物価高の中、売上144%増だったもの
ホルムズ海峡の問題で原油がらみの物価高が注目されている。「食品」の値上がりは深刻だが、さらに流通の価格も上がることでさらに値上がりの可能性もあるからだ。
たとえばチョコレートは、2024年には「カカオショック」と呼ばれるほど、原材料のカカオの値段があがった。2026年はカカオの値は下がってきたが、上記のように物流などの値段があがったことでチョコレートの商品価格は高止まりなのだという。帝国データバンクの発表によれば、2026年のチョコレートの平均価格は前年比4.3%上がっている。しかし値が上がっているけれど買い控えはされなかったため、2026年バレンタインのチョコレート売上は前年日144%増だったとShopify Japanが発表している。
1950年代に始まった「好きな人にチョコレートを贈る」という日本独自の習慣から、今では自分へのご褒美として購入する人も増えている。そして「自分用」には価格帯の高いチョコレートを選ぶ傾向もあるという。
キャリア10年以上、3000件以上の調査実績がある私立探偵・山村佳子さんは「バレンタインに“告白する”という風潮が薄れています。しかし、むしろバレンタインにドキドキした青春時代を過ごした40代以上にとっては、チョコレートをもらい、恋が生まれ、浮気に発展することもあるのです」と言う。
山村さんに依頼がくる相談の多くは「時代」を反映している。そして心理カウンセラーの資格のある山村さんは、メンタルケアも行いながら調査をしている。山村さん連載「探偵が見た家族の肖像」「探偵はカウンセラー」には、多くの人が抱える悩みを解決するヒントが含まれている。GWには家族とともに過ごす時間が増える人も多いことだろう。そこで、これまでの連載よりGWスペシャルとしてテーマに合わせてお届けする。第1回のテーマは「家庭内格差」。
今回山村さんのところに相談に来たのは外資系の会社に勤務する44歳の裕子さん(仮名)。「同じ年の夫の帰宅が遅くなり、自分でパンツを買うようになったんです。完璧に浮気」と山村さんに連絡をしてきた。裕子さんは外資系勤務の超エリート。夫は同じ年だが、年収が夫の4倍だった。
山村佳子(やまむら・よしこ)私立探偵、夫婦カウンセラー。JADP認定 メンタル心理アドバイザー JADP認定 夫婦カウンセラー。神奈川県横浜市で生まれ育つ。フェリス女学院大学在学中から、探偵の仕事を開始。卒業後は化粧品メーカーなどに勤務。2013年に5年間の修行を経て、リッツ横浜探偵社を設立。豊富な調査とカウンセリング経験を持つ探偵として注目を集める。テレビやWeb連載など様々なメディアで活躍している。
「バレンタインは嫌い」な高収入女性
今回の相談者・裕子さんは、目元がはっきりしており、華やかな女性です。外資系の会社でイベント関連のプロジェクトや、SNSの運営などが主な仕事だといいます。今年、流行しているベージュのスーツを颯爽と着こなしており、いかにも”できる女性”という雰囲気。「この問題は自分としても冷静に話したいので」と、午前中にカウンセリングルームにいらっしゃいました。
「まさかうちの夫が浮気するとは思わなかったんです。おかしい行動が始まったのは、2月半ばから。家に帰ってきてすぐにシャワーをしたり、自分の部屋に閉じこもったりするようになったんです」
裕子さんは海外出張も多く、3ヵ月に1回、7〜10日ほど家をあける日があるそうです。
「以前なら、夫は私がいない間に、バスルームのカビを取ったり、シンクの掃除をしたり、色々やってくれていたんです。でも、ここ半年ほどは何もしていない。それどころか、家に人の気配がなく、外泊をしている疑いがある。もう絶対に浮気なんですよ」
まず、裕子さん夫婦について伺うと、結婚10年とのことでした。
「夫と私は友達の紹介で出会いました。私はいわゆるバリキャリに憧れていましたが、当時は就職氷河期。大学を卒業してもどこも入れず、製パン企業に入社。工場勤務から始めて、キャリアアップ転職を繰り返し、10年前に今の会社に採用されたのです」
全ては仕事を優先しており、付き合う男性もハイスペックな人ばかりでした。しかしそういう人の多くは、裕子さんに「女」を求めていたといいます。
「元カレたちはお金がある人ばかり。ご飯作って欲しい、結婚したら家庭に入って欲しい、バレンタインに手作りチョコが欲しいとか言ってくるたびに嫌になってフェードアウト。一生独身で生きてこうとした時に、夫に出会ったのです」
