心を掴む「書き出し」の引力
「なんなんだ、この一文は……」
何気なく手に取った書籍の書き出しにガツンと頭を殴られたような衝撃を受けた経験はありませか?
本の冒頭、読者が最初に触れるその数行は、まさに作品の顔。作者が知恵を絞り、悩み抜き、これ以上ないという覚悟で送り出した渾身の一撃でもあります。
【総力特集】この書き出しがすごい! は、そんな強烈なインパクトを持つ「書き出し」に注目。日々、言葉と格闘する講談社の編集者たちが、「一瞬で心を掴まれた」「思わず唸った」あるいは「ぶっ飛びすぎて目を疑った」珠玉の書き出しを、熱い推薦コメントとともにお届けします。
第18回の書き出しはこちら
今は夏。
彼女はそれを思い出す。
こちらは森博嗣さん著『すべてがFになる』の冒頭の書き出しです。
【すべてがFになる】孤島のハイテク研究所で、少女時代から完全に隔離された生活を送る天才工学博士・真賀田四季(まがたしき)。彼女の部屋からウエディング・ドレスをまとい両手両足を切断された死体が現れた。偶然、島を訪れていたN大助教授・犀川創平(さいかわそうへい)と女子学生・西之園萌絵(にしのそのもえ)が、この不可思議な密室殺人に挑む。新しい形の本格ミステリィ登場。
《推薦コメント》
もはや詩。季節と記憶を結びつける簡潔な文で、時間の流れと心理の奥行きを暗示。静かな緊張感が漂い、彼女は誰なのか、何を思い出すのか。五七五の問いが読者の想像力を刺激する。(編集カ)
唯一無二の「書き出し」の世界。この一文から始まる「続き」が気になったら、ぜひ本書を読み進めてみてください!