世論調査で支持率が急上昇して注目を集める参政党。2020年に結党し、コロナ禍に反ワクチン運動や陰謀論の人々から注目を集め、現在は「日本人ファースト」を掲げており、「排外主義的だ」との批判もある。世田谷区の街頭演説に来ていた支持者たちに話を聞いてみた。
【はじめから読む】『陰謀論界隈で注目された参政党を支持するのはどんな人か? 街頭演説に来た支持者にインタビューしてみた。』
子育て中の、40代後半の主婦
古いママチャリに跨りながら、真剣に演説を聞いている40代後半と思しき主婦に話を聞いてみた。前カゴにはスーパーで買った商品が積まれている。指には絆創膏が数箇所。使い古したマイバックからは、値引きシールの貼られた商品がのぞいていた。
「夫は普通のサラリーマンで、趣味のプラモデルにお金や情熱をかけています。政治にまったく関心がありません。投票にも消極的ですし、この国や社会がどうなろうがあまり関心はないようです。
私だってそうでしたよ。けれど、子供の保育園探しや物価の高騰には苦労しましたし、世の中がどんどん退廃していく様を見過ごすことができなくなってきました。夫の給料だけでは生活がキツいので、子育てしながら事務のパートをしています。
私は福島から東京に出てきました。ガラス張りの高いビルやオシャレな飲食店などがキラキラして素敵ですが、田舎出身の庶民の生活は苦しいままです。ママ友とカフェでランチをするのも躊躇してしまうくらいです。
政治は、素人が首を突っ込んでいい世界ではないという考え方があるのは知っています。私もそう思っていましたが、もう限界でしょう。子供は2人いて、上の子は中学生、下の子は小学四年生になります。子供たちが成人する頃の日本がどうなるのか不安です。
実は、離婚も考えています。すでに夫婦生活は破綻しています。問題は離婚後の生活費をどうするかです。子供たちのためには夫はいた方がいいのですが、会話もほとんどなく、食事の好みも、見るテレビ番組も、趣味も何もかも違うのです。
夫は、休日は趣味の仲間たちと勝手にどこかに出かけてしまいますし、子供も私も全て放り出したままです。こんなことなら、東京で暮らす意味なんてない。福島の郡山なら、生活費も安く、実家もあるので生活しやすい。でも、子供たちの転校や教育面を考えると、東京の方がいいのではないかとか、色々と考えて踏み出せないんです。
参政党の人たちは、こんな私のことも無視しないで話を聞いてくれます。自分の人生を真剣に生きている人がやりがいを持って生活のできる社会になってほしい」
「参政党支持ではない」と言い張る男性
筋骨隆々の日焼けした肉体で、趣味は筋トレ、ジム帰りだという50代の男性は、見た目に似合わない小声でボソボソと話してくれた。あたりをキョロキョロと見回し、不安そうな様子。ただ、参政党の支持者であることは、なぜか最後まで認めなかった。
「食と健康の問題に関心があります。私は、建設会社に勤務している会社員です。色々とトラブルがあって子会社に出向し、給料が減りました。仕事のへの情熱は、若い頃と違って今はもうあまりないです。
家族はいません。妻とは30代の頃に離婚しました。子供は大学に行かず、ちゃんと就職しないでお笑い芸人の追っかけをしているようです。私のことなどはどうでもいいんです。どこにでもいる普通の納税者ですよ。
彼女はいます。新宿のジムで出会って付き合うようになりました。年下ですから結婚を持ち出されることもありましたが、私にはその気がない。将来は不安定ですが、人生最後は健康だけだと考えています。
酒もタバコもやりませんし、食事は未精白の小麦粉のパンや玄米を主食にして副菜も野菜中心にしています。遺伝子組み換えの野菜、農薬まみれの野菜は口にしただけで分かります。おかげで健康診断でも優秀だと褒められています。
年齢が上がるほど、政治への関心が高くなってきました。選挙のたびにいろんな候補者の演説を聞きに行ってます。どこに行っても同じようなことを主張してますよね。それでも、その時だけでも懸命に何かを訴えている様子が好きなんです。
各候補者のパンフレットを集めて投票前に時間をかけて考えます。参政党はまだ若い政党で、プロっぽい取り巻きがいないので好感が持てます。参加しやすいんですよ。詮索されることもないですし、自由な雰囲気が気に入ってます。
もともとワクチンには反対です。私は会社の命令に逆らって、一度も接種していません。反ワクチンだということで社内的にも問題視されましたし、ジムによっては接種証明がないとトレーニングできないところもありました。
世界的なパンデミックの中、国が一方的にワクチンが正しいとして莫大な予算を注ぎ込みましたが、それでよかったのでしょうか。ワクチンが原因で死んだ人も大勢います。ワクチンの製造メーカーの職員にも、接種していない人がいます。国が良いと決めたことになんの疑問も持たずに信じ込んでしまう流れが、おかしいと思っています。
人は生きるために食事をします。食事がその人を決めると言っても過言ではないのです。だから、日本の食の自給率が低いこと、外国から得体の知れないものが輸入されて大量にスーパーや外食産業に流れていることには強い危機感を覚えます。私は契約農家から無農薬の野菜を送ってもらってます。同棲している女性が調味料も吟味して、身体にいい食事を心がけています」
靴下までオレンジ色のサラリーマン
赤ら顔の30代くらいの若いサラリーマンは、近くの中華料理屋を出たばかりの様子で、近づくと酒臭い息が漂ってくる。紺色のシャツの内側にオレンジ色のTシャツがチラっと見える。靴下もオレンジ色(参政党のイメージカラー)。「俺の政治信条なんスよ。まんまオレンジだと流石にやばいでしょ」と、大きな声で話す。
「東北の生まれです。大学は関東で、就職は東京。不動産関係の会社です。給料っスか? 30くらいです。部屋を借りたら、スマホや服を買うとほとんど残りません。車は欲しいけど、ガソリン代や駐車場代を考えると持てないです。彼女はいましたが、最近先輩に取られました。最悪です。だって同じ会社っスよ。マジやってられない。会社を辞めようと思いましたが、辞めないで見返すことに決定しました。
SNSで政治関係の動画を見るのは、社会人になってからの趣味です。おかげで詳しくなりました。どんな人とでも政治の話ができますから。米の問題はJAの問題でしょう。小泉進次郎は2代目で、親は元総理大臣。郵政民営化をした人。実は最近までJAが農協のことだとは知りませんでしたが、難しいことはいいんです。
年上のお客さんと政治の会話ができるだけで、勉強した甲斐はありましたよ。たまにイデオロギーとか右寄りとか左寄りとか言われて困りますけど、仕事に役立ちますし、何しろ人間関係が広がりましたよ。選挙のたびに演説を聞いて動画を撮ってます。
好きな政党はれいわと参政党。どっちも若い女が多い。国民民主も立憲も違いがよく分からない。自民党は嫌いで公明党や共産党は論外。自分の求めているのは世界平和。まずは日本の平和です。
やっぱり若い政治家が政権を取らないと面白くないでしょ。でもけっこうジェラってますよ。ここの候補者イケメンじゃないっすか、エリートでキャーキャー言われて、ソレちょっと違うだろって思ってます」
東京郊外の支持者の声も聞いてみたい。
【つづきを読む】『千葉ニュータウンの街頭演説に来た「参政党の支持者たち」にインタビューしてみた。陰謀論を掲げてきた政党を支持する人のリアルな声とは?』