専門用語も学べる“林業ボードゲーム”、電気や水の自給自足を体験できるオフグリッドの宿、海に負荷をかけない“陸上養殖”という試み……。日本から世界へ広げる「生物多様性への取り組み」をご紹介!
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#1 ごみ拾いを競技化、国産材サウナ、未利用魚を食卓へ…日本から世界へ広げる「生物多様性への取り組み」
#2 地域の木材を活用した「豊かな木の空間づくり」で子供たちへの木育も!日本から世界へ広げる「生物多様性への取り組み」
#3 絶滅危惧種シマフクロウの生息地保全、最新技術で海中を可視化も!日本から世界へ広げる「生物多様性への取り組み」
#4 浮体式の洋上風力発電、建設廃棄物のアップサイクルも!日本から世界へ広げる「生物多様性への取り組み」
23.Off-Grid Cabin電気や水の自給自足を体験できる、オフグリッドの宿
オフグリッドとは、送電網を引かずに太陽光発電などで電気を自給自足する仕組みのこと。環境に負荷をかけないライフスタイルが体験できると、欧米ではオフグリッドの宿の人気が高まっている。
高知の山あいと淡路島の海沿いに2つの拠点を持つ「オールビーンズ」は、日本では珍しいオフグリッドの宿。照明や空調には、キャビンの屋根に設置したソーラーパネルで発電した電気を使用。シャワーや水道には、貯水タンクに貯めた雨水を濾過・滅菌して活用している。
宿づくりにおいても環境配慮が徹底されていて、使用した木材はすべて高知県産。伐採・製材・加工・搬入を半径20km圏内で完結させ、運送によるCO₂排出量を最小限とした。さらに、プロジェクトに関わるのは、地元のデザイナーや大工、林業従事者ら。地域一体となって、林業やモノづくりを盛り上げる狙いもある。
泊まってみて驚くのは、エネルギーが限られていても十分に快適なこと。むしろ、電気や水を大切にすることで、自分や自然と静かに向き合う、瞑想にも似た豊かな時間を過ごすことができる。
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24.Forestry Worker人手不足のこの時代に林業従事者が増加中!?
林業の従事者数は、かつて減少傾向が続いていたが、近年は横ばいで推移している。2020年には約4万4000人が林業に携わっていた。そのなかでも長野県は、林業従事者が5年連続で増加し、事業体の数も増えている。
長野県は県土の約8割を森林が占める“森林県”。人工林の多くは植栽から年月が経過し、木材として利用するのにちょうどよい時期を迎えている。住宅や公共施設などの建材(合板)となる長野県産カラマツの需要も高まっているため、長野県では2023年から林業を新しく始める人への支援金制度を導入。就業前のサポートから就職・定着まで、体系的な支援を行っている。その結果、他産業からの転職者や、県外からの移住者も増加した。
県の担当者は「人手はまだ十分とは言えないが、支援を続けることで担い手を増やしていきたい」と語る。林業の従事者を増やすことで、もっと森林資源を循環的に活用することを目指す。森林の若返りと県産材の利用促進、さらに健康や教育、観光など、森林の多面的な利用を進めていく。
25.Land-Based Aquaculture海に負荷をかけない“陸上養殖”という試み
水産資源は今、枯渇状態にある。海面養殖が拡大しているが、養殖魚のフンや餌による環境への影響が問題視されることも。そこで注目を集めているのが、陸で魚を育てる“陸上養殖”だ。
スタートアップ企業の「FRDジャパン」は、最低限の換水率で水を循環させながら養殖をする、閉鎖循環式陸上養殖のシステムを開発。地球温暖化によって海水温の上昇も養殖業の課題のひとつとなっているが、室内ならば水温や水質、餌などを緻密に管理でき、年間を通して安定的に新鮮な魚を届けることができる。
千葉県生まれのサーモンの名は「おかそだち」。抗生物質不使用の安心・安全、かつ美味しいサーモンを提供する。すでに一般流通しており、味も好評。2027年に出荷数を拡大する予定だ。
FRD Japan
frd-j.com
26.Convenience Store地域の木材でつくる新しいコンビニのかたち
2024年、セブン-イレブンは福岡県福岡市に次世代の木造店舗「福岡ももち店」をオープンさせた。次世代の環境配慮型店舗として設計され、建物の構造体や内外装に、福岡市産の木材を中心とした国産材を使用。太陽光パネルや蓄電池を備え、エネルギー効率の高い店舗運営を実現している。
従来の軽量鉄骨工法による標準的な店舗と比べると、建築および解体時に発生するCO₂排出量を約15%削減できる見込み。また、地域の木材を積極的に活用することで、森の再生や林業の活性化にも貢献。木を使うことが新たな木の循環を生み出し、結果的にCO₂吸収量を増やすことにつながる。この取り組みは、店づくりを通じて地域資源の価値を高め、環境負荷の少ない未来の街づくりを目指すセブン-イレブンの新たな挑戦。木の温もりを感じる店舗は、環境や地域に寄り添う存在になるだろう。
セブン-イレブン・ジャパン
sustainability.sej.co.jp/news/000483/
27.Educational Game専門用語も学べる、飛驒生まれの林業ボードゲーム!
