神奈川県横浜市、JR関内駅南口の目の前に1959年から建っていた横浜市庁舎の行政棟。昭和の名建築家・村野藤吾さん設計のこの歴史的建造物がホテルに生まれ変わりました。それが4月21日にグランドオープンした「OMO7(おもセブン)横浜 by 星野リゾート」(以下、OMO7横浜)。“レガシーホテル”として、ハマっ子の愛着ある建物を活かし、守るだけでなく、地域の人びと、企業、行政とガッチリ手を携(たずさ)えて歩み始めています。【前編】
旧本会議場のイス、大階段の手すりも再利用
午後4時半。この日は地元のプロ野球チーム、横浜DeNAベイスターズのナイトゲームが開催されるとあって、関内駅前は大いににぎわっていた。人波をかき分けるようにしてOMO7横浜のエントランスを入ると一転、そこはどっしり重厚で静かな空間「OMOベース」。ここの1〜2階をつなぐ大階段は、旧横浜市庁舎の象徴だった旧市民広間の大階段を再構築したものだそうで、手すりの一部には昔の階段のものが再活用されている。
1階の床も、半分は市庁舎時代のタイルそのままだが、もう半分にはその色、デザインを踏襲したタイルが新たに貼られている。いわれてみれば、新しいほうは目地部分がクッキリ白く、古い床との“境目”がハッキリわかる。ぶっとい柱やレトロなエレベーターまわりも市庁舎時代のままで、なんとも面白い空間だ。
客室内に個室!? 家族や友人との“語り場”が
そして客室に入ってみると……今度は印象が一変! レトロモダンとでもいおうか、独特の世界観を活かした、テーマパークのような空間が広がる。壁は少しグレーがかったような青色で、これは旧市庁舎のエレベーターホールなどでつかわれていたツヤのある磁器質タイルの色をイメージしているそうだ(ほかに、旧議長室の絨毯をイメージした赤壁の部屋、旧市会棟本会議場の議員席などをモチーフにした緑色の壁の部屋もある)。だが、色合いはレトロチックでも、デザインはきわめて現代的で、つかい勝手もいい。
今回泊まったのは最大定員4名の「かたりばルーム」。その名のとおり上写真のような、“家族や友人グループでおおいに語り合ってください!”といわんばかりの、ラウンドしたソファとテーブルのボックス席が設けられている。しかもここ、木の壁と天蓋(?)で仕切られていて、ちょっとした個室の趣。とにかく落ち着くし、それでいてソファの華やかな色合いが、「さて、何から話そっか?」というワクワクした気持ちにさせてくれる。さすがOMO7、高知でもそうだったが(こちらの記事をチェック)、相変わらずの“神”デザインだ。いや〜、これは楽しい!
そしてエキストラベッドにもなる大きなソファのある窓辺に向かえば、市庁舎のときのままの窓枠の向こうに横浜スタジアム(以下、ハマスタ)が! グラウンド面やスコアボードの表示は見えないが、雰囲気は十分に感じられる。“気分上々、ハマイズム”というホテルのコンセプトどおり、早くもハマっ子、ベイスターズ・ファンの仲間入りをしたような気になってくるのだ。
OMO7横浜には上写真のように、最大定員6名で、広〜いロフトもベッドルームになっている「やぐらスイート」や、同じフロアに屋外ドッグランや屋内ドッグラウンジを備えた、愛犬と泊まれる3タイプの「ドッグフレンドリールーム」もある。いろんな人が、いろんな人やペットと、“気分上々、ハマイズム”体験できる場、それがこのホテルなのだ。
屋上テラスでクラフトビール&ハマスタを満喫!
こちらの極めつけは、旧横浜市庁舎の屋上を活用した「HAMAKAZEテラス」(宿泊者のみ入場可)だ。見晴らし台の先端に身を置けば、上写真のようにハマスタが丸見え! ベイスターズのファンには夢のようなシチュエーションだろう。後述するが、夜はこのテラスにある「HAMAKAZEキッチン」が開店、クラフトビールや軽食、週末にはジャズの生演奏も楽しめる。とにかく遊び方がいっぱいのホテルなのだ。
ホテル内を見て回り、OMOベーカリーで5種類のカレーパンのなかからビーフカレーパンを選んでほおばり、OMOダイニングでは夕食アラカルトで、前菜「蒸し鶏のネギソース」に、スパイシーなラム肉などを包んだ「赤と白の餃子セット」、さらに辛い海老のビスクといった味わいの「オマール海老の麻婆ホットパイ」をいただき、ほぼ満腹になっているうちに、すっかり夜になってしまった。
というわけで再び屋上テラスに上がり、HAMAKAZEキッチンでクラフトビール、「ミートボールナポリタン風」「ミックスフライドポテト」をゲットし、文字どおりハマ風に吹かれながら、HAMAKAZEテラスでいただく。横浜ローカルのビールが旨い! もう一杯、おかわり!!
ディープすぎる飲み屋街・野毛をご案内!
だが、ハマの夜はまだ終わらない。全国に展開される星野リゾートのOMOは、宿泊客がホテルのある各街を知り、新たな発見や出会いを通してその街に溶け込むことを強く推奨しているブランド。ここ横浜でもご多分に漏れず、「ご近所マップ」と「ご近所アクティビティ」などのサービスを展開していて、夜のハマ体験もオススメしているからだ。
そうしたサービスのひとつ、「野毛ホッピングセレクション」(上写真)に参加してみた。この地域をこよなく愛するというホテルのスタッフ「ご近所ガイドOMOレンジャー」たちが、600以上の飲食店が連なる野毛のオススメ店&メニュー、この街の“呑みの作法”、ハシゴ酒の仕方(野毛ではハシゴがデフォルトらしい)を宿泊客に伝授してくれるアクティビティで、フリップやご近所マップ、ディープ情報満載の「オリジナルショップカード」などを駆使しておこなわれる。トークに聞き惚れ、笑顔に見惚れしているうちに、いつの間にかいっぱしの“野毛ファン”になっているから不思議だ。
そして夜11時、単身ホテルを出てOMOレンジャーが薦める野毛に繰り出した。さすがに時間が遅すぎるかと思ったが、どうしてどうして。眠らない街・野毛は、まだまだ千鳥足でハシゴ酒をするスーツ姿の人びと、ベイスターズのレプリカ・ユニフォームを着てカラオケで熱唱する人たちであふれていた。いやはや、すごいエネルギー!
そして野毛から15分ほど歩いてホテルに戻ってきたのは午前1時過ぎ。こんな深夜でも、OMO7横浜は酔った宿泊客(私のこと)を“おかえり!”とやさしく迎え入れてくれた。ありがとう! ──【後編】に続きます──
Text&Photo:舩川輝樹(FRaU編集長)