今年に入っても「TSUTAYA」の閉店ラッシュが止まらない。若者やクリエイターが集まるカルチャー色の強い街・三軒茶屋を象徴した「TSUTAYA三軒茶屋店」が1月14日に閉店したのを皮切りに、2月には「TSUTAYA BOOKSTORE名鉄名古屋」などが閉店済み、4月には「TSUTAYA 菊名駅東口店」などが閉店予定だ。悲しんでいるファンも多いだろう。
あらためて振り返ると、2022年から2024年まで毎年100店舗以上、昨年も約70店舗が閉店(編集部調べ)。もはやTSUTAYAがいっさい存在しない“空白地帯”の街もザラになってきている。あらためて同チェーンの「思惑」と、思わぬ事態について、流通アナリストの中井彰人氏が解説する。
2000年代に「黄金期」迎えるも…
2026年2月、ソニーがブルーレイ・ディスク(BD)レコーダーの出荷を停止すると発表した。放送済みのTV番組や過去の映画などのコンテンツの視聴は配信サービスが担う時代となって、BD録画機のニーズは急減、出荷台数はピーク(2011年)の10分の1にまで縮小していたのだという。
言われてみれば、TVerなどがあるから録画の必要もないし、BDも最近使う機会もないから再生機能もしばらく使ったことがない。コンテンツものは、クラウドで大抵のことが済む時代になっているから、「そういえば、レンタルDVD・CDを使っていたのもかなり前だ」と思い出した。
TSUTAYAも昔は結構使っていたが、家の周りからどんどん消えていって、自分の日々の通り道からはなくなった。TSUTAYAはいま、どうなっているのだろう。
TSUTAYAといえば、かつてはDVD・CDレンタル、セルと書店を組み合わせた複合書店という業態で全国に店舗網を拡大。2000年代頃までは「コンテンツチャネルといえばTSUTAYA」という時代を作り上げた企業だが、コンテンツは配信の時代に変わり、DVD・CDといった現物を売ったり、レンタルする市場は消失しつつある。
レンタル店舗は250店まで減っていた
下のグラフは、日本映像ソフト協会の市場規模データだ。これを見ても分かる通り、映像ソフトの現物の取引がどんどんなくなっているの。そして、全国に1500店弱あったと言われる最大手、TSUTAYAの店舗網も急速に縮小に向かっている。
直近の店舗検索で調べてみたのだが、2026年2月時点では667店舗にまで減り、そのうちレンタルをやっている店舗は250店まで減っていることが確認できた。残っているのは書店(+カフェ)としてのTSUTAYAということになる。
TSUTAYAを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(以下、CCC)は2011年に既に上場廃止となっているため、その業績は開示されていないので現在どんな状況にあるのかはよくわからない。ただ、TSUTAYAフランチャイズ加盟店の上場企業トップカルチャーは、CCCの15.49%の出資を受けており、非上場の親会社等の決算に関する報告を2024年まで公開していた。
その情報によると、2024年3月期のCCCの売上は903億円、経常利益70億円と記載されている。そもそも、TSUTAYAはフランチャイズ主体の店舗であるため、売上は店舗の売上とは直結しないのだが、企業売上としても2000億円ほどあったCCCの規模が縮小していることは間違いあるまい。
ポイント経済圏の主役すら奪われて
こうした環境の変化をTSUTAYAは想定していたようで、自らは「Tカード」を起点としたTポイントビジネスに軸足を移す予定だった。
ピーク6000万人と人口の半分くらいをカバーした会員数で、Tポイント連携する企業を続々と増やして、ピーク時は、ファミマ、ローソン、エネオス、ドトール、すかいらーくグループ、Yahoo!ショッピング、三越伊勢丹、ウエルシア、ハックドラッグ、吉野家、ロッテリア、など有力企業がポイント連携していた。
これにより“Tポイント経済圏”を構築してデジタル時代のビッグデータの盟主となろうとしていたのであるが、これがあっけなく崩壊する。
ポイント経済圏の主役となったのは、Amazonや楽天といったEC大手、携帯キャリア大手(ドコモ、au、ソフトバンク)たち。TSUTAYAのコンテンツにおける存在感が薄れれば、Tポイント連携の意義は薄れていき、ファミマ、ローソン、Yahoo!、三越伊勢丹、ドトールなど多くの企業が離脱していった。
現在、TポイントはSMBCカードグループのVポイントに統合され、TSUTAYAの野望は潰えた。そして、TSUTAYAは“大手書店プラスアルファ”の会社になったようにみえる。
打って変わって、TSUTAYAのライバル「ゲオ」はどうか。実はこの会社、環境変化を乗り越えて、今でもかなり業績を伸ばしている。つづく【後編記事】『泥臭かったゲオと垢抜けたTSUTAYAの「明暗が分かれた」残酷だけれど納得の理由』で詳しく解説していく。