新NISAの成長投資枠への投資で、高配当株・増配株には根強い人気がある。3月は日本株の多くが権利付最終日(この日までに株を買えば配当金が貰える)を迎える。本稿は、3月に権利付最終日を迎える「連続増配株」に注目。著書『 資産1.8億円+年間配当金(手取り)240万円を実現! おけいどん式「高配当株・増配株」ぐうたら投資大全 』(PHP研究所)が好評な桶井道(おけいどん)氏が解説する。桶井氏は高配当株および増配株への投資で資産を伸ばし、関連書籍を出版した実績がある。
新NISAで高配当株・増配株を持つ魅力
2026年で新NISA3年目となりますが、成長投資枠で高配当株や増配株への投資は一定の人気があります。特定口座等、通常の課税口座では、配当金に対して20.315%の課税があります。ところが、NISA口座では「永久に」配当金への課税がタダ、0円なのです。たとえば、年間100万円の配当金があったとして、課税口座なら約20万円が手元からなくなります。10年で約200万円、20年で約400万円もの課税…これが新NISAなら「永久に」タダになるのは大きいですね。
高配当であり、さらに増配もしていることが理想です。長期保有することで、自分の投資額(簿価)に対する配当利回りが上がるからです。長期保有によって、投資額に対する配当利回りが10%に達する銘柄もあります。100万円の投資額に対して、配当金が毎年10万円支払われることを意味します。新NISAならもちろん非課税です。大きいと思いませんか? これが高配当×増配+新NISAの魅力です。
1株投資も100円投資も選択肢になった
「配当金の魅力はわかる。けど、100株単位という単元株制度があって、まとまったお金を用意することがハードルだ」、そんな方もおられるでしょう。安心して下さい! 主要ネット証券では1株単位でも個別株の売買がしやすくなりました。さらには、個別株なのに「100円投資」も可能になりました。
・楽天証券
「かぶミニ」…1株投資に対応しています。
「かぶピタッ」…まるで投資信託のように100円以上、1円単位で金額を指定して国内株式が買える制度が誕生しました。ユーザーフレンドリーなことに、楽天ポイントも使えます。NISA口座限定ではありますが、面白いサービスだと思います。
・SBI証券
「S株」…1株投資に対応しています。
・マネックス証券
「ワン株」…1株投資に対応しています。
・三菱UFJ eスマート証券
「プチ株」…1株投資に対応しています。
通常の株式投資では、100株単位でまとまったお金が必要ですが、これら制度を利用すれば、少額投資が可能となります。とても便利になりました。私も、1株~数株投資をすることがあります。「ちょっと買って様子を見る」とか「個別株を積立のように買う」という投資法で便利に使わせて頂いています。
私の銘柄選択法 13個のポイント
高配当株および増配株の銘柄分析法を解説します。高配当株および増配株を探すときには、配当利回りや連続増配年数だけを見てはいけません。それを可能とする裏付けがあるかを確認しましょう。持続的に優良銘柄であり続けるかを見極めなければなりません。
(1)市場規模が拡大している業種
投資するときは、需要が増える業界を選ぶことが大切です。需要が増えるから、そこに供給を増やすことで企業は成長できます。増収(売上高が増える)して、増益(利益が増える)して、増配(配当金が増える)と、「3増株」になることができるのです。さらには、株価の上昇も期待できます。よって、市場規模の拡大を確認することが大切です。逆に、需要が減る分野では、いくらナンバーワン企業でも、成長は望めません。また、いくら好調でも他社に真似されやすい事業、もしくは代替商品が多くある事業をする企業も避けた方が良いでしょう。やがて価格競争が起こり、売上高が減少し、営業利益も減少し、利益率も下がり、配当の維持が厳しくなります。もちろん、そうなると株価も下がります。
(2)ナンバーワンかオンリーワン
投資するなら大型株(TOPIX構成銘柄で時価総額と流動性が高い上位100位)か、それに準ずる大企業が安心です。私は時価総額1兆円以上を目安にしています。経営状態が安定している企業が多く、株価のボラティリティが低く、流動性があり(投資する人が多い)売買しやすいからです。そして、業界ナンバーワン企業(もしくは2位まで)に投資しましょう。または、3位以下でもニッチに稼ぐオンリーワン企業を選びましょう。
(3)増収増益、そして営業利益率は
株価は企業価値に連動します。企業価値を簡単に言い換えますと、「どれだけ儲けているか。儲けを伸ばせるか」ということです。よって、増収増益、つまり売上高も営業利益も成長している企業を選びましょう。あわせて、一株当たり利益(EPS)が成長しているかも確認してください。売上高が増えて営業利益も増えているから、一株当たり利益も増えているから、株価が上昇して、配当も増やせる。極めてシンプルな答えですね。私は、増収+増益+増配の「3増株」が好きです。さらには、営業利益率も確認しましょう。営業利益率10%以上あれば合格ラインです。
(4)株価のトレンド確認
配当金をたくさん貰っても、それ以上に株価が下がっては意味がありません。結局損しているなんてことになったら本末転倒です。株価が上がる銘柄が理想です。もしくはボックス相場(株価が一定の範囲で上下すること)なら及第点です。5年チャートか10年チャートでトレンドを確認しましょう。ここで、下降線を描く銘柄には近づいてはいけません。長期トレンドは簡単には好転しません。
(5)配当性向
無理な配当をしていないか確認しましょう。配当性向(利益に占める配当金の割合)が概ね50%以下の銘柄を選んでください。逆に、低すぎても株主還元が十分ではなく、30%以上は欲しいところです。
(6)連続増配年数、増配率、減配の過去を確認
連続増配年数は何年か。もちろん長いほど優良です。増配率(配当の前年対比)も確認しましょう。これも高いほうが優良です。さらに、リーマンショックやコロナ禍など社会全体が悪かったときを除き、頻繁に減配していないかを確認してください。逆に、金融危機のときも増配していたら高く評価できます。ただし、業績連動型配当を方針とする企業の場合は、減配も仕方がありません。
