
X(旧Twitter)で子育ての思わずクスっとしてしまう出来事を日々ポストし、話題を集めている「ひみつのうつ子ちゃん」( @utuko_chan )。「いいね」1万超えも多数! 人気の秘密は、「子育てあるあるの共感力」です。現在、うつ子ちゃんは4歳の息子さんと夫と3人暮らし。そんなうつ子ちゃんのポストで話題になったトピックスをピックアップします。
出産してから物忘れがひどくなったうつ子ちゃん。それに比べて4歳になる息子さんの記憶力には驚かされることがよくあるといいます。今回は、日常の些細なある出来事を覚えていた息子さんのなんともかわいらしいお話です。
出産後に記憶力低下を訴える母親は多い!?
「マミーブレイン」という言葉を知っていますか? 海外では、「ブレインズーミー」とも呼ばれています。正式な医学用語ではありませんが、妊娠や出産、出産後を機に、記憶力や集中力やたくさんのタスクをこなすのが難しくなることを通称でこう呼びます。子育て経験がある女性の多くがこの状況を体感していて、子育て情報メディア「コズレマガジン」を運営するコズレが2024年10月に発表した調査(※1)では、0歳以上の子を持つ女性の54.3%が「直近1ヵ月で記憶力・集中力がともに低下した」と回答しています。
この「マミーブレイン」に「そんなの育児に対する言い訳」「科学的根拠はない」という声がSNSなどで上がったりしますが、2024年9月には『ネイチャーニューロサイエンス』という世界的な神経科学雑誌で、調査研究論文(※2)も発表され、産後うつなどの治療対策のためにも今後は研究が進んでいくと言われているようです。
私も出産した後、あらゆることを忘れました。よく出産直後に計算問題をすると、簡単な問題でも解けないことがあるといいますが、私は時計を見ても何時なのか理解できないことがありました。今考えると怖いですが、それぐらい頭がぼんやりしたり、ある意味おバカさんにならなければ、あの出産時の究極の痛みや産後の授乳地獄など、乗り越えることはできなかったのかもしれません……。
通常はだいたい半年から2年くらいで「マミーブレイン」の症状は落ち着くそうなのですが、私は産後4年、いまだに「マミーブレイン」絶賛継続中です……。「今日は絶対に洗剤を買う!」と意気込んでドラッグストアに行ったのに、帰宅後のエコバッグの中には洗剤以外のものばかり入っていて、「あぁ、またやってしまった」の連続。昨日の夕飯すら思い出せない自信があります(笑)。これはきっとマミーブレインではなく、日々のタスクが多すぎて脳に「やることリスト」が入りきらないせい、と自分で自分を慰めています。
母親である私はこんな感じで物忘ればかりしていますが、息子は「え? そんなこと覚えていたの?」と、驚くこともよくあります。気をつけないと忘れっぽい母の姿を息子はバッチリ記憶してしまうに違いありません……(笑)。今回は、意外なことを覚えていた息子の「記憶力」に関するエピソードをお伝えします。
※1:出典:「マミーブレインが購買行動に及ぼす影響に関する調査(株式会社コズレ)」
※2:Women’s neuroplasticity during gestation, childbirth and postpartum
暗い表情で何かをつぶやく息子
その日、いつものように保育園から帰宅した息子は、手洗いうがいを済ませると、すぐにお気に入りのおもちゃを広始めました。普段なら「ママ、一緒にやろう!」「ママ、見て!」と私を巻き込むのに、この日は珍しくひとりでもくもくと遊んでいました。
母親としては、「しめしめ、これはボーナスタイム! 今のうち!」と洗濯物を干し、掃除機をかけ、キッチンを片づけ……とテキパキと家事をこなしていたのです。ところが途中でふと息子を見ると、遊んではいるのですが、小さな声で何やらボソボソとつぶやいていて、真剣な顔……!? う~ん、もしかしてちょっと暗い表情なのでは……!?保育園で何かあったのかな、と「どうしたん?」と声をかけてみたのですが、こちらを見ることもせず、小さな声で何かをつぶやき続けているのです……。
