天皇、皇后両陛下の長女・愛子さまは11月17日、ラオスに向けて民間機で羽田空港を出発された。日本とラオスの外交関係樹立70周年に当たり、ラオス政府から招待を受けてのご訪問で、愛子さまが外国を公式訪問されるのは今回が初めてとなるが、訪問前から周囲の注目度は凄まじい。
ラオス側が愛子さまを「国家元首に準じる接遇を行う」と明らかにし、訪問・視察先が約20ヵ所以上に上ることはその一例だ。日本からの報道陣も宮内庁担当記者の多くが同行取材に応募するなど、両陛下の外国訪問に匹敵する取材体制で臨む。現地では早くも「美しい日本のプリンセスを見たい」(駐日ラオス大使館)と“愛子さまフィーバー”の様相を呈しているという。
異例の待遇
愛子さまは11月17日、羽田空港を出発し、タイ・バンコク経由で同日夜、ラオスの首都・ビエンチャンに入られた。トンルン・シースリット国家主席への表敬訪問、パーニー・ヤートートゥ国家副主席主催晩餐(ばんさん)会などに臨まれる。
訪問4日目の20日には、高速鉄道で首都から約300km離れた北部の古都ルアンパバーンに移動し、日本の青年海外協力隊やNPO法人が支援している施設に足を運び、22日に帰国される。
天皇の娘や孫に当たる内親王の外国訪問は、上皇ご夫妻の長女・黒田清子さん(紀宮さま)や、秋篠宮家の長女・小室眞子さん、次女の佳子さまに次いで4人目。黒田さんは、2005年に結婚するまでの間、外国訪問(私的旅行含む)を14回、延べ20ヵ国以上訪問。佳子さまも、これまでオーストリア・ハンガリー、ペルー、ギリシャ、ブラジルなどを訪問され、招待国の大統領への表敬訪問はされているが、相手国首脳による晩さん会までは行われていない。
「『国家元首に準じる接遇』は、極めて異例です。国家副主席主催の晩さん会は、天皇、皇后両陛下の訪問に匹敵する待遇で、愛子さまのご訪問の関心の高さには、長年にわたってラオスを支援してきた日本への感謝と期待感の表れ、そして日本の皇室への尊崇の念がある」
皇室の国際親善に詳しい宮内庁関係者は、ラオスの厚遇ぶりについて、冷静にこう分析する。
なぜラオスだったのか?
天皇家の内親王の外国訪問は、一般的に国賓として来日した外国の元首などから直接、間接問わず、ご招待の依頼が寄せられることがきっかけで実現することが多い。こうして外国から招待や依頼などがあると、宮内庁は、陛下に相談しつつ、内親王の訪問国や時期などについて外務省と検討し、最終的には政府の方針として決定する。
愛子さまの初の国際デビュー先については、なじみの深い王室のある欧州になるのではないか、との観測も流れたが、ラオスに決まった。
天皇、皇后両陛下が即位後に最初に公式訪問する国も、皇室とゆかりの深い英国が本命視されていたが、両陛下を招待していたエリザベス女王が亡くなったことなどもあり、アジアのインドネシアに落ち着いた。結果的に愛子さまの国際デビューも、欧米と並んで重視されるアジアの国から選ばれた。
ラオスはインドシナ半島に位置する社会主義国で、中国、ベトナム、カンボジア、タイ、ミャンマーなどに囲まれた、東南アジアで唯一の内陸国である。日本はラオスにとって最大の援助国、ODA(政府開発援助)供与国の1つになっており、2012年には当時皇太子だった天皇陛下もラオスを公式訪問した。
外交関係樹立70周年を迎えた今年5月には、トンルン国家主席が来日し、天皇陛下と会見した。トンルン国家主席は「日本との外交関係70周年」や「青年海外協力隊派遣60周年」などに触れた上で、このときすでに決定していた愛子さまの訪問について「訪問は大変光栄」と歓迎の意を表明。これに対し陛下は、「愛子も訪問を大変楽しみにしている」と応じられた。
今回の公式訪問では、6日間の滞在中に20ヵ所に及ぶ訪問・視察先が設定されている。宮内記者会に所属する新聞・通信社、テレビ局などのメディアの大半も同行取材するなど、愛子さまの動向を詳報する臨戦体制で臨む。
前出の宮内庁関係者も「視察先の多さもさることながら、日本との関係が深い施設が多いのが注目です。それだけ愛子さまに見ていただきたい施設が盛りだくさんだということで、愛子さまへの関心の高さがうかがえます」と指摘する。
皇室取材歴の長いメディア関係者も「天皇、皇后両陛下以外の外国訪問で、これだけ多くの同行記者が付くのは、記憶にない。愛子さまの初の国際デビューということに加え、天皇家の長女として世界から注目されている証(あか)しではないか」と話す。
注目の訪問先
愛子さまの視察先として注目されているのは、(1)不発弾の啓発施設「コープ・ビジターセンター」、(2)日本の青年海外協力隊員が活動を支援している「武道センター」や国立博物館、(3)24時間救急体制の「ラオ・フレンズ小児病院」などだ。
「コープ・ビジターセンター」は、ビエンチャンの国立リハビリテーションセンターの敷地内にあり、ベトナム戦争の時に米軍によって大量に投下されたクラスター爆弾によって今なお、多くの人が命を落としたり、手足を失ったといった悲劇を伝えている。
なぜ、ラオスにクラスター爆弾が多いのか、といえば、ベトナム戦争の時、米軍は隣国のラオスが北ベトナムの補給路となっていたとみて、このルートを遮断するためクラスター爆弾を大量投下したからだ。日本はODAなどを通じて不発弾の除去にも協力しており、19日に愛子さまの視察が予定されている。
また、同日、愛子さまは、日本の無償資金協力で建設され、青年海外協力隊員が柔道を教えた「武道センター」を訪問し、稽古に励む子どもたちとの交流を予定している。青年海外協力隊が最初に派遣されたのがラオスで、今年は「青年海外協力隊派遣60周年」に当たる。愛子さまは、武道センターのほかに、隊員が学芸員を務める国立博物館の視察も20日に予定している。
同じく20日に視察を予定している「ラオ・フレンズ小児病院」は、日本の認定NPO法人「フレンズ・ウィズアウト・ア・ボーダーJAPAN」が創設した小児専門の救急病院で、この10年間で年間3万人、延べ30万人近い子供たちを治療してきた。日本とラオスが長年にわたって培ってきた医療協力の現場であり、愛子さまは救急小児医療の重要性と医療支援を通じて育まれた両国の信頼関係を再確認する。
事前学習もしっかりと
ラオス側の用意周到な準備に対し、愛子さまもラオス訪問に向けての事前学習と入念な準備を進めていた。
側近らによると、陛下は皇太子時代の2012年にラオスを訪問した際に撮影した写真をアルバムに収めている。愛子さまが訪問する施設とも重なることから、陛下は世界の子供たちの貧困問題や日本の国際貢献の実情に詳しい雅子さまを交え、折に触れて訪問の経験などを踏まえてラオスに関するレクチャーをされていたという。
10月31日には、ラオスの近現代史が専門である東京外国語大学の菊池陽子教授から約60分間にわたってご進講を受けられた。ご進講には両陛下も同席。「愛子さまに完璧な準備をさせて安心してラオスに送り出したいという両陛下の思いが伝わってきた」(菊池教授)と周囲も驚く準備状況だ。
穏やかで親しみやすく、笑顔を大切にする国民性を有するラオス。18日夜に催される晩さん会で、愛子さまはどのようなスピーチをされるのだろうか。世界が注目する瞬間が刻一刻と近づいている。
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