世論調査で支持率が急上昇して注目を集める参政党。2020年に結党し、コロナ禍に反ワクチン運動や陰謀論の人々から注目を集め、「日本人ファースト」を掲げており、「排外主義的だ」との批判もある。なぜ人々は支持するのか。街頭演説に来た支持者に聞いてみた。
【はじめから読む】『いったい誰が参政党を支持しているのか? 聖地・熊本から、全国で支持者が拡大する構造を明らかにする!』
「あなたも日本人でしょう?」
6月の昼下がり、渋谷駅前では、参政党の女性候補者が街頭演説をしている。マイクの声は騒音にかき消されて、その主張ははっきりと届かない。熱心な支持者たちは近くに陣取るが、大多数の観衆はそれほど関心がないようだ。
候補者の近くにいる支持者たちは忙しく、こちらが声をかけても反応が悪い。その中の一人にインタビューを試みた。こちらが素性を名乗ると、スマホで誰かを呼んだ。よりコアなメンバーらしきネクタイ姿の男性が登場し、候補者並みにこちらに熱く語りかけてくる。
「あなたも日本人でしょう? 日本が好きでしょう? 日本人が幸せにならない政治は、もう終わりにしなければならない……」
話が止まらず、たちどころにヒートアップする。そこで、少し離れた場所で演説を聞いている白髪の男性に声をかけてみた。名刺を渡すと、のっけから「マスコミは嘘ばかり」と、こちらの質問には答えていただけそうにないため、場所を変えることにした。
裕福な人の多い世田谷区では
千歳烏山駅は、渋谷と比べると小さな街で、どこか穏やかだ。演説の1時間ほど前から、オレンジ色の集団が幟旗を抱えて準備を始めた。チラシを配る支援部隊の中には、「八紘一宇」と印字されたオレンジ色のベストを着用する男性もいる。
成城学園に住んでいるという80代の会社経営者に話を聞いてみた。髪はきちんとセットされ、全身をブランド物のゴルフウェアに身を包む、落ち着いた雰囲気の男性だ。
「もともとは自民党支持でした。でも、2世議員が増え始めた頃から組織としてダメになった。自分たちに票を入れてくれる団体のことしか考えていない。このまま政治が変わらなければ、日本は沈没します。
天皇陛下に敬意を払わない国民が増え続けて、よい訳ないでしょう。私はこの国で産まれ育ったのだから陛下を敬い、この国を守ってくれる政党を選びたい。
住む家も資産もありますので、物価高で困るようなことはないです。私の最大の関心事は、この国の将来です。具体的には中国人問題。中国人がいつのまにか正規のビザを得て国内で暮らしていること。いくら西洋で教育されていても、彼らは中国共産党の意向に逆らうことはできません。
日本人が中国の不動産を買えますか? あなたも日本人ならわかるはずだ。埼玉ではクルド人が増えていると聞きます。世田谷に彼らが住みついたらどうするのか。治安も乱れ、税金は使われる。とにかく日本のためにならない外国人には早く出ていってほしい」
お洒落な夫婦は「似た者同士」?
次に、小型の愛玩犬を連れたお洒落な夫婦に話しかけてみた。黄色のワンピースを身に纏った妻は、ボランティアとして子ども食堂に関わっているという。
「長い間、自民党政権がこの国を支配してきた結果、どうなりましたか? 我々の生活は楽になりましたか? 少子高齢化対策はどうですか? 物価対策は? 金融政策は? 所得はどうなりましたか? 大企業ばかり優遇して、零細企業はどんどん潰れてますよ。医療政策も費用が高騰し、待ったなしです。年金問題も何も進んでいません。
要するに、失敗したのです。代わりに増税、子ども予算のカット、外国人や外国企業の優遇など、どうして海外に大切な税金をばら撒いて、国民を見捨てるようなことばかりするのですか? 裏金問題はどうなりましたか?