私は胸がキュッと締めつけられるような気持ちになりました。「もしかして保育園で何か嫌なことがあった?」「お友だちとケンカした?」「先生に叱られた?」……と様々な不安要素が頭をぐるぐる駆けめぐります。息子が通う保育園では、親と先生が日々の出来事をやりとりする連絡帳がなく、園での子どもの様子は、教室前に張り出される「今日の出来事」というお手紙と、本人からの話で把握するしかないのです。
でも、息子に「今日はどうだった?」「誰と遊んだの?」と聞いても、いつも一言「わからん」「わすれた」と返されることばかりで、実際どうだったのかは、正直なところわかりません。親としては、心配しすぎもよくないと思うので、送迎のときにお友だちと接する様子を見て、と笑顔だったり遊び始めたりしたら、「大丈夫!」と密かに確認していたりします。でも、この日の「暗い表情+ボソボソ声」の組み合わせは、今までにないパターンで、心配MAXになってしまったのです。
サブリミナル効果と子どもの記憶力
とりあえず、そーっと息子の背後に回り、何をぼそぼそつぶやいているのか、耳を近づけてみました。
すると……「タイーヤ〇ルゼン、タイーヤ〇ルゼン♪」まさかの、関西ではおなじみの某タイヤ・ホイール専門店のCMソング……。真剣な顔で、しぶしぶつぶやいていた内容がこれだったと知った瞬間、私はその場で笑い転げ、まるでタイヤのようにゴロゴロと床を転がりそうになりました(笑)。
でも、ちょっと待って……。わが家はここ2年ほどテレビをほとんど見ていません。日々の出来事はニュースサイトを見て、息子も動画は子ども専用のYouTubeチャンネルなどが中心。なのに、なぜテレビで流れるこのCMソングを知っているのか? 「あぁー、あのとき!」……思い出しました。そして、驚きました。
2ヵ月ほど前に、一度だけ息子が大好きな戦隊モノの動画をYouTubeで見たことがあったのです。その戦隊モノのスポンサーがあのCMのメーカーさんだったのです。私も学生時代から耳に残っているキャッチーなメロディだったので、CMが流れてきたときに、「息子がおもしろがるかな」と軽い気持ちでいっしょにちょっと口ずさんでみたのです。
でも、息子は思った以上にノーリアクション……、私もすっかり忘れていました。そんな本当に何気ない私の記憶にも残らない瞬間のひとコマが実は息子の心に残ったのか、2ヵ月後にひとり真剣に歌っているなんて……。子どもの記憶力って底知れないし、不思議だなと思う瞬間でした。
このエピソードをX(旧Twitter)に投稿したところ、なんとみなさんから1万件以上の「いいね」をいただき、コメントもたくさん寄せられました。そして、他のお子さんにもあのCMが愛されていることも知りました。
◆『カーポート〇ルゼンの社長さんに届けたいくらい可愛い話』
なんと、実際に社長さんご本人から「届きました。ありがとうございます」とコメントがをいただきました! SNSの威力を思い知りました。カーポートマルゼンの社長さん、こちらこそ、ありがとうございます!
◆『うちの子も、タイヤ〇ルゼンに夢中で、自作の絵本まで作っていました』
なんと!!! ここまで愛に溢れていたとは……! 推し活の極みですね(笑)。
◆『お風呂で湯船に浮かべた桶を回しながら『タイーヤ○ルゼン♪』と歌っていました』
親世代のCMソングが代々引き継がれているのはなんだかいうれしいですね(笑)。
大人になって思い出してくれたら
今回の子どもの記憶力に関しても驚かされましたが、子育ては毎日が発見の連続です。家事に仕事に育児と忙しい毎日、なかなか時間が取れないこともありますが、限られた時間の中でも一緒に濃い時間を過ごし、息子の心に「ママと過ごした楽しい時間」が少しでもいいから記憶に残ってくれたらいいな、と思います。
そして、いつか息子が大人になって、もし壁にぶつかったとき、いえ、何かのきっかで「タイーヤ、○ルゼン♪」と口ずさんでしまったときに、「子どもの頃、なんか歌ったな、母と笑ったな」と、笑顔になってくれたらいいなと想いっています。
親が忘れてしまうような些細なことも、子どもはちゃんと覚えている。だからこそ、何気ない日々を大切に、今日もまた一緒に笑い合って過ごしていこうと思います。ワッショイ!