が回答)によれば、同サービスを選んだ決め手として、以下の3つが上位を占めました。
「清掃クオリティが高いと思った」(50.8%)
「外国人スタッフとのほどよい距離感」(50.3%)
「スタッフがフィリピン人であること」(47.5%)
2016年に設立されたピナイ家事代行サービスは、660時間にもあたる研修を受けたフィリピン人スタッフに特化したサービス。そのクオリティを支持する声が高いのはもちろん、スタッフが日本人でないことも選んだ理由だというのです。
本稿では、ピナイ家事代行サービスの調査やアンケート結果を読み解きながら、「なぜ日本人に家事代行を頼むのに抵抗があるのか」、その背景を探っていきます。
日本人に頼むことを躊躇する理由とは
ピナイ家事代行サービスでは毎年7月に定期利用者へのアンケートも行っています。アンケートの直近3年分のコメントからは、先述した「クオリティの高さ」に加え、日本人スタッフに家事代行の依頼を躊躇する理由が垣間見えます。
具体的には、以下のような声がありました(コメントは一部文章を整えています)。
まず目立ったのが「日本人だと年配の方が来ることが多く、色々お願いしづらかった」「気兼ねしてしまう」というコメント。
本来、サービスに含まれている作業を頼むのに遠慮はいりません。それでも、文化的な背景もあってか、特に年上の日本人スタッフには気を遣ってしまうケースが見受けられました。
同様に、日本人同士で生じる距離感の近さが課題だと感じる人も。
「日本人スタッフだと世間話になりやすく、指摘したいことを指摘できない」「長くお願いした方が馴れ馴れしくなり、仕事の質も落ちたように感じる」
このように、気になる点があっても、同じ日本人だと強く指摘しづらいと思う人もいるのです。
また、「日本人スタッフだとプライバシーの観点で気になりました」「以前、他のお客様の噂話をしていたスタッフがいて、依頼をやめました」と、プライバシーの観点から日本人スタッフへの依頼をためらうという声も。
これらは個々のスタッフの資質やサービス体制による部分も大きく、日本人スタッフに限った話ではないでしょう。ただ自宅というプライベートな空間に招いて家事代行をしてもらう以上、利用者が感じる心理的な距離感は、サービス選択の重要な要因であることは間違いありません。
プロが教える「家事代行」の使い方
それでは、日本人・外国人に限らず「家事代行」を利用する側は、どのような点に注意すれば、このような気兼ねがなくなるのでしょうか?
「ピナイ家事代行サービス」を運営する株式会社ピナイ・インターナショナル代表取締役、茂木哲也氏に聞きました。
「家事代行は“他人に家事をお願いする”という文化がまだ新しく、どう頼んだらよいか迷われる方も多いと感じます。
まずはサービスの範囲であれば遠慮なく『ここをキレイにしてほしい』とお伝えください。その方がスタッフも力を発揮できますし、結果としてご満足いただけます」
また、プライバシーについては、こんなアドバイスも。
「プライバシーが気になる方は、目につく場所に大切な書類や私物を置かないなど、事前の準備で安心感が高まります。
日本人・外国人スタッフを問わず、家事代行はあくまでプロのサービスです。遠慮せず、安心して活用いただくことが、生活をより豊かにする第一歩だと思います」
ピナイ家事代行サービスの調査やアンケートによって、家事代行サービスを選ぶにあたり、技術的なクオリティはもちろん、利用者一人ひとりが感じる「心地よさ」や「安心感」が重要な要因となることが明らかになりました。
日本人スタッフ、外国人スタッフそれぞれに異なる魅力があるからこそ、自分のライフスタイルや価値観に最も適したサービスを見つけることが、家事代行を効果的に活用する秘訣と言えるでしょう。