第二子ができない「二人目不妊」に悩むママたち
第一子が授かった後に二子目を希望し、きちんと性交渉がありながらも1年以上妊娠しない状態を「二人目不妊」と呼ぶ。
大阪府不妊専門相談センターが行った調査では、2013年の「二人目不妊」の相談は全体の16.4%だった。
実際、国立社会保障・人口問題研究所による「令和3年国民生活基礎調査」では、理想は子どもふたり以上としながらも、実際は子ども一人である理由が「ほしいけどできない」と答えた人の割合が32%となっている。
第一子を自然に妊娠した人でも、第二子ができない「二人目不妊」に悩む人は少なくない。
漫画『ママ友がこわい 子どもが同学年という小さな絶望』(野原広子著 / KADOKAWA)にも、「二人目不妊」に悩み、周囲の「二人目報告」に戦々恐々としているママが登場する。
2015年に出版された本書は、ママ友のいじめ、夫の無理解、二人目不妊、姑問題など、子育て中のママたちが抱える事情や悪意を描く。発売から時間がたっても、SNSでは「もはやホラーの括りに入れていい」「最後、めっちゃこわい」「ママ友問題の根底にあるのは相談できない取り合わない無神経な言葉を投げてくる旦那の問題なのでは」などと感想があがるロングラン作品だ。
いじめられても楽しかった日々が忘れられない
物語の主人公は、一人娘のミイとサラリーマンの夫と暮らす32歳の主婦サキ。ミイが幼稚園に入園してすぐに、ママ友のリエと仲良くなったが、娘たちが年中に上がる頃、サキは突然リエから無視されるようになった。
挨拶しても無視、保育園の行事では大変な役を押し付けてきたり嫌がらせするリエの態度に悔しさを募らせたり、ビクビクしたり……
そんなストレスの多さからか、サキは、胃薬が手放せなくなってしまった。胃痛に苦しみながら、娘のミイを幼稚園に連れて行ったある日、サキは無邪気な子どもの話から驚くべき事実を知る。
自分を追い詰め、胃痛の原因となっているリエのお腹に、赤ちゃんができたという。
これまでさんざん無視されても、「笑顔であいさつする」と決め、意地悪されても笑顔で対応し続けてきたサキ。リエの背中が怖く、胃痛の原因とわかっていても、過去一緒に過ごした楽しかったことが忘れられず、時折写真を見返していたこともあった。
幼稚園の夏祭りではリエの嫌がらせのために、へとへとになりながらも、楽しそうにふるまうリエや他のママ友をつい目で追い、誘われないことへの一抹のさみしさすら感じていた。
望んで産んだ娘との毎日は、「幸せはずなのに孤独」。そんなサキの気持ちを、もっとも理解してくれたのがリエだったからだ。
「こんなに苦しいのに、あいつは笑ってる」
「ののちゃんのママはねー赤ちゃんがいるんだって!」リエの娘が放ったひと言は、そんなサキに衝撃を与えた。
今、「あっちとこっちにはなれたのを感じた」。そして、あいさつもせず、無理な笑顔すらつくらず、自宅に戻った。
「私はこんなに苦しいのに、つらいのに、あいつは笑ってる。お腹に赤ちゃんまでいて」
そして、リエの写真にはさみを入れた。
くやしい、悲しい、つらい表情は見せても、怒りや恨みの感情を抱くことのなかったサキ。胃の痛みもあいまって、苦しさにもだえるサキの心中は、漫画よりご覧いただきたい。
◇嫉妬の感情は自分に近い存在にわくものだという。同じ年の娘を持つ母で、子育ての「幸せなのに孤独」に共感を抱き、互いに2人目が出来ないことを憂いていた。そんなふたりのうち片方にだけ、二子目が宿った。
写真を切り裂くだけでは足りず、サキが次にしたこととは……。
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