「こんなに楽しい高校地学、もっと多くの人に学んでほしい!」と想いを共にした地球科学の第一人者とカリスマ地学講師が、「誰もが読んで楽しめる教科書を」と作った『みんなの高校地学 おもしろくて役に立つ、地球と宇宙の全常識』。
今回は、本書の内容から、誰もが知っておきたい知識を問う「高校地学クイズ」を出題!
あなたは解けますか?
Q.太陽の表面に見られる、約11年周期で増減する黒い領域を何と呼ぶでしょう?
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正解は…
気になる答えはこちら!
正解は「黒点」でした。答えられましたか?
今回は、出題元となった書籍『みんなの高校地学 おもしろくて役に立つ、地球と宇宙の全常識』から、特別に問題の内容を解説している箇所を抜粋して掲載します。
さらに詳しく知りたい方は、こちらもぜひご覧ください。
※下記の文章は、『みんなの高校地学 おもしろくて役に立つ、地球と宇宙の全常識』の内容を抜粋して再編集したものです。
太陽の概観
太陽は、半径が約70万km(地球の約109倍)あり、質量が地球の約33万倍(太陽系全体の約99.8%)ある天体です。太陽の表面温度は約5800ケルビン(K)であり、太陽表面にある厚さ約500kmの気体の層からは光が出ています。この層を光球といいます。なお、ケルビンとは分子の運動が止まる絶対零度を基準とした熱力学温度(絶対温度)の単位で、私たちが普段使う温度(セルシウス温度)の0℃が273Kに相当します。望遠鏡で白紙に投影した太陽の像は、中心部が明るく、周辺部が暗く見えます。この現象を周辺減光といいます。
太陽の大気
光球の外側は、光球からの光が強いため、一般の望遠鏡では観測できませんが、皆既日食のときに月が光球を隠すことによって観測することができます。皆既日食は、太陽と地球のあいだに月が入り込むことによって起こります。
皆既日食のとき、光球の外側には、彩層と呼ばれるピンク色の薄い大気の層が見えます。彩層の厚さは約2000kmあります。さらに、彩層の外側には、コロナと呼ばれる真珠色の希薄な大気が広がっています。コロナの平均的な温度は約200万Kと高温であるため、X線が放射されています。
彩層からコロナにかけて、赤い炎のように見えるガスが浮かんでいることがあります。このガスをプロミネンス(紅炎)といいます。また、光球にはフィラメント(暗条)と呼ばれる暗く長いすじが見られることがあります。プロミネンスとフィラメントは同じものであり、背景の明るさの違いによって見え方が異なっているのです。夜の灯りは明るく見えますが、昼の灯りはほとんど見えません。これと同じように、宇宙を背景に見たやや明るいガスは見えますが、明るい光球を背景に見たやや明るいガスは暗く見えