「お茶で血圧が下がるなら薬を飲む前に試してみようか」「健康食品でダイエットできるならそれがいちばん楽でしょう」「食生活が不規則だからビタミンやミネラルで補うしかない」などと、健康食品はすっかりわれわれの生活に浸透している。
しかし巷では機能性や安全性について何の保証もない健康食品が多く販売され、健康被害の大半はこれらの製品によって発生している。そんな状況において、どんな製品を購入するかを見極める力は不可欠である。
粗悪な健康食品の被害に遭わないための基礎知識をさまざまな事例を通してわかりやすく解説した著書『健康食品で死んではいけない』から抜粋・再編集して紹介する。
『副作用により突然意識不明に?知らずに飲んだら命の危機…怪しげな健康食品に潜む“医薬品混入”の多様な実態』より続く。
ダイエット健康食品の闇
ダイエット健康食品によく混入させられるのが、ヒドロクロロチアジド、フロセミド、ブメタニドといった利尿剤である。利尿剤はもともとむくみをとったりすることが目的の医薬品で、ダイエット健康食品に混ぜてどれほどの効果が得られるかは不明である。
この混入も人によっては副作用で低カリウム・低ナトリウム血症を引き起こす。腎機能が正常でない人が知らずに摂取すると、非常に危険な状態に陥る可能性がある。実際知らずに服用をしていて死亡したケースの報告もあるので十分注意しなければならない。
肥満抑制にあげた健康食品のもう一つの医薬品がセンナの小葉、フェノールフタレインなどの下剤である。混入する目的は食べたものを吸収させないことにあるが、その効果のほども定かでない。これら下剤で重篤な健康被害はない。しかし、現在フェノールフタレインは発がん性を理由に下剤薬として認められていない。にもかかわらず添加されている健康食品は悪質と言わざるを得ない。
混入された医薬品で事故を起こす可能性も
表の最後に、関節やリウマチ、アトピーに効果があるという健康食品に混入されている医薬品をあげた。非ステロイド性の抗炎症剤と言われているインドメタシン、メフェナム酸などが混入されることもよくある。これらは知らずに使用しても前に述べたステロイド剤ほど重篤な事態にはならない。だが続けて使うと下痢や悪心、嘔吐などの消化器障害を起こす可能性がある。また、メフェナム酸は注意書きに眠気をもよおすので車の運転を避けるようにと書いてあるが、混入された健康食品では気づかないので事故につながる可能性がある。
以上、医薬品が混入された健康食品の問題点を取り上げてきた。このような不正な製品は、すべてインターネット市場の外国製品か、健康機能を派手に宣伝しているだけの怪しい健康食品である。現在、何らかの形で国が関与している保健機能食品では、ここまでに取り上げたような怖い製品はないことはお伝えしておきたい。
『健康によい緑黄色野菜の成分が真逆の作用に変わる!?…β‐カロテンが“夢の健康食品”になりえなかった理由』へ続く。