少女の性的な写真が掲載された「ブログ」
在ラオス日本大使館が6月にラオスでの児童買春に対する警告文を出し、SNSなどで議論を巻き起こす中、日本人がラオスで作成したとみられる「児童ポルノ」の存在にも懸念が高まっている。
「ロリっ子なりたて〇5歳のJCちゃんに制服を着せて」
「待機所はまるで託児所のよう。一番下は1X歳くらい」
インターネットではこのような過激な表現や、少女の性的な写真が掲載されたブログを容易に見つけることができ、早急な取り締まりを求める声が強まっているのだ。ブログには少女が叫んで抵抗する様子など、極めて残虐的な記述もあり、ネット上で「早く逮捕してほしい」という声が相次いでいる。
在ラオス日本大使館は6月17日、「ラオスにおける児童買春に関する注意喚起」と題して、厳しい警告を出した。その中で、〈昨今、SNS上でラオスにおける日本人による児童買春を示唆するような内容の投稿が見受けられる〉と明記した。
この警告文では、国外の事案であっても、日本の児童買春・児童ポルノ禁止法によって処罰されることを強調しているが、実際には取り締まりが追い付いていないのが現状だ。
通報も取り締まり不十分
児童ポルノや児童買春に関連した投稿を見つけた場合、警察庁は「匿名通報ダイヤル」や「インターネット・ホットラインセンター」に通報することを推奨している。一方で、通報のシステムが機能しているのかどうか疑問を呈す声もあがっている。
「ラオス人少女の性的写真が掲載されたウェブサイトについて、1ヵ月前に通報しましたが、ウェブサイトはいまだに放置されたまま。制作者が逮捕されたのかどうかも分かりません」(通報者の40代男性)
性暴力被害者の支援に取り組んできた伊藤和子弁護士は違法性について、こう指摘する。
「児童ポルノ法は非常に定義が狭く、性器が写っていない下着姿や、性器が隠されている写真は該当しません。ただ、買春を自白しているのであれば、別途、買春に関する国外犯処罰で捜査が可能になります」
大使館の警告文では、〈児童買春・児童ポルノ禁止法においては、児童を18歳に満たないものと定義し、児童買春、その周旋・勧誘、児童ポルノの所持、製造、公然陳列等、児童買春の相手方とする目的での児童の売買などを処罰すると定められている〉と明記。
さらに、〈児童の年齢を知らなかったとしても処罰を免れない〉ほか、〈親告罪ではないため被害者からの訴えがなくても処罰される〉と説明している。
「日本人は盗撮好き」
児童買春はラオス、日本、両国の法律に違反する中で、性行為中の盗撮や避妊具を使わない性行為といった、児童の人権を踏みにじる行為が蔓延している疑いがあることにも留意すべきだ。
ウェブサイトには児童との性行為の写真が載せられるなど、少女の知らないところで写真が公に拡散されてしまっている恐れもある。児童に限らず、ラオスの売春施設で働く現地女性は、日本人による盗撮の恐れを口にする。
「日本人は盗撮が好きで、友達も被害に遭いました。とても怖いのでやめてほしいです。日本人のお客さんにつく前は、盗撮されないように注意しています」(ピムさん、21歳)
実際にラオスで買春した様子を投稿しているYouTube動画などを見ると、女性が撮影を嫌がり、明確に拒否しているのにもかかわらず、撮影を継続しているような動画も複数確認した。
SNS普及も要因
人権団体の報告によると、ラオスの売春施設では中国人客が多いとされる一方で、筆者の現地取材では、首都ビエンチャンの特に“少女の年齢が低い”売春施設で、日本人が集まっていることが確認できている。
こうした日本人らによるオンラインコミュニティも形成されている。コミュニティ内では、避妊具なしの性行為を「NN(ゴムなし、中だし)」という隠語で語り、「少女とNNを何回した」といったものや、「少女にNNを許可してもらうために、キーホルダーを渡している」「少女に避妊薬だと偽って一般の軟膏薬を使っている」といった趣旨の、児童買春に関する極めて悪質な情報共有が行われているのを確認した。
アジア経済研究所地域研究センター長補佐の山田紀彦氏は「2010年代中盤以降、児童買春を目的にラオスに渡航する日本人が目立つようになった。SNSの普及に伴い、そうした情報共有が簡単にできるようになったことも、日本人による児童買春が増えた要因の一つではないか」と指摘する。
ラオス政府の認識は…
児童売春に関する情報がオンラインで拡散されることは、ラオスのイメージ悪化につながり、ラオスが注力している観光産業への悪影響も懸念される。ラオス政府はこうした現状についてどう認識しているのだろうか。
「ラオスは対外的なイメージの悪化を非常に嫌う。今回、日本の大使館から警告が出たことはラオス政府も把握しているとみられる。児童買春に関する報道が続き、国際社会からの圧力が強まれば、ラオス側も取り締まりを強化せざるを得なくなるだろう。近年のラオスで、日本の存在感は下がってきてはいるものの、これまで日本がラオスに多額の政府開発援助(ODA)をしてきた経緯もあり、日本の存在は軽視できないとみている」(山田氏)
過去には、少女のわいせつ動画をラオスで撮影した日本人の医師が逮捕された事例もある。一方で、取り締まりは十分とは言えず、こうした犯罪行為がほとんど野放しになっているのも現状だ。欧米諸国では国外でも児童の性的搾取に関する犯罪の取り締まりが強化されてきている。日本も早急にその後に続くべきだろう。
筆者はラオスの売春施設も取材。現地の様子は、『ラオスの「少女売春ホテル」に潜入取材…!部屋には「10代の少女」がズラリ…殺到する日本人小児性愛者の「正体」と彼らの「呆れた言い分」』で詳報している。