森づくりの奥深さを遊びながら体感できるボードゲーム『フォレストバランスゲーム』。プレイヤーはそれぞれ森のオーナーとなり、林業にまつわるさまざまな営みを戦略的に行っていく。
チェーンソーやバックホーといった機材を揃え、山の中に道をつくったり、間伐作業によって森を整備したり。ときには、自然災害や動物被害などに直面することも。「切り捨て間伐」「列状間伐」といった、大人も学びになるような専門用語も登場する。
つくったのは、国産材の主要産地である岐阜県高山市の「飛騨五木」。地域の木材資源を活かしながら、林業から建築、地域での木育事業まで幅広く展開している会社だ。「ふるさとの森について知ってほしい」という思いを込め、2年かけて開発したという。
林業の難しさは、環境を守りながら収益を上げる点にある。その課題をゲームを通して楽しみながら理解することができると、学校や地域の木育教材としても注目されている。
FOREST BALANCE GAME
forestbalancegame.com
28.Innovative Aquaculture海の生態系を守る、一代限りの養殖魚
東京海洋大学発の水産スタートアップ「さかなドリーム」は養殖業の新しいかたちに挑んでいる。代表作の「夢あじ」は、希少魚のカイワリとマアジ(金アジ)を掛け合わせた夢の新品種。上質な脂ノリと旨みが楽しめる。
また、環境保全の観点からは、繁殖能力を持たない一代限りの養殖魚であることも重要。養殖の現場では、網から逃げ出す養殖魚が天然魚と交わることで生態系へ影響を与えてしまうことが問題視されてきたが、そうした課題を解決する狙いがある。国内天然魚の漁獲高が落ち込む今、安定した食料供給は急務で、おいしさを追求しながら、生物多様性にも配慮した取り組みは、これからの養殖業が進む道を示している。
さかなドリーム
sakana-dream.com
OCEAN RESOURCES
過剰な漁獲や海洋汚染、地球温暖化、世界的な魚食の広がりなどが影響して、魚介類や海藻類をはじめとする海洋資源は世界で枯渇状態にある。日本の漁業・養殖業生産量は1984年の1282万tをピークに減少し、2024年にはピーク時の1/3以下の363万tに*。原因のひとつが海水温の上昇で、各地で魚が北上したり、川へ遡上するサケが減少するなどの変化が起きている。魚だけでなく、昆布など海藻類の収穫量も大きく減少している状況だ。必要なのは、科学的根拠に基づいた漁獲枠の設定。海には高い回復力があるので、適切な資源管理体制が整えば、かつての豊かさを取り戻すことも今なら間に合うともいわれている。日本の食文化を継承するためにも、持続可能な漁業のあり方が求められている。
*農林水産省「令和6年 漁業・養殖業生産統計」
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Illustration:Aki Hirano Text:Saki Miyahara , Yuka Uchida Edit:Yuka Uchida
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