一部のお金持ちはいいですよ。でも、圧倒的多数の日本人は過酷な毎日を強いられている。この国を誇らしく思えますか?」
いっぽう、会社を早期退職し、現在はコンサルタントをしているというボーダーシャツに短パン姿の夫も話を聞かせてくれた。
「政治にそれほど強い関心はありませんでした。長い間、海外で暮らしていて、あらためて日本の政治のおかしさに気がついたのです。息子は二人。一人は経営者、もう一人は大学の研究者です。どちらも優秀だと思うが、政治には無関心です。それは私の責任であると同時に、この国の政治が変化しなかったことも原因だと思います。
どんな組織のトップにも任期があるべきですし、トップが変われば組織も変化します。選挙権があっても、半数以上の国民は投票しません。色々と批判もあるとは思いますが、一度、参政党に政権与党を取らせてもいいのではないかと思うのです。
私が参政党を支持しようと思ったのは、帰国してこの国の有り様を目の当たりにしたこと。私の孫達が成長した時の日本に責任を持たなければならないと考えたことが大きいです。いつか変えるのではなく、今変化しないとダメなんです。
参政党の支援者には、団体ではなく個人が多いというところも良い点です。若い人も多いですね。私の家に学生たちを招いて勉強会と称して茶話会をやることもあります。しがらみのない政治、停滞した静止環境を刷新するのは、こういった若い党なのではないですか。税金で持っていかれるくらいなら、参政党に寄付しますよ。
妻はれいわを支持しています。妻にとっては山本太郎の潔い弁論が気に入っているのでしょう。個人の信条については物申しません」
子供たちの将来を憂える
ワイシャツにジャケット姿の60代男性は、学習塾を経営しているという。図書館で借りた本を入れた手提げを持ち、スマホの画面を凝視しながら演説に耳を傾けていた。
「私は自民党員として、個人的に政治に関わってきました。親が党員だったので、なし崩し的だったのです。集まりは定期的にありますが、政治を語る場、この国を良くする場であるはずが、『いかに儲けるか』だけに執心している人たちばかりでした。
民主党は紛い物、維新にはがっかり、れいわには胡散臭さしか感じず、消去法として参政党の考えに共感するようになりました。参政党も色々青臭い言い分が多く未熟な党ですよ。でもね、そういう新しい党が国政で議席を伸ばさないと、日本はおかしくなりますよ。もうここらで変えなければならないのです。
私は長年、学習塾を経営しておりますが、通ってくれている子どもたちの将来を考えるだけで、暗澹たる気持ちになります。キラキラとした目が絶望に直面する未来が見えるのです。
いま、中国は経済力がついて、軍事力も比例し、あり余る人口を海外にどんどん移住させていますよね。いざ、有事になれば、それぞれの国に居住している中国人が団結して共産党の利益になるようなことをするのです。日本で医療や税の優遇をいかに受けようとも、この国のために何かをしてくれることなど決してありません。
そんな中国に擦り寄っている自民党に、政治は任せられない。参政党が担うしかないと思います。既存の古い政治家は地元に帰るなり、家業を継ぐなりして、政治の世界からいなくなってほしい。内弁慶という言葉がありますが、この国を牛耳っている連中は、内向きの話だけで天下国家を語れるような人などはおりません。
昭和の頃、血盟団など武力でテロを犯し政敵を排除する行動が盛んだった時がありました。長年、自民党の圧政によって国民は真実の情報から遠ざけられ、厳しい生活を強いられて、その一方で自民党は裏金を作り、一部の特権階級のみが生活を謳歌するようになりました。テロリズムの土壌はすでに出来上がっています。
世の中はどんどん混乱してひどくなります。天候も地震も操作できますし、ユダヤ資本に犯された資本家や政治家がますます蔓延り、何も知らされていない国民はますます貧困に苦しみ、奴隷状態になります。そうなってはならないのです」
自民党から鞍替えしようとする方や、これまで政治に関心はなかったが現状に危機感をもつようになった支持者が多い印象を受けた。こうした傾向は、東京の世田谷区だからなのだろうか。郊外の支持者にも、話を聞いてみよう。
【続きはこちら】『東京・世田谷区の街頭演説に来た「参政党の支持者たち」にインタビュ…「なぜ、陰謀論を掲げてきた政党を支持するのか?」』