芸能人と一般人の決定的な違い
「芸能人の肌はなぜあんなに美しいのか」
私はこれまで、編集者として普通の人よりはやや多めに、アイドルや女優と呼ばれる人々に接する機会があった。
圧倒的な「美」を見せつけてくる彼女たちに、私は可能な限りこう尋ねてきた。差し支えなければ、美容法を教えてください——。返ってくる答えは、大体こうだ。
「ファンには内緒だけど、月イチのレーザーはマスト」
「韓国に行くたび、こっそり糸リフトしてます」
「実は3ヵ月に一度、顔全体と唇にヒアルロン入れて、ボトックスも打ってます」
……まあみんな、きっちり「やっている」のである。最近は、「人に見られる仕事だから」と、シミや毛穴の治療を定期的に行っているユーチューバーも珍しくない。そう考えると、芸能人が「定期的に何かを施す」のは、至極当たり前の話なのだ。
そのうえで、芸能人と一般人の決定的な違いとは何か。私なりに整理した結論は、二つある。
一つ目は「髪の毛」である。どれほど肌が綺麗でも、髪が荒れているとすべてが台無しになる。芸能人の完成度は、「髪の管理能力」にかなり依存しているのだ。
そして二つ目が「体重」である。食事制限は日常茶飯事。そこに運動やストレッチが組み合わさり、「太らない努力」が半ば職業倫理のように組み込まれている。
飲み会の席でご一緒しても、彼女たちの食事量は基本的にとてもお上品だ。夜が更ける頃には、ピーナッツ1粒を1時間かけて食べているのではないかというペースに至っている。
「20日間の断食修行」を実践したら…
ここで私が思い出すのが、38歳の時に行った「20日間の断食修行」である。
断食とは、消化器官を休ませ、体内の老廃物の排出を促し、デトックス効果を最大化する、いわば人体の大掃除である。
スピリチュアルな文脈においては、不要な物質を体外へ手放すことで魂の振動数が高まり、「1時間睡眠で常人の3倍働けるようになった」とか、「超人的な記憶力が手に入った」とか、「内なる声=直感にアクセスしやすくなる」などと語られてきた。
ブッダは数週間から数ヵ月、イエスやモーセも40日間の断食と祈りを行ったとされている。ならば私も、そのちょうど半分の20日間をやれば、細胞レベルで生まれ変わり、「半分・神」くらいには到達できるのではないかと考えたのだ。
私は気合を入れて「水だけを摂取する」断食を実践し、ごくたまに梅干しだけつまんだ。しかし、恥ずかしいのだが、8日目くらいから大好きな焼酎を許可してしまい、10日を過ぎた頃から「人からもらった飴はOK」という謎ルールが追加され、15日目くらいには「飴はOK」に変更された。しんどかったのである。
「自分史上最高の美」を手に入れた
結論から言うと、20日間はやりすぎで、絶対におすすめしない。途中までは確かに、人生最大級の巨大うんこが排出されるなど、わかりやすいデトックス効果を実感していた。だが最終的には、肌も髪も肉体もボロボロ。終盤には幻覚が見え始め、思考能力も著しく低下。神になるどころか、人間から遠ざかっていった。
しかし——である。純粋に水と梅干しだけの断食2日目から5日目あたりに、「自分史上最高の美」が訪れたのも事実なのだ。
これは嘘でも誇張でもない。美容医療を受けたときより、他人からの反応も圧倒的に大きかった。誰に会っても、「す、す、すごく綺麗になりましたね……」と、言われたのである。
肌の第一印象もまるで違った。色むらが消え、毛穴やシミが、体感的には一気に3分の1ほどに減ったかのような錯覚に陥った。体も顔も全体的にシュッとし、ほんのりと「骨格」が自己主張を始め、不思議と健康的な雰囲気までまとい始めた。
髪のコンディションも絶好調で、うねりは改善し、ストレートアイロンの所要時間は半分以下。あの数日間だけは、人生でいちばん「仕上がっている自分」だった。
だから私は今、医師の指導のもと無理のない範囲で行う断食は、美容医療以上の即効性を発揮する可能性が高いと本気で思っている。
……もっとも、食事という娯楽があまりにも楽しすぎて、結局、私は続かなかった。そこが、仕事として節制できる芸能人と私の、そしてたぶん、多くの一般人との決定的な違いなのだと思う。
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「週刊現代」2026年3月2日号より