心を掴む「書き出し」の引力
「なんなんだ、この一文は……」
何気なく手に取った書籍の書き出しにガツンと頭を殴られたような衝撃を受けた経験はありませか?
本の冒頭、読者が最初に触れるその数行は、まさに作品の顔。作者が知恵を絞り、悩み抜き、これ以上ないという覚悟で送り出した渾身の一撃でもあります。
【総力特集】この書き出しがすごい! は、そんな強烈なインパクトを持つ「書き出し」に注目。日々、言葉と格闘する講談社の編集者たちが、「一瞬で心を掴まれた」「思わず唸った」あるいは「ぶっ飛びすぎて目を疑った」珠玉の書き出しを、熱い推薦コメントとともにお届けします。
第28回の書き出しはこちら
大学などで英国の階級の話をする時によく使うのが、二〇〇七年に英国の保守系の全国紙『デイリー・テレグラフ』に掲載された「階級クイズ」である。
こちらは新井潤美さん著『英語の階級 執事は「上流の英語」を話すのか?』の冒頭の書き出しです。
【英語の階級 執事は「上流の英語」を話すのか?】「上流」の人は‘Pardon?’を使わない?! ワーキング・クラスからアッパー・クラスまで、話し言葉から見えてくる英国階級文化の世界!カズオ・イシグロ『日の名残り』の執事スティーヴンズ、『ダウントン・アビー』の執事カーソン、そしてP・G・ウッドハウスが生み出した名従僕ジーヴズ。英国の映画や小説には教養にあふれ洗練された英語を話す執事がよく登場する。あの言葉遣いや話し方は、「上流の」英語なのか――?‘Pardon’や‘toilet’といった日本人にも身近な英単語は、実は英国では階級の指標になってしまう言葉づかいだった!
《推薦コメント》
「階級クイズ」って何? 続いて紹介される設問は「狐狩りにはどのように参加しますか?」 もうこの時点で頭の中は「?」だらけ。回答の選択肢を見ればさらに混乱すること間違いなし。知っているようで知らない英語の世界への招待状です。(編集オ)
唯一無二の「書き出し」の世界。この一文から始まる「続き」が気になったら、ぜひ本書を読み進めてみてください!