「イラン戦争」が与える影響
米国とイスラエルが2月28日にイラン各地を標的にした共同軍事作戦を開始した。3月1日にはイラン国営メディアが軍事作戦により、最高指導者アリ・ハメネイ氏が死去したと発表した。
イラン側も攻撃を受けてから、ほぼ即時でヨルダンやクウェートなど中東各地に駐留する米軍基地への報復攻撃を実施。国内外のメディアがイランと米国・イスラエルが全面戦争に突入するリスクを報じる事態となっている(※2026年3月2日時点)。
米国とイスラエルによるイランへの攻撃は中国にも衝撃を与えた。
安価な原油の調達先であり、中東地域における「一帯一路」の中核的な役割を担うイランに対する影響力を喪失する危険性が高まったからだ。
米国による中国の権益侵害はこれだけではない。
1月2日の米軍の攻撃のせいで、中南米地域でイランと同様の役目を果たしていたベネズエラに対する中国の支配力は一気に低下してしまった。
トランプ米大統領は3月31日から中国を訪問し、習近平国家主席と会談する予定だ。昨年末の貿易交渉で中国はレアアースの輸出規制を米国に突きつけ優位な立場を勝ち取ったが、次回の首脳会談ではそうはいかないだろう。
国内経済も一向に改善する兆しがみえない。
ショッピングモールは閑散
今年の春節は史上最長だったが、中国政府が見込んでいた特需は期待外れに終わった。
中国政府は24日、「春節に伴う国内観光収入は8034億元(約18兆円)で過去最高となった」と発表したが、1日の1人当たりの消費額は約150元と前年比1割減だ。
春節では例年、ショッピングモールなどはすし詰め状態になっていたが、今年は様子が一変し、閑散とした光景が広がっていたとの報道がある。
特に悲惨だったのが、習氏が10年前に直接建設を指揮した雄安新区だ。北京市から1時間の距離にある雄安新区は「中国版シリコンバレーになる」と大きな話題を呼んだ。
日本円にして14兆円規模の資金が投じられたとされるが、多くの建物や商業施設が未完成、あるいは空室が目立ち今やゴーストタウンだ。習氏の面目は丸つぶれだ。
映画市場も振るわなかった。今年の春節映画のチケット価格が過去5年で最低水準にまで下がったが、期間中の興行収入は昨年(95億元)を大きく下回る58億元だった。
「収入がない人はもちろん、お金を持っている人まで財布の紐を固く締め、消費を控えている」との声が聞こえてくるほどだ。
春節明けの状況はさらに悪化している感がある。だが、不況の元凶である不動産市場への政府のテコ入れ策は小粒なものばかりだ。
不十分すぎる対策
中国の金融の中心地である上海市は25日、「住宅購入規制を緩和する」と発表した。上海戸籍を持たない人でも社会保険料または個人所得税を1年間納めれば、市内の住宅を購入できるようになるというのが主な内容だ。従来は3年間の納付期間が必要だった。
長期化する不動産不況に歯止めをかけることが狙いだが、この程度の措置で住宅市場が回復するとは到底思えない。
後編記事『消えぬ中国の台湾進攻リスク…経済悪化で国民生活はボロボロなのに軍の私物化を進める習近平の思惑』で見ていくように国民は貧しくなるばかりだが、中国政府は民間ではなく国有企業を優先する方針を取るようだ。そればかりか、習近平は人民解放軍幹部の粛清を皮切りに、軍の私物化を進めている。