大塚製薬が販売する「SOYJOY」は、スティックタイプの食べやすい食品。原料は大豆です。2006年に発売され、今年で19年を迎えるロングセラー商品でもありますが、どのようなコンセプトで、どのような技術を持って作られているかは、あまり知られていないかもしれません。また今も売れ続ける人気の秘密はどこにあるのでしょうか。2025年春夏ネタマッチ合同発表会で、担当者の話をお聞きしました。
トータルヘルスケアカンパニー「大塚製薬」の使命
「SOYJOY」を販売する大塚製薬は、疾病の治癒から日々の健康増進までを目指し、医薬関連事業とニュートラシューティカルズ関連事業を手がける、トータルヘルスケアカンパニーです。医薬関連事情では、病気で苦しむ患者さんが1日も早く病気から快復できるように新しい治療薬を提供、ニュートラシューティカルズ関連事業では、世界中の人をより健康でアクティブにするような製品を提供しています。「世界の人々の健康に貢献する革新的な製品を製造する」という企業理念を掲げ、日々研究や商品開発を行っています。
さらに大塚製薬は、環境負荷軽減の可能性を持つ大豆に着目し、Soylution:Soy(大豆)+Solution(解決)をテーマに開発された革新的な製品を通じて、様々な価値観を持つ世界の人々のよりよい暮らしに貢献していきたいと考えています。大豆は畑のお肉とも呼ばれる栄養価の高い食材。良質なたんぱく質を含んでおり、日本人の健康を支える食材の一つです。一方、世界の人々が直接口にしている大豆は、生産量のわずか6%※1に過ぎません。
また、タンパク源のひとつである牛肉を作るには、大豆など穀物を10kg使用するといわれています。同じ量の牛肉に対し、大豆を生産する時に必要な水の割合やエネルギーを節約できるというデータもあることから※2、もし大豆を直接人々が食べることができれば、地球上の健康問題や環境問題の解決にもつながるのではないかと考え、大豆の無限の可能性に着目しました。
そしてすでに販売されていた、まるごと大豆飲料の「スゴイダイズ」の栄養豊富なおからの部分まで原料にいかす技術と、「カロリーメイト」のバータイプにする技術を活かした焼き菓子を作る発想が生まれました。それが大塚製薬の「SOYJOY」の始まりです。
※1:出典 : 米国農務省統計
※2:米国コーネル大学 デヴィット・ピメンテル教授のコメントより
「SOYJOY」の特徴
「SOYJOY」は大豆をまるごと使う食品です。特に食品として販売される際に捨てられることが多い「おから」には食物繊維が多く含まれますし、たんぱく質や脂質、糖質、ビタミンやミネラルも含まれます。実は栄養価の高いおからも使うことで、大切な栄養をまるっと取り入れられています。さらに「SOYJOY」は小麦粉を使用しないグルテンフリーですから、グルテンを気にする消費者や小麦アレルギーの人でも食べることが可能となります。
もう1つ注目したいのが、低GI食品であること。GIはグリセミックインデックスのことで、食品に含まれる糖質の吸収度合いを示すもの。GI値が55以下の食品は「低GI食品」と呼ばれており、GI値が低い食品ほど糖質の吸収が穏やかと言われています。
GI値が70以上を高GI食品、56~69を中GI食品、55以下を低GI食品と3つのグループに分けていますが、「SOYJOY」においては、全ての種類が低GI食品となっています。近年、「SOYJOY」が食事に取り入れられることも多くなっているそう。例えば軽めのランチとして、おにぎり1個と「SOYJOY」1本という組み合わせです。また移動中や夕食前のつなぎ、仕事の休憩時のおやつ、ちょっと小腹が空いた時、そして健康的な食生活を心がけたいときなどにも活躍しそうです。
圧倒的な「黒ゴマ」感。今、なぜ黒ごま?
「SOYJOY」のラインナップを見ると、ドライフルーツとの組み合わせが多くなります。開発時は、大豆粉は焼くとかたくなってしまい、小麦粉のようなふわっとした食感にならないことが課題とされていました。せっかく大豆粉を使うのだから、美味しさや風味を残すことを考えた末、ドライフルーツとの組み合わせが考え出されたのです。焼き上がった後で、ドライフルーツから出る水分が「SOYJOY」になじみ、しっとり感が生まれました。どのようなドライフルーツを使えばいいのかは試行錯誤の末に決まり、レーズンアーモンド、カカオオレンジ、アプリコット、マンゴーココナッツ、サンザシ、アップルの6種でスタートしています。
その後は植物由来の原材料を使用した「プラントベースシリーズ」なども展開していますが、2025年3月に発売されたのは「SOYJOY 黒ゴマ」です。黒ゴマも大豆のように栄養価が高い食べ物。そしてプチプチとした食感を味わうことができます。
また女性が好きな和・エスニック系の素材&フレーバーでも10位になるなど、人気の味でもあります。(BMFT Sweets Taste 2017 素材・フレーバーの嗜好動向)。
むしろこれまでなかったフレーバーだったことに少々驚いてしまったのですが、和の食材でもある黒ゴマの風味や食感を楽しめるSOYJOYが発売されます。
SOYJOYをデスクワークのお供に
筆者はほぼ毎日自宅でデスクワークをしています。ちょっと小腹が空くとお煎餅やクッキーなどを食べることがありますが、時々SOYJOYの出番が来ることも。毎日SOYJOYを食べているわけはないですが、実際に食べてみるとデスクワーカーだから思うメリットもあります。まずは片手で食べられて、しかも手が汚れないこと。パソコンの画面を見たりマウスの操作をしたりしながらSOYJOYを食べますが、ウェットティッシュなどで手を拭かなくてもすみます。そして食べてもポロポロしないこともデスクワーカーとしては嬉しい点。キーボードの上に食べかすが落ちるのはなんだか嫌ですから。
SOYJOYが発売になったとき、「なんだ大豆なのか」と感じた人もいるかもしれません。大豆の栄養価は知りつつも、今ほど大豆に着目されてない時代であれば、大豆が蔑ろにされることもあったかもしれません。でも今は時代が変わりました。ヘルシーで栄養価も高いことが認識されていることでしょう。大豆をまるごと使うSOYJOYが活躍する舞台が本格的に整ってきているのかもしれません。