間もなく自民党が発表
自民党に4人の国会議員が加わり、少数与党を脱却することが「現代ビジネス」の取材でわかった。
高市早苗首相は、少数与党で政権安定に苦しんでいる。「台湾有事」発言によって野党からの追及が激しくなっている中で、11月26日には与野党の党首討論が行われた。
高市首相は、アメリカが中国から攻撃を受けた場合、日本は「集団自衛権を行使できる存立危機事態になりうる」と答弁し、「台湾有事」を抱える中国を刺激している。中国は日本への渡航制限、輸出入規制など圧力をかけ、高市首相の発言撤回を要求している。
26日の党首討論で、立憲民主党の野田佳彦代表が「国益を損なう独断専行の発言。政府や自民党と十分に調整していないもの」と問うと、高市首相は「聞かれたことに、言える範囲で答弁したもの」と答え、これまでの対応を変えなかった。
自民党の閣僚経験者のひとりは、「何かあるたびに、こうして大事になってしまう原因は、自民党が少数与党であることだ」と分析する。だが、ここに光明が見えてきたという。
4人は確定、最大6人
この閣僚経験者がこう続ける。
「近く無所属の4〜5人の衆議院議員が自民党会派に加わり、過半数に達する。これで少数与党を脱することができるはずだ。この4,5人は自民党無所属会派の議員として活動をしてもらうことになる」
電撃的な移籍劇は、古屋圭司選対委員長が、極秘裏に動いてまとめあげたものだという。
「現代ビジネス」がつかんだ移籍代議士は、維新を離党した会派「改革の会」の斉木武志氏(北陸比例)、守島正(大阪2区)、阿部弘樹(九州比例)の3人に加えて、有志の会の北神圭朗氏(京都4区)の4人とみられる。いずれも無所属として自民党と会派を組み、与党の一員として活動する見通しだ。
4人とも10月21日の首班指名で、高市首相に投じたメンバーだ。
さらに、高市首相に投じた議員のうち1人か2人も加わる可能性があるという情報も流れている。
自民党の衆議院は196議席、連立を組む維新の34議席をあわせて230議席。過半数の233まで、残り3議席だった。
その場しのぎの「数合わせ」か
「今回、4人が加われば、自民党が衆議院で過半数に達する。高市首相は、臨時国会で成立を目指す補正予算、年明けの通常国会での本予算のいずれにも、過半数をもって臨むことができる。今回新たに加わる議席の意味は、非常に大きいものだ」(前出・閣僚経験者)
もっとも、目論見通りの政権安定となるのだろうか。
自民党が維新を連立に引き入れた際、維新の代表でもある大阪府の吉村洋文知事は「1丁目1番地が、定数削減」と述べ、議員定数の削減を臨時国会で実現するように求めていた。
議員定数削減は、自民党内での反発が強かったことから、維新は「実現」ではなく、法案の「提出」とハードルを下げている。しかし、自民党からは「提出できるのかなというのが本音。比例で50議席も削減になれば、一気に失業議員が続出だ」と本音が聞こえる。
また、維新を離党した3人が、与党として再び維新と組むことも批判材料になりかねない。今回自民に加わる4人の小選挙区では、自民党の現職や候補者が控えており、その調整も不安材料だ。
「まずは、過半数を確保して、そこから噴き出す問題はその時に対応すればいい」
と前出の閣僚経験者はいうが、いかにも「その場しのぎ」の「数合わせ」としか思えない。高市首相は、モザイクのような過半数与党をどう、運営するのだろうか? 早ければ明日11月28日にも自民党が発表予定だという。