年収500万円、33歳の会社員・財前さん(仮名=以下同)は、3年連続で年150万円〜200万円、総額にして550万円を海外旅行に投じた。1泊10万円の5つ星ホテルに3泊、1杯5千円のカクテルを5杯、1回5千円の観覧車に4回搭乗……なぜ年収500万円でそこまで豪遊できるのか?その圧倒的な経済力を支える、意外な生活実態とは。自身も40カ国を旅した旅行好きライター、佐藤大輝氏が明らかにする。
3年間で550万円を旅費に…子供部屋おじさん経済力
社会で働き始めてから13年間以上、実家2階の子供部屋から職場に通っている33歳・男性会社員の財前さん(仮名、以下同)の趣味は、稼いだお金を惜しみなく使いまくる海外旅行……。30歳のときに大学の友人から「エジプトに行こうぜ!」と誘われたのをキッカケに、15年ぶりに国外旅行に出かけ、ここで海外旅行の楽しさにドハマリ。以降、なんと3年連続で150万円以上、海外旅行のためにお金を使った。
「2023年は200万円くらい、2024年も同じくらい海外旅行にお金を使いました。今年は150万円くらいで収まりそうなので、節約できたと思っています。円安も物価高も、実家で暮らしている僕には関係ありません。年収は500万円ほど頂いているので、普通に暮らしていれば半年で100万円くらい預金できます。1年あれば200万円くらい貯まるので、人生は1回限りですし、お金を使って楽しめる内に楽しもうかなって」
財前さんの豪快な経済力を支えているのは、実家暮らしだからこその生活費の安さだ。家賃も食費も水道光熱費もゼロ円。両親からは過去に一度も「家に3万円を入れてほしい」といった提案がないため、親にお金を渡した回数もゼロ……。社会人1年目の頃には300万円を超えるトヨタの新車を購入。20代の頃は“夜の街”へ繰り出し、本能のままに豪遊を繰り返していたそうだが、年齢を重ねて多少の変化もあったようだ。
「夜の街は本当に興味がなくなりましたね。今は半年に一度行くか行かないかという感じです。年を取るごとに“好奇心”が減退しているように感じてて、ここには恐さを感じてます。海外旅行もそうです。昔は“行きたい国が多すぎてどうしよう”といった感じでしたが、最近は“毎年シンガポールをリピートすればいいかな?”といった価値観に変化しつつあります。ただし今でもアルコール依存症みたいな感じで、自分のことを“海外旅行依存症”だと思うことも多々ありますが……」
1杯5千円のお酒、1回5千円の観覧車を何度もリピート
2023年はシンガポール、タイ、韓国、ドバイ、ハワイの5カ国へ渡航し、さらに“おまけ”でシンガポールをリピート。2024年はグアム、韓国、イタリア、シンガポールへ渡航。2025年は香港とワシントンへ渡航した財前さん。いったい現地でどのようなお金の使い方をしているのか……。
「シンガポールではマーライオンの目の前にある、マリーナベイサンズという5つ星ホテルに宿泊しました。地上57階建ての高層ビルで、1泊10万円くらいするんですけど、ここに1人で3泊しました。屋上のプールではシンガポールスリングと呼ばれる、1杯5千円くらいする赤色のカクテルを飲みました。このドリンクが僕はお気に入りで、市内観光では5杯くらい飲んだ日もありましたね」
お昼のランチは蟹とビールで3万円。朝食は宿泊プランに付いていたけれど「まあ、いっか」と思って食べなかった財前氏。小腹がすいた際は5つ星ホテルに入っている飲食店で、コーヒーとクロワッサンとサンドイッチ、約8千円の軽食を注文した。シンガポールの物価は全般的に高い(2025年のビックマック指数は、日本480円。シンガポール798円)とはいえ、その中でも“贅沢の極み”といったサービスを求める姿勢は、とても同じ日本人とは思えない。
「シンガポールでは1回5千円ほどの料金を支払い、同じ観覧車に計4回乗ったことがあります。何度もリピートした理由は、朝と昼と夕と夜で、違う景色が見えると思ったからです。ちなみに出口で待っていたスタッフから“記念に写真はどうですか?”と言われたんですけど、これも買ってしまいました。写真は1万5千円くらいだったと記憶してます」
豪快な渡航体験を語ってくれた財前さん。話を聞いていくと、さらに驚くべき事実が判明した。なんと財前さんはシンガポール旅行の後、日本に1日だけ帰国し、そのまま南国リゾート・ハワイに向かったのだ。いったいその理由はなぜなのか。
日本でトランジット?1週間で100万円を使ったワケ
「ハワイでは5万円くらい出せば、飛行機操縦を体験できるツアーに参加できます。どうしても、これをやってみたかった……。とはいえシンガポール旅行も外したくない。だったら両方の国に行けばいいやと思ったんです。けれどいい感じの飛行機がなかったので、仕方なく日本に帰国しました。日本人の僕が日本でトランジット、乗り継ぎをすることになるなんて、なんだか笑えますよね。ちなみにハワイでは悪天候(強風)のため、飛行機操縦を体験できませんでした」
ハワイでは3万円もするステーキを食べたそうだ。シンガポール&ハワイの渡航費用は、なんと100万円を超えた。わずか1週間弱の滞在で、これほどの大金を短期間で使うことができる精神力……。浪費ではないかという疑念はある。羨ましさも正直ある。その一方で、財前さんには他の人にはないセンスや、才能があるような気もしなくもない……。
「ハワイ旅行は楽しかったですが、一番楽しみにしていた飛行機操縦ができなかったことが、やっぱり自分の中で心残りで……。なので半年後、リベンジ渡航としてグアムに行き、そこで飛行機操縦を体験してきました。空からの景色は最高でしたよ。飛行機操縦は“意外といけるな”というのが一番の感想です。運転免許を持っている人なら、たぶん誰でも操縦できるんじゃないかな? ただしグアムは観光地としてちょっと寂しい感じの場所だったので、旅行先に選ぶならハワイの方が断然いいと思いますね」
グアムでは大型ライフルを使った狙撃も体験。弾の値段は、なんと1発5千円。ハンドガンの体験費用と合わせて、全部で3万5千円ほど使った。
お金に関しての後悔は1ミリもないと胸を張る財前さん。だがしかし、最近はお金に関して深刻な悩みもあるようだ。その悩みについては後編記事〈33歳年収500万円「子供部屋おじさん」の「衝撃の貯金額」…海外旅行に3年間で550万円を費やした経済力に異変が〉でお伝えする。