2022年あたりから始まった円安はいまだ続く。そういえば先日、20年ほど前に自分へのごほうびとして買った海外メゾンのハンドバッグが、今では信じられないほどの値段になっていることを知り、「今だったら絶対に買えない…」と痛感もした。米不足・高騰のニュースは連日続いたし、5個入りのパンはいつの間にか4個になって、クッキーはひとまわり小さくなっていた。“ステルス値上げ”も身近に感じるようになった今、趣味・嗜好品を我慢するだけでもつらいのに、食料品や日用品の値上がりはもっと深刻だ。
物価高が続く限り、いくら収入が上がったとしても、物価がそれ以上に上がっているのだから、実質の賃金は低下しているということに。生活水準はいつまで経っても上がらない…。
さらにクリスマスや年末年始の準備に帰省、お年玉など何かと出費が増える季節。財布の紐をいつも以上に引き締めざるを得ない。そこで家計のどの支出を抑えようかと考えた時、家計の大きな割合を占める「食費」が浮かび上がってくる。
しかし、安さだけを重視したメニューばかりでは、この華やかな時期に少し味気なさも感じるし、栄養面も偏ってしまう…。
節約しつつ、美味しいごはんを諦めたくない――
そんな今の時代にぴったりな一冊が、管理栄養士のもあいかすみさんによる節約レシピ本『管理栄養士が本気で考えた!300円でとびきりおいしい 満足ごはん』だ。
この本には、栄養バランス、味、見た目のすべてにこだわった307品のおかずが掲載されている。しかもそれらすべてが1人分300円以下というのだから驚きだ。
物価高で財布の紐をギュッとかたくしつつも、「美味しいごはん」を叶えてくれる心強い一冊だ。
今回はもあいさんによるワンポイントアドバイス付きで、年末年始におすすめレシピを4回にわたって紹介する。第1弾はクリスマスや年末年始のパーティーにおすすめの「手羽元のトマト煮込み」。1人分わずか242円、しかも調理時間20分ほどでごちそうメニューが完成。しかも、包丁もまな板も使わない神レシピ! 懐にもお腹にもやさしいごちそうは、きっと食卓を笑顔で満たしてくれるはず。
【手羽元のトマト煮込み】
調理時間:20分
費用:242円
◾️材料(2人分)◾️
鶏手羽元…6本
【A】※事前に混ぜ合わせておく
・ホールトマト缶…200g
・おろしにんにく…小さじ½
・ケチャップ…大さじ1
・洋風スープの素、砂糖…各小さじ1
・水…100ml
塩、こしょう…各少々
サラダ油…小さじ1
◾️作り方◾️
1 手羽元は塩、こしょうをふる。
2 フライパンに油を熱し、手羽元をときどき転がしながら焼く。全体に焼き色がついたら【A】を加え、弱火で15分煮る。
3 汁けが半分くらいになったら器に盛り、好みでパセリをふる。
エネルギー:440kcal タンパク質:21.6g 炭水化物:5.0g 脂質:38.1g
※値段、栄養価は1人分の数字です。
手羽元は先に焼く
著者であるもあいさんに、作る上でのポイントを伺った。
「ポイントは手羽元を先に焼いておくこと。旨みをとじ込められるので、煮込み時間が短くてもコクが出ます。
また、ホールトマトにケチャップを加えることで旨みがよりアップし、少ない調味料で済む上に、失敗する可能性も減ります。洋風スープの素は少量でも十分味わい深くなるため、さらに調味料の節約に。
また、あえて汁気を少し残しておくと、パンにもご飯にも合う万能な仕上がりになりますよ。
手羽元はボリューム感もありコスパが良い食材です。また、ホールのトマト缶は価格が安定していますし、旨みも強い。保存期間も長いので、特売などがあればまとめ買いがおすすめです」
【もあいかすみ】
管理栄養士。1991年11月9日生まれ。10代のころ、ひどい貧血に悩んだことで、食べることの大切さを実感するようになり、栄養系の大学を卒業後、食品メーカーに勤務。全国チェーンのレストランや量販店など、幅広い業態のメニュー開発を手がける。その後、食品領域の広告プランナーを経て管理栄養士の資格を生かし、料理家研究家として独立。働きながら自炊した日々の経験と、毎日のご飯作りに取り入れられる簡単で美味しいレシピがInstagramで話題になり、フォロワーは108万人に。著書に『MOAI’s KITCHEN #OL仕事めし がんばらなくてもできる おいしい! すぐレシピ』がある。