(7)増資の過去がないか
増資(株式を新しく発行し資金を集めること)すると株価は下がります。株主の利益になりません。
(8)自社株買いの推移
自社株買いをすると株価は上がります。連続して自社株買いをするということは株主還元に熱心であるといえます。
(9)自己資本比率
低いほど借金が多いことを意味します。自己資本比率40~50%以上が目安です。
(10)ROEが高いか
ROEとは、自己資本利益率と訳されますが、簡単にいうと、経営効率が良いかどうかを表します。米国株に比べ日本株は低い傾向にありますが、2桁あれば優良、8%あれば合格ラインです。
(11)不祥事の過去がないか
一度不祥事を起こすと、連続する傾向があります。この間、不祥事を詫びたばかりなのに、「またか」と思ったこと、きっとおありでしょう。なかには、外部要因と思われるケースもありますが、企業の対応を見極めましょう。
(12)後継者問題がないか
カリスマ経営者の後継者問題はリスク要因です。経営者の年齢や健康状態、後継者育成について確認しましょう。
(13)PER推移
1~12で分析して優良銘柄を見つけたとしても、高値掴みに注意しなくてはいけません。PERが過去に比べて高くなっていないかを確認しましょう。私は予想PERを使って確認します。予想PERは、「現在の株価」を「1株当たり利益(予想)」で除すことで計算できます(予想PER=株価÷1株当たり利益(予想))。1株当たり利益(予想)は決算短信などで確認できます。証券会社(サイト)によっては、予想PERの推移をグラフで確認することが可能です。
以上13個のポイントをあげましたが、全項目をクリアする銘柄はなかなかありません。総合的に判断してご自身が納得できる銘柄を探してください。
この3月、注目の銘柄は…
それでは、日本の高配当株・増配株を紹介します。次に紹介する銘柄は3月27日(金)が権利付最終日(この日までに株を買えば配当金が貰える)です。
※推奨ではなく紹介です。( )内は銘柄コードです。
(1)三井住友フィナンシャルグループ(8316)
連続増配年数:5期(2025年度予想)
メガバンクグループ3社の一角です。海外で稼ぐ力を持っています。金利のある世界となった日本での業績成長にも期待します。経費率が相対的に低く、経営の効率性に一日の長があります。配当方針は「累進的配当方針および配当性向40%」とする旨を公表しています。連続増配年数は2025年度で5期(予想)と長くはありませんが、減配しないことは評価できます。予想配当利回り(3月6日現在、以下同様)は、2.90%です。
(2)三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)
連続増配年数:5期(2025年度予想)
国内最大の総合金融グループです。邦銀随一の海外拠点網を有します。銀行に偏らない収益源と海外収益比率の高さが特長です。配当方針は、配当性向を40%程度とし、利益成長を通じた1株当たり配当金の安定的・持続的な増加を基本方針とする旨を公表しています。連続増配年数は、三井住友FGと同じく5期(予定)と長くはありませんが、16期にわたり減配していない実績には安心感があります。予想配当利回りは、2.68%です。
(3)三井住友トラストグループ(8309)
連続増配年数:5期(2025年度予想)
国内最大級の信託銀行グループです。金利のある世界に移行して利益成長が期待できる「銀行業務」、そして、金利に左右されにくい安定した収益源となる「信託業務(個人や企業の財産を受託して管理・運用するもの)」をしています。また、証券代行業務を、上場企業の約4割から受託しています。投資信託の資産を管理する業務も行っています。配当方針は、累進配当の実施および配当性向40%以上を目安とすることを掲げています。連続増配年数は、5期(予想)と長くはありませんが、減配しないことは評価できます。予想配当利回りは、3.28%です。
(4)グンゼ(3002)
連続増配年数:5期(2025年度予想)
肌着やストッキングなどアパレル製品が有名ですが、機能ソリューション事業(食品包装やトイレタリー向けなどのプラスチック、半導体製造用フィルター資材ほか)、メディカル事業なども有します。利益の多くを機能ソリューション事業が稼ぎます。2025年5月に株主還元の拡大を発表して、株価が一気に上昇しました。配当方針はDOE(株主資本配当率)4%以上を目安としています。予想配当利回りは、4.80%です。
(5)味の素(2802)
連続増配年数:6期連続増配(2025年度予想)
うまみ調味料「味の素」が有名です。アミノ酸のはたらきに徹底的にこだわり、成長してきました。調味料・食品事業、冷凍食品事業、ヘルスケア事業などを有します。ICT(情報通信技術)分野では、半導体関連の商品(味の素ビルドアップフィルム)も製造しています。現在は売上高でも利益でも調味料・食品事業が多くを占めますが、2030年に向けヘルスケアやICT分野などの成長を目指すとしています。累進配当政策を導入しています。予想配当利回りは、1.06%です。
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連続増配株を長期保有すれば、投資額(簿価)に対する配当利回りが高くなりますので、投資先として魅力的です。高配当株は、下落相場が訪れても、配当金が心の支えとなりますので安心感があり、かつ(すべての高配当株がそうではありませんが)比較的株価がディフェンシブであることもメリットです。3月の権利付最終日を前に、日本の高配当株・増配株に注目してみてはいかがでしょうか。繰り返しになりますが、新NISAであれば、配当金が「永久に」非課税であることも大きな魅力といえるでしょう。
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