誰もが当たり前のように使うSNS。だからこそ、自分でも気が付かないうちに、SNSで周囲の人を困らせたり怒らせたりしていることも。
「褒めたつもりが、相手の気分を害してしまった…」「笑顔スタンプを送ったのに、嫌みと受け取られた…」「自分の投稿に、なぜか反応をもらえない…」「友達申請をしたら、関係が悪化した…」「良かれと思った投稿で、なぜか炎上してしまった…」
こうしたことにはすべて理由があります。そのためにもSNSという「問題」の公式を知り、きちんと使いこなすことが不可欠です。テレビ、ネットでの解説で大人気の著者が、確実に仕事でもプライベートでも役立つSNSの使い方をお伝えします。
『若者はLINEに「。」をつけない 大人のためのSNS講義』連載第42回
『あなたのLINEも「おじさん構文」とバカにされているかも…SNSに慣れていない大人世代が送ってしまう”イタいメッセージ”の特徴』より続く。
絵文字や顔文字を使って、明るく楽しい文面にする
ほとんどの大人世代は、ガラケーのメールからコミュニケーションをスタートさせていることが多いでしょう。
ガラケーのメールは、メールなので長文が当たり前でした。読みやすくするために、改行したり、句読点をつけたり、絵文字や顔文字をつけたりしました。相手がいつ読むかわからないので、誤解をされないように気遣って、絵文字や顔文字も使って、明るく楽しい文面にしました。
なお、私が2008年に取材した記事(ASCII.jp「黒メールはNG、クローバー付きメールは脈なし? 絵文字から知る『女子大生のホンネ』」)からは、若者世代のガラケーメール文化がうかがえます。
絵文字が一つも使われていないメールは「黒メール」と呼ばれて嫌われること、そのようなメールは「怒っている」という意味になること、相手に「怖い」印象を与えること、などがインタビューから読み取れます。
これは今も共通する感覚で、長文で書かれた絵文字や顔文字がない文字だけからなるメッセージは相手に威圧感を与え、怖い、怒っているという印象を与えることがわかっています。
相手にそのような誤解を与えないよう、絵文字や顔文字、カタカナなども使って明るく楽しい印象の文面にすることは、けっして間違っていないというわけです。
句点(。)にも意味がある
句点(。)ありの文面となしの文面では、ありのほうが怒りを込められているように感じるという調査結果もあります。
「いいね~(^^)」
「いいね~。」
「いいね~」
では、同じ文面でも意味が違うというのです。
「いいね~(^^)」は、大歓迎でテンションが上がるという意味。
「いいね~。」は、正直あまり気が進まず、「他になかったの?」という意味。
「いいね~」は、普通に良いという意味です。
句点に意味があると考えられているからこそ、このような受け取り方がされているというわけなのです。
文章コミュニケーションを始めたツールによる違い
大人の作法としてはおじさんLINE、おばさんLINEが正しいのですが、若者世代が見るとあまりの違いに驚くことになります。
たとえば中学生になったばかりだった息子に、私のLINEアカウントを見せてみたところ、「文章が長い! 絵文字が多い!」と驚いていました。そして、「やり取りがこれだけで終わるのは短い。僕らは延々とやり取りしているから、ママたちみたいに一往復で終わるなんてない。それから、句読点がついているの初めて見た」と言っていました。
「ほらね」と、他の子とのやり取りを見せてもらいましたが、どの中学生も短文でやり取りの回数が多く、句読点はつけず、絵文字も顔文字も見当たりませんでした。クラスLINE、学年LINEなどでもみんなそうだったので、その世代では間違いなくそれが一般的なのです。
この違いを言語化したものが、「おじさんLINE」「おばさんLINE」というわけです。
おじさんLINE、おばさんLINEになるのは、文章コミュニケーションを始めたツールによるところが大きいでしょう。
ガラケーメールはサーバーに取りにいく必要があった時もあり、リアルタイムでのプッシュ通知ではなかったため、非同期コミュニケーションにならざるを得ませんでした。そこでいつ読むかわからない相手が不快な気持ちにならないよう、楽しい文面にすることが相手への気遣いでした。
ところがLINEから利用し始めた場合、プッシュ通知が当たり前であり、既読機能も備えていたため、チャットのような同期型のリアルタイムコミュニケーションが可能でした。同期型コミュニケーションの場合、多少の失言をしても、すぐにフォローのメッセージを送ることができます。相手を待たせないよう、絵文字や顔文字をつけないこと、句読点をつけずに短文で送ることが、相手への気遣いというわけなのです。
悪意がないことを伝えるために顔文字を送る
若者世代がやり取りする上の世代といえば、両親やバイト先の店長、上司などです。立場の違いから、若者を怖がらせないよう、気を遣ってメッセージを送ることが多いでしょう。ライトで楽しい印象の文面にして、怖い印象を与えないことを意識して送るはずです。
なお、「Simejiランキング」によ「Z世代が選ぶ!!“おじさん”を感じる顔文字TOP10」は、以下の通りです。
全体に、汗をかいていたり、凝った顔文字はガラケー時代を思わせ、古さを感じさせるようです。シンプルな笑顔の絵文字くらいにしておくと、若者に引かれずに済むかもしれません。
若者も、「まだ親しくない人にメッセージを送る時は、悪意がないことを伝えるためにあえて笑顔の絵文字を一つくらい入れることがある」という使い方をするようです。
彼らは、すでに親しい同士で送るからこそ絵文字、顔文字がいらないコミュニケーションをしています。お互いに相手のことをよく知っていて、悪意がないことがよくわかっているためです。ちょっとした失言も、リアルタイムコミュニケーションなら気づいてすぐにフォローすることもできます。
しかし、まだ親しくない人に送る場合は、誤解されないように絵文字を入れて情報を付け加えることがあり、その点は大人と大きく変わらないのです。
『若者に合わせて「おじさん構文」を改める必要はない!…全ての世代とのSNSコミュニケーションを円滑にするメッセージの送り方』へ続く。