今年も連日猛暑が続いています。熱中症予防のためにはエアコンの使用が欠かせませんが、気になるのがその電気代ですよね。少しでも電気代の節約につながれば……と、その時々の状況に合わせて冷房や除湿、送風モードを使い分ける人も多いと思いますが、実際のところ、どれを選ぶのがもっとも電気代が安く済むのでしょうか?
この夏をお財布にも身体にも快適に乗り切るために、意外と知られていない、エアコンの設定と電気代の意外な関係をご紹介します!
冷房・除湿・送風、それぞれの違いって?
まずは、冷房や除湿、送風、それぞれの運転モードがどのようなものなのかを簡単に確認しておきましょう。
冷房は夏のエアコンの定番ともいえる運転モード。室内の空気を吸い込み、熱を外に逃がして冷やした空気を戻すことで温度を下げます。
除湿は、空気中の湿気を取り除くことでジメジメした不快な感じを軽減させる運転モードです。後述しますが、大きく2つの方式があります。
送風は、エアコンの内部ファンだけが回る運転モードです。室温は変えずに、空気を循環させます。
このように整理するとわかるように、これら3つは目的はもちろん、仕組みもかなり異なります。したがって、消費電力や快適性にも大きな差があります。
ズバリ、もっとも電気代が安く済むのは?
では、実際のところ、これら3つの運転モードのうち、どれがもっとも電気代が安くて済むのでしょうか? それはズバリ、送風モードです。
冷却機能を使わず、ファンだけが回る仕組みのため、エアコンといえども消費電力はいわば扇風機並み。冷房中に、「足元は冷たいわりに部屋全体の温度は高い」と感じるとき、送風モードにして空気を撹拌することで、効率よく部屋全体の温度を下げることができます。
ただし、送風モードは部屋の空気を循環させることが目的であるため、ただスイッチをオンにしただけでは室温は下がりません。気温が高い日には、送風モードだけでは熱中症になるリスクがあるので注意しましょう。
2番目は冷房モード? それとも除湿モード?
送風モードの次に電気代が安く済むモードはどれかというと、実はこれが悩ましいところ。というのも「湿気を取るだけの除湿のほうが、冷房よりも電気代が安そう」と思いがちなのですが、除湿の方式によっては冷房よりも電力を消費する場合もあるからです。
実は、家庭用エアコンの除湿の方法は、機種によって大きく2つの方式があります。ひとつは、「弱冷房除湿」。これは湿気を取るついでに空気も少し冷やす方式で、消費電力は比較的少なめです。もうひとつが「再熱除湿」。一度冷やして湿気を取った空気を、さらに温め直してから送り出す方式です。
実はこの再熱除湿は通常、冷房よりも電力を消費します。「冷やさない=消費電力が少ない」とイメージしたくなりますが、実際にはヒーターを作動させ、空気を冷やしてから再度温め直しているので、多くの電力を消費します。弱冷房除湿のほうが、室温を下げる効果がありながら冷房より電気代が安く、再熱除湿は、室温は下がらないにもかかわらず電気代が高いなんて、ちょっとややこしいですよね。
再熱除湿方式は、室温を下げることなく除湿したいときに便利なモード。もし現在、使用しているエアコンの除湿が弱冷房除湿なら、「室温はそれほど不快ではないけれど空気が蒸し蒸ししている」という日は冷房ではなく弱冷房除湿にすることで、電力の消費量を冷房モードと同等か、それ以下に抑えつつ、空気を快適にできます。
弱冷房除湿と再熱除湿、どう見分ける?
現在、使用しているエアコンがどちらの除湿方式を採用しているのかは、どうやって見分ければよいのでしょうか。
「電気代の節約のために冷房ではなく、除湿モードを使うようにしているけれど、涼しくないわりに電気代が高い」と感じているなら再熱除湿方式かも。また、取扱説明書や公式サイト、リモコンのボタンを確認して「再熱除湿」「さらら除湿」「快適除湿」「温度を下げずに除湿」といった表記があれば、再熱方式の可能性大。逆に「ソフトクール除湿」「部屋の温度も少し下がります」といった記載があれば、弱冷房除湿方式である可能性が高いといえます。
ちなみに、現在販売されている家庭用エアコンの中で一般的なのは弱冷房除湿方式。10万円前後の普及モデルや省エネ重視モデルでは、多くの場合、弱冷房除湿が採用されています。
高性能モデルだと再熱除湿が搭載されているものが増えてきます。なかにはあまり多くはありませんが、弱冷房除湿か再熱除湿を操作によって切り替えできるモデルもあるようです。
電気代を安く、快適性を保つには?
電気代を抑えながら快適さを保つための基本設定といえるのが、冷房モードで28℃設定+自動運転。自動運転は起動してから設定温度に達するまではそこそこ電力を消費しますが、その後は自動で出力を調整してくれるので結果的に電気の消費を効率よく抑えることが可能です。
逆に、電気代を節約したいからと風量を「微風」や「弱風」に設定するのは逆効果です。なぜなら、設定温度が「微風」や「弱風」だと、起動してから室温が設定温度に達するまでに時間がかかってしまうため、結果的に多くの消費電力を消費してしまうのです。
また、除湿の方式が弱冷房除湿であるなら、冷房ではなく除湿モードを意識的に活用するのもおすすめです。室温と湿度が少し下がることで、十分に快適性が保たれる可能性もあります。また、冷房モードに加えてサーキュレーターや扇風機を併用することで、冷たい空気が部屋中に行き渡りやすくなるとともに、体感温度を下げられるかもしれません。
30分〜1時間以内の外出ならつけっぱなしがお得
外出する場合でも、ちょっと散歩に行く、習い事の送り迎えに行くといった30分〜1時間以内に戻ってくるなら、スイッチをこまめにオンオフするよりもつけっぱなしのほうが電力の消費を抑えられるかもしれません。
なぜなら、先ほどもお伝えしたように、エアコンがもっとも多くの電力を消費するのは、起動時だから。30分〜1時間がひとつの目安ではあるものの、日当たりのよいマンションなど、あっという間に気温が上がってしまう構造の場合には、1時間以上留守にする場合あっても、エアコンをつけっぱなしにしたほうが結果的に電気代が安く済むこともあります。
いずれにしても、エアコンは使い方次第で、電気代も、快適性も大きく異なる家電です。これまで冷房モードしか使っていなかった、除湿機能に空気を冷やす効果があるのを知らなかったという人は、これを機に、冷房・除湿・送風モードの違いを把握し、状況に応じて賢く使い分けられるようになりましょう!