2025年から続く株高は「高市トレード」と呼ばれ、今年も日経平均株価は上昇の一途だった。だがここに来て、イラン戦争が世界情勢を揺るがし、株価は乱高下を繰り返している。
前編記事『イラン戦争で高市トレードは終わるのか…乱高下する相場で狙いたい日本株「定番の18銘柄」』より続けて、この相場をどう読むかを検討していく。
金融銘柄は「推奨」ではなく“警戒”
銀行セクターは一見、金利上昇の恩恵を受けるようにも思えます。確かに貸出金利が上昇すれば利ザヤ拡大が期待でき、収益は改善するはずです。しかし実際には金利上昇には両面性があります。また、銀行が大量に保有する国債・債券ポートフォリオでは、長期金利上昇に伴い評価損が拡大しています。日銀自身の半期決算では国債の含み損が32兆円超と過去最大になっており、これは民間銀行にも同様の圧迫要因となっています。
さらに信用リスク面でも懸念が広がっています。英住宅ローン会社MFSの破綻が発表されると、米銀株が売られ、日本でも影響を懸念した銀行株の連想売りが目立ちました。MFS破綻は担保の二重使用が疑われる巨額の担保不足を生じさせた事件であり、私募クレジット市場の不安が市場心理に影を落としています。
以上の理由から、現状では銀行株を「推奨」銘柄とは言い難く、警戒枠に置くべきでしょう。インフレ下での利ざや改善期待と評価損の苦しみ、さらにMFS騒動のような突発的信用不安の可能性が重なり合い、二重三重のリスクを抱えています。したがって、銀行セクターへの投資は慎重に判断し、必要以上の比率を持たないよう留意する必要があります。
オルカンのままでいいのか
「盤石」だったセクターにリスクが生じる今、いわゆる「オルカン」についても見直す必要があります。
地政学ショックを迎える局面で、「やはりオルカンに回帰すべきでは?」と考える向きもあるでしょう。確かに、今回のような地政学ショック局面では、特定地域に偏重しない世界分散が合理的だとされます。オルカンは全世界約50ヵ国・数千銘柄に分散投資できるため、一部市場の混乱は他地域の成長でカバーできるメリットがあります。実際、米国など主力国の比率が大きいオルカンは長期的なパフォーマンスに優れ、安定したグローバル成長を取り込めるポートフォリオです。
ただし、オルカンも万能ではありません。米国株の比率が約6割を占めており、必ずしもオルカンといえど地理的な分散という点では偏りがあるからです。またオルカンは外貨建て資産なので、円高になれば評価額が下がりやすくなります。
次に日本株の比率です。オルカンの日本株比率は数%程度しかなく、日本経済や日本企業への期待を十分に反映できません。生活基盤が日本にある投資家にとって、円資産である日本株の存在がポートフォリオに安心感を与える側面も少なからずあるでしょう。仮に中東ショックが長く続いた場合、エネルギー価格高騰の影響で輸入コストが増大しがちな日本経済の脆弱性も意識されます。
したがって「オルカンだけでいい」という考え方には限界があります。もちろん、オルカンは分散投資の合理性を高めてくれます。これは円建てベースでの購買力を確保しつつ、世界の成長も享受するハイブリッド戦略です。つまり「オルカンを軸とし、足元で強い日本株などの個別株を保有する」というポートフォリオにも妙味があると考えられるのです。
フルインベストは危険
「王道・守り重視型」の投資家は、オルカンや債券、国内インデックスなどをコアに据え、大半を安定志向の運用で固めます。もちろんリスクを抑えたいなら、あえて今回の高市相場には乗らず、「世界経済の長期成長」を軸にしたオルカンなどの分散投資をコアに据える選択肢もあります。
「中間層向け・バランス型」の投資家には、前編記事〈〉で触れたコア&サテライト戦略が現実的です。コア(オルカン・国内インデックスなど)を7~8割程度に固め、残り2~3割以内のサテライト枠に防衛・エネルギー関連のETFや商社株などを少量組み入れる形です。この比率を事前に決めてから動くことが、相場の混乱時に迷いを生まないための最大のコツです。
その一方、「短期で取りに行く上級者向け」は、リスクを取って大きな利益を狙う投資戦略です。しかし、今回のようにボラティリティ急増の局面では売り圧力も強く、損切りのルールを厳守しないと大崩れする恐れがあります。上級者でもフルインベストは危険です。むしろポジションサイズを抑えつつ、必要に応じてオプションやヘッジ手段でリスクを管理することが求められます。
いずれの型にも共通する「迷いを減らす」原則は、「買う前にルールを決める」ことです。
具体的には、①投資比率の上限(サテライトは何%まで)、②損切りの基準(何%下落したら撤退するか)、③追加購入のタイミング(何%下がったら買い増すか)——この3点を相場に入る前に書き出しておくだけで、ニュースに振り回される行動を大幅に減らせます。
以上のように、中東情勢の急変に伴って相場環境は大きく動いています。またドバイの安全神話が揺らいだことを考えれば、しばらく世界情勢の混乱が長引き、何がトリガーとなるのかは予測が困難な状況です。こうした状況を念頭に踏まえつつ、慎重に投資機会を捉えるスタンスが求められ続けるでしょう。
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