【前編記事】『「スタバの日本事業売却」でこれからカフェ業界に起こる異変…コメダ、ドトールら虎視眈々と』よりつづく。
トリドールが注力する“ハワイアン”カフェ業態
「コナズ珈琲」は、全国55店舗(2026年6月時点)を展開する、“いちばん近いハワイ”をコンセプトにした、日本にいながらハワイにいるような体験ができると標榜するカフェ・レストラン。ロードサイドを中心とした立地展開で、近年存在感を発揮している。
運営元はトリドールホールディングス(以下、トリドール)の100%子会社である株式会社KONA’S。親会社のトリドールは、ご存じ「丸亀製麺」など様々な業態のチェーンを展開する年商約2800億円の外食大手企業だ。
コナズ珈琲は2013年12月に1号店である「コナズ珈琲 ふじみ野店」を埼玉県に出店。トリドールの新たな成長事業として、2019年にコナズ珈琲分割準備会社を設立し、その後2023年に株式会社KONA’Sに商号変更し分社化した経緯を持つ。迅速な意思決定で環境変化に柔軟に対応し、グループの事業基盤を活用しながら、効率的かつ効果的な運営でグループの企業価値を最大化させることが、トリドールの狙いなのだろう。
本記事では、そんなトリドールの新機軸と呼べるコナズ珈琲の成長可能性を分析していきたい。
同チェーンの売りは、ハワイで過ごす休日のような心地よい時間と、美味しい食事がもたらす感動体験だという。店内はカラフルなハワイアン雑貨やサーフボードが飾られ、遊び心のあるインテリが、ハワイのローカル店にいるような雰囲気を演出。また、フードメニューはバリエーション豊かで、代名詞でもある店内焙煎にこだわったコナコーヒーやリゾート気分が味わえるハワイアンカクテルなども揃う。
「競合はほぼ存在しない」領域ゆえに
コナズ珈琲の売上の推移を見ると、創業時からの5年間で売上が倍増している。2022年3月期66億円から76億円→87億円→114億円→133億円と成長著しく、2027年3月期も150億円、新規出店も10店を計画している。まさに好調と言っていいだろう。
それでも現在はまだ、カフェ業界全体から見れば小規模チェーンにすぎない。だが、今後さらに伸びる可能性は高い。そう断言できる理由はシンプルで、カフェ市場の中で、〈ハワイアン×郊外リゾート〉という独自のポジションを有しており、「競合がほぼ存在しない領域」で、先行者利益を享受できているからだ。
時流として「非日常体験」への需要が高まる中で、ハワイの世界観を丸ごと提供するコナズ珈琲の提供価値は際立つ。店の特徴をあらためて列挙すると、
①店舗デザインとしてリゾート感がある、②パンケーキ・ロコモコなどのハワイアン料理が充実しておりファミリー層にも人気、③滞在時間が長く、想定客単価1800~2200円と高いが顧客には納得感がある、④1店舗あたりの売上も高い、などだ。
現在、関東と関西のロードサイド型大型店を中心に展開しているが、今後、空白地帯への出店強化など店舗数の拡大が期待される。また、すでに報じられている通り、「スターバックス」日本事業の売却が検討されていることで、都市部を中心にカフェチェーンによる競争激化が見込まれているが、コナズ珈琲はその立地上、影響が少ないことから、相対的に価値が上がりそうという追い風も期待できる。
姉妹ブランドも続々オープン
またコナズ珈琲は順調に出店を進めている中、今年3月に新ブランド「KNOWS COFFEE(ノーズコーヒー)」をオープンさせている。同店は駅前立地に主眼を置き、ライブ感たっぷりのパンケーキバーや、こだわりのコーヒー体験が楽しめる店を目指すという(現在は2店舗)。
それ以外にも、5月には姉妹ブランド「goodNess(グッドネス)」もオープン。こちらは「ハワイのごちそう」がコンセプトのハワイアンカフェ&バーレストラン。営業はモーニング・ランチ・ディナーとすべての時間帯に対応、コナズ珈琲でおなじみの料理を同店ならではのダイニング仕様にアレンジしているという。
このようにトリドールは近年、丸亀製麺以外の飲食ブランド育成において、とりわけカフェ事業の強化に動いている。カフェ市場はコーヒー単価の限界から、フード比率が高いブランドが総じて強くなっているが、コナズ珈琲もまた“食事で選ばれる”カフェとして優位性を持っている。
非日常体験を求める層の受け皿となって、市場トレンドに合致したコナズ珈琲。今後もさらなる成長が期待できそうだ。これから夏休み本番。円安・物価高で本場のハワイに行くことが難しい中、近くのコナズ珈琲でハワイアンを体験することは、夏休みの心に残る思い出になるかもしれない。
【こちらも読む】『「サイゼリヤ」一強時代に風穴を開けるか…ゼンショーが仕掛けるイタリアンファミレス「オリーブの丘」が急増中』