X(旧Twitter)で子育ての思わずクスっとしてしまう出来事を日々ポストし、話題を集めている 「ひみつのうつ子ちゃん」 ( @utuko_chan )。「いいね」1万超えも多数! 人気の秘密は、「子育てあるあるの共感力」です。現在、うつ子ちゃんは4歳の息子さんと夫と3人暮らし。そんなうつ子ちゃんのポストで話題になったトピックスをピックアップします。
もうすぐ5歳になる息子さんを持つうつ子ちゃん。働くママでもあるうつ子ちゃんは、息子さんを日々保育園に預けています。保育園の送迎をするたび、笑顔で接してくれる保育士の先生方。そんな先生の苦労と実力に心から敬服しているうつ子ちゃんが夫婦でチャレンジした保育士体験「保育参加」での出来事を今回はお伝えします。
ひとりの子どもを育てるのにも翻弄されるのに……
子育てをするようになって、保育園の先生に対する認識が大きく変わりました。私たち夫婦なんて、4歳の子どもをたった一人を育てるだけで毎日ヒィーヒィー言っているのに、先生たちは保育園に送り迎えするたびに、明るく優しく愛を持って大勢の子どもたちに接してくださっています。「そんなことを言ったって、先生だってずっと笑顔ではないはず」と思うかもしれませんが、送迎時に門の外から覗いてみても、先生たちは子どもたちに笑顔で対応していて、本当に感謝しかありません。
2024年度から76年ぶりに改正された国の保育配置基準では、4~5歳児25人につき保育士1人と定められました。1人に対して息子と同じような子どもが25人もいるだなんて……、かわいいのはもちろんですが、全員が座ってお絵かきに集中してくれるはずもなく、想像するだけで絶望の文字が頭に浮かびます。でも、2024年度前までは、1人で30人もの子どもを担当していたという事実があったことも忘れてはいけません。そして、そんな大変なお仕事であるのに、保育士の平均年収は約397万円……。毎年約5万5000人が離職しているという現状を知ると、業務の大変さが身に沁み、先生たちの頑張りにますます頭が上がらなくなります。
夫とも常に「先生って本当にすごいよね」と話していたのですが、それをより実感、いえ、実感だけでなく深いリスペクトを覚えたある出来事を今回はお伝えしたいと思います。
「保育参加」の行事に夫婦でチャレンジ
ある出来事とは、「保育参加」です。「保育体験」「保育士体験」とも呼ばれています。保護者が保育士体験をしながら、子どもと一緒に過ごす「参加型」の行事ことで、多くの保育園が取り入れています。
この朝は、息子と一緒に私と夫も揃って登園しました。私も夫もちょっぴりワクワク、でも緊張が隠せません。そして、教室の扉を開けた途端、「おはようございます!」というかわいい声があっちこっちから飛び込んできました。元気な挨拶のボリュームに、まず度肝を抜かれ、目を丸くしてしまった私と夫……(笑)。
担任の先生2人は、子どもたちの声の洪水を「今日もいい声ですね」ときちんと受け止め、指で望遠鏡を作り、子どもたちを覗くフリをはじめます。
「かっこいいお友だちはどこかな~」なんて言うと、みんなブワ~っと先生の近くに駆け寄り、指定の位置へピタッと三角座り。そのスムーズな展開に、「先生、お見事!」と感心しているうちに華麗なピアノ伴奏とともに大合唱がはじまりました。「わぁ~」と思いながら、なんだかジーンとしてしまいました。子育てするようになって、子どもたちの歌声を聞くと涙が……。でも、今日は保育参加、今からジーン、メソメソとしているわけにはいきません。気持ちを切り替えないと……!
先生は出欠をとり、1日の流れを子どもたちに伝えていきます。息子はノリノリで歌っていますが、隣の子は少し照れながら口パク、それでも先生はシャウトする子どもも口パクの子どもも同じように、温度差さえ包み込むように見守り、1人ひとりの個性をそっと肯定していました。「いや、これはもう指揮者というよりオーケストラそのものだ!」と感動しているうちに、リトミックの時間になりました。
ホールへ移動すると、ピアノの音に合わせて「ぞうさん歩き」「うさぎジャンプ」とテンポが上がり、子どもたちは音符のようにホールを飛び回ります。先生は子どもたちと同じテンポのまま、転びそうな子の肩をそっと支え、トイレを訴える子には別の先生に視線で合図を送り、遅れて動き出した子には手拍子でリズムを教えていました。ほんの数分間で、これだけの情報処理と体力と愛情をぐるぐる回転させている姿に、思わず「人間ってここまでマルチタスクで事柄をこなすことができるんだ……」と呆然としてしまいました。
そして、リトミックが終わると園庭に出てお外遊びタイム。「ママ、鬼ね!」とうれしそうに私を指名する息子。息子のお友だちもみんな逃げる気満々。ここからは親も一緒に全力で遊ぶのです。「よし! 私たちも先生を見習ってがんばるぞ!」と気合いと覚悟を決め、私と夫も走り出しました。
夫婦揃ってあっという間にギブアップ……!
「鬼ごっこなら手慣れたもの、こちとら、4~5歳児よりも長く鬼ごっこしてきているんだから!」と意気込んで全力で走り出したものの、小さな影たちは縦横無尽に広がり、捕まえられそうで捕まらない……。そして、周囲を見渡せば、ひとりの子が転び、別の子はすべり台の順番争いで押し合い、砂場では泥だんごの巨大要塞が崩落寸前……。まさに同時多発ハプニング発生で、私の頭の中で黄色信号が回り始めました。そして、息子と数人に追いかけられて捕まった瞬間、ほとんど魂が抜けてバタンキュー。隣を見ると夫もゼェーゼェーと肩で息をしていました。
息も絶え絶えに先生たちを見ると、子どもたちを見守りながらも全員の顔色をたえずチェックしているのがわかりました。転んだ子の膝を洗って絆創膏を貼り、押し合う子を落ち着かせ、要塞を立て直しながら「あと5分でお片づけですよー」と全体にも声をかけるという神業を披露。さらに、汗をかきすぎていないか、帽子を脱いでいないか、靴ひもがほどけていないか、ありとあらゆるセンサーを張り巡らせながら、それでいて「楽しいね!」と笑顔を忘れないのです。
今の時期欠かせない熱中症対策にもとても気を配ってくださっていて、「お茶のんでね~」の声かけも何度もありました。私たち保護者に対しても、冷たいお茶が入った紙コップを持ってきてくださって「一緒に遊んでくださって、ありがとうございます」と言われたとき、「いえ、むしろこちらがご迷惑をおかけしてしまい、すみません」と思わず頭を下げてしまいました(笑)。
保育参加に参加して、先生方が子ども1人ひとりに愛情とプロのまなざしで支えてくださっていることを改めて実感したのです。保育は社会を支える重要なインフラのひとつ。通園は毎日のことなので、ついついお任せになってしまいがちですが、先生たちのこういった日々の保育があるからこそ、私たちは子どもを預けて仕事ができるのだな、としみじみと感じました。
そして、先生方の処遇改善や人員配置の議論にも関心を向けて、発信していかねばと思いました。仕事が忙しいと子どもの行事への参加も二の次になりがちですが、保育という環境を理解するためにも「保育参加」はとてもいい行事だったと感じています。そして、保育参加してから、息子の無理難題なリクエストや「遊んで攻撃」にも、「あなたのタスクは先生よりも少ないのだから、対応できるはず!」と言い聞かせていますが、相変わらずたった一人の息子に翻弄される日々でございます……、ワッショイ!