ごみは、「ごみ」と「資源」に分けられる
ごみ清掃員としても働きながら、お笑い芸人「マシンガンズ」としても活躍中の滝沢秀一さん。これまでも『ゴミ清掃員の日常』はじめ、妻の滝沢友紀さんとともに多くのベストセラーを出してきた。そして7月28日には「ごみってなんだろう」をわかりやすく学べる書籍『まんがで読める ごみってなんだろう? 世界一わかりやすいごみの本』が刊行となる。
ごみ集積所で集められたごみの行方やごみの分け方、そしてごみだと思って捨てていたものも、処分の仕方によっては大切な資源になることなどが楽しく学べる内容だ。家庭のごみを「ごみ」として燃やすか、埋め立てるか、「資源」としてリサイクルするか。それをそれぞれが考えて分けるだけでも「ごみ」の量が驚くほど減ったりする事例も出ている。
しかし、その「分け方」に迷うことはないだろうか。
8月2日土曜日に開催する「FRaU×KANEBOこどもコンテストワークショップ」にて「プラスチックごみって何?」というテーマで講師をつとめる滝沢さんとの打ち合わせ風景から、一部先出でご紹介。猛暑の今必要不可欠の「保冷剤」の処分の仕方を紹介する。
プラスチックごみ?ではありません!
さあみなさん。ここで問題。
「保冷剤」はなんのごみにわけられるだろうか。
保冷材は誰もが冷凍庫に1つは常備しているのではないだろうか。とくにお弁当を準備する人にとってはこれからの季節にはなくてはならない存在でもある。しかし、何度も使っていくうちに処分することもあるし、冷凍庫に保冷剤が入りきれなくなり、どうにかしなければと思うことも……しかしどうやって「処分」すればいいのか。
滝沢さんは言う。
「保冷剤の中に入っているのは、高級水性ポリマーといって、おむつの中身と同じ素材なんです。これはリサイクルできません。なので、基本的に保冷剤は可燃ごみとして出してください」
つづけていう言葉に衝撃が走る。
「以前、保冷剤のパッケージにプラマークがついているのを見たことがあります。このマークをみたら、きっとプラスチックごみとして出してしまいたくなりますよね。でも実はこのプラマークにも注意が必要なんです。
そもそも、このリサイクルマークというのは、ごみを出す人が分別するためのマークではないんです。企業がリサイクル料金を払ったという証明としてつけているんです。だから中にはプラスチック素材に他の素材がまじっていてもこのマークがついていることもあるんですよ。
一度プラマークを見てしまったら、他の保冷剤も同様に処分してしまいますよね。でも保冷材の中身はプラスチックではありませんからリサイクルはできません。可燃ごみとして処分してもらえたらと思います」(滝沢さん)
中身を下水に流すのは絶対NG!
もし「プラスチックごみ」として出したいなら、中身を洗い流して袋だけ出せばいいのだろうか。
「ダメです。高級水性ポリマーは水を含むと膨張します。もし洗い流してしまったら下水が詰まってしまう可能性もありますよ。回収してくれるスーパーなどもありますので、調べてみるといいかもしれませんね」
保冷剤ひとつをとっても処分するには意外な盲点があるのだ。
猛暑の夏が予想される中、保冷材は大活躍する。しかし穴があいて破れてしまったら流したりせず、可燃ごみとして出さなければならない。なにより、一度もらった保冷材はできるだけ繰り返し使用してごみに出さないことが重要なのだろう。
いまのままでは、50年後には「ごみ」の最終処分場がいっぱいになってしまうと言われている。しかしきちんと資源として出すことで、ごみにならず、なにかに生まれ変われるものがたくさんある。そうすることでごみを減らして資源にできる。しかしその中に資源にならないものが混ざっていると、うまくリサイクルもできない。
「捨て方」「分別のやり方」を知ることが「資源を増やす」こと「ごみを減らす」ことにつながるのである。
これってプラごみ?
しかし「プラマーク」がついていてもプラスチックごみでないものがある場合があるとは……。色々考えると「プラスチックごみ」とひと口でいっても膨大だ。たとえばコンタクトレンズのケース。たとえばカップラーメンを食べるとき。たとえばちょっと金属がついているペン、くすりを飲んだ後のシート……「これどうやって捨てたらいいんだろう?」「これってごみなの?資源なの?」と迷うことも多いのではないだろうか。