夫は脚本家を夢見て非正規雇用
夫はシナリオライターを夢見ており、区役所で非正規の仕事を続けながら、台本を書き続けていました。最近人気がぐんと高まっている中堅私大を卒業しており、とにかく真面目。男性のフェロモンが薄く、裕子さんの好みだったそうです。
「同い年なのに老けて見えるもっちゃりしたおじさんだったんですが、誠実で清潔感がある。この人しかいないと思って、自分から告白したんです。夫は“女性から告白されるなんて初めてだ”と驚いていましたが、受け入れてくれました」
とんとん拍子で結婚し、裕子さんは2人の新居のために東京23区内にマンションを購入。
「当時の夫は手取り15万円。奨学金も返済しており、手元に残る月10万円で生活していたんです。私と結婚するまでほとんど外食もせず、服も買わずに生きてきたみたいです」
結婚した夫は裕子さんがもたらす経済的な安定と、穏やかな生活に心から感謝していたとか。
ダイエットをさせ、いい男に「育てた」
「夫はとにかく優しくて、体の相性もとてもいい。私も仕事を頑張るようになりました。夫はシナリオも頑張っていたのですが、3年前に夫の母が亡くなったことを機に、“夢を追うのはもうやめた”とシナリオを諦め、友達の紹介で教育関連の会社に正社員で入社したんです」
41歳の転職は、不慣れな営業からスタート。誠実な人柄と、裕子さんのコーチングのおかげで、夫は成績を残せるようになっていったそうです。
「それまでぽっちゃり体型だったのですが、ダイエットをさせて、歯のホワイトニングと定期的なエアフローを一緒に行っています。スーツも買ってあげたし、ヘアサロンの育毛コースで髪も健康的になりました。育毛コース20万円くらいの費用を、私が出していい男に育てたんです」
裕子さんは「夫の魅力を引き出してあげる」ことに全力を尽くしました。「結婚記念日や誕生日、バレンタインやクリスマスといった記念日に何かをすることは好きではない」そうで一切やってきませんでしたが、夫の見た目アップのためには手間もお金もいといませんでした。どんどん見た目も素敵にして、営業としても成績がアップしていったそうです。裕子さんは収入が増えれば、「今までありがとう」と家にお金を入れてくれると思っていたそう。
「今までありがとう」どころか…
ところが、正社員になって数ヵ月、それどころか態度が変わってきました。
「そんな期待は見事に裏切られました。さらに、前までしてくれていた、肩を揉んだりというケアもないし、夜の生活も工夫もなく、最近は超手抜き。文句を言うと、“俺だって疲れているんだ”と背中を向けて寝るんです」
それが昨年2月末くらいからで、さらに決定的だったのが8カ月後の11月のこと。亡くなった夫の母の大規模な法事が行われるので、夫の実家がある山陽地方に夫婦で行くことになっていたのですが、夫はそれをドタキャンしたのです。
「仕事のトラブルだと言っていましたが、本当はどうだか。そもそも夫は激しいマザコンなのに、来ないのはおかしい。とにかく全部が疑わしいんです」
話を聞いていても、夫は浮気をしている可能性が高いと感じました。お金がない時期を支え、安定した生活と希望を与えてくれた裕子さんにとっては浮気は裏切り行為と言えるでしょう。
「浮気をしていたら、慰謝料の請求をして離婚です。相手の女からもぶんどります。私のことをナメていたら、絶対に許さない」
裕子さんは発音が明瞭で、声が大きくよく通る。さらに頭脳明晰で、相手に逃げ道を残さないようなところがあります。
「夫との結婚生活、私が全額お金を出しているんですよ。結婚指輪、プレゼント、家、車、生活費……夫は“ありがとう”と言うだけで、ティッシュ1枚自腹で出したことはありません。確かに、私の方が4倍以上の収入がありますが、外資だからいつレイオフ(解雇)されるかわからない。夫がいなければもっと楽な会社に転職したり、海外勤務だってできるんです。浮気をしていたら夫を捨てます。調査をお願いします」
◇容姿ではなく夫の本質的な魅力をみつけ、引き出した裕子さん。経済的にも支えてきて、自分が素敵な男性にしたのに浮気だなんて……と感じてしまうのも当然だ。夫は本当に浮気をしているのだろうか。そして調査を受けて夫婦の決断は……。
詳しくは後編「夫の収入4倍、外資系勤務の44歳妻が「立派に育てた冴えなかった同じ年夫」に見切られた理由」にてお伝えする。