日本一美味しい「吉野家」は東京・有楽町店で間違いない――。先月末、X上でにわかにこんな話題が盛り上がった。チェーン店は「どの店も同じ味、クオリティです」と一様に主張する。しかし、人や環境が変われば、自ずと味に違いは出てくるはずだ。
実は、吉野家有楽町店だけではなく、他のチェーン店にも「この店だけ異常に美味しい」「他よりレベルが高い」といった噂が絶えない店がある。徹底検証してみた。
【前編記事】『「吉野家有楽町店だけじゃない」外食チェーン《他店よりウマい》店舗を徹底検証…マクドナルド、天下一品は』よりつづく。
「つゆが別格」と言われる富士そばの店
あえてマニュアルから外れることで人気を集めるチェーン店がある。立ち食いそば・うどんチェーン、名代 富士そばの三光町店だ。
新宿の明治通りと靖国通りの交差点にある同店舗。ブログ『富士そば原理主義』を運営し、年間200杯富士そばを食すというライターの名嘉山直哉氏は「つゆが別格」と断言する。
「そもそも富士そばは、レシピは画一化されていますが、店舗ごとにアレンジしたり、独自メニューの開発が推奨される、自由な社風が特徴です。三光町店のそばつゆは、他店よりマイルドな風味のなかに、カツオメインの出汁が利き、盛り・かけ共にそばの美味しさが際立っています。店主に聞いたところ、意図的に出汁感を強めているそうです」
チェーン店といえど、現場の作り手次第で味は変わってくる。時として、個人店顔負けの「職人」がいる店も。
餃子界のレジェンドが愛した王将はここに
中華チェーン餃子の王将は、支店独自のメニューがあるなどの理由で、店舗ごとに固定ファンが付くほど。そんな彼らが一同に「餃子の『焼き』の技術では日本一」と謳うのが荻窪駅西口店だ。
同店に週4回は通うという常連客はこう明かす。
「メニューには記載されていませんが、王将では餃子を注文するとき、『よく焼き』『うす焼き』『両面焼き』と、通常とは異なる焼き方を指定できます。その注文方法を初めて行ったのが、自身も餃子職人で“餃子界のレジェンド”と呼ばれるパラダイス山元氏。
そんな山元氏が常連として通う店が、この荻窪駅西口店なんです。レジェンドの注文に応じる流れで、担当スタッフの焼きの技術が磨かれ、王将ファンの間で『聖地』と呼ばれるまでに至っています」
実際に同店で3種の焼き方を試してみると、「よく焼き」はカリカリとした食感が強まり、「うす焼き」は餡の風味がダイレクトに伝わる。そして「両面焼き」は嚙むごとに食感が変わるなど、異なる味わいが楽しめた。開店からわずか10分で満席になる様からも、焼きの技術に惚れた客の多さがうかがい知れる。
海外テイストのココイチ、高級な牛角とは
客の間では、いつもと同じ味という安心感でチェーン店を選ぶ人がいる一方、個人店と同様、自分の気に入った店舗を選ぶ人も少なくないようだ。それを企業側も消費者ニーズの多様化・細分化と捉え、チェーン店でありながら個性を打ち出そう、という動きが増えつつある。
たとえば、カレーハウスCoCo壱番屋では、’22年に「海外ココイチの逆輸入」をコンセプトに海外メニューを提供する「CURRY HOUSE CoCo ICHIBANYA WORLD」、通称ココイチワールドとして京橋エドグラン店をオープンした。
株式会社壱番屋の広報によれば、「カレーソースは、他店舗がポークカレーをベースにしたものに対し、ナッツ類やチーズでコクを出した海外専用のものを、ライスもターメリックを利かせたスパイスライスを用いています」と、ここでしか味わえないカレーが楽しめるようだ。
また、焼き肉チェーン、牛角の成城学園前店は店名・外観こそ他店と差異はないが、実は全国で唯一、サーロインやシャトーブリアンを提供するなど、高級路線を狙う。
「牛肉以外にも、クッパや冷麺のスープは、店舗で毎日、削り節と日高昆布から出汁を取るなど、他店よりもこだわりを強調しています」(株式会社レインズインターナショナル広報)
自分の好みの味を求めて、各地の店舗を回る。そんなチェーン店の楽しみ方を味わってみてはいかがか。
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