都内屈指の高級住宅地として知られる武蔵野市吉祥寺南町の一角に、一軒のセブン-イレブンがある。このコンビニでは週末になると、ハンチング帽をかぶった老紳士がふらりと現れ、店内に目を光らせるのがおなじみの光景となっていた。
老紳士はセブン&アイHD名誉顧問の鈴木敏文氏。セブン-イレブンを立ち上げ、巨大な全国チェーンに成長させた鈴木氏は、「コンビニの父」とも呼ばれた。
行きつけのセブンで購入していたモノは…
5月18日に心不全のため93歳で死去したが、数年前まで自宅近くのセブン-イレブンをたびたび「視察」していた。
「徒歩で来店し、店内をくまなくチェックされていました。時には、『おでんと肉まんは夏季でも置いたほうがいい』といったアドバイスをくださることもありました」(当該店舗のセブン店員)
鈴木氏は’16年に会長から名誉顧問となり、経営を退いたが、その後も視察は続いた。ただ、晩年は新商品には関心を示さず、長年親しまれてきた定番商品に愛着があったようだ。購入の際、セルフレジに戸惑っていることもあったという。
90歳を過ぎてからも店舗を自ら訪れていたが、亡くなる直前はお手伝いさんが代わりに来店するようになっていた。
「お手伝いさんがいつも購入するのは、レトルトごはん(180g)。それと、ビール、日本酒でした。好物だったのは、森永のアイス『みぞれいちご』ですね。残念ながら現在は、うちの店では販売終了してしまいました」(セブン店員)
口癖は「『お客様のため』ではなく、『お客様の立場』で考えろ」。自らコンビニの商品を購入し、気づいたことがあればすぐに改善を指示していた。本誌の取材にも積極的に応じ、そのたびに舌鋒鋭いコメントを寄せてくれた。
物価高で日に日に商品が値上がりしていくコンビニ業界の現状について、鈴木氏なら何を語ったのだろうか。合掌。
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「週刊現代」2026年6月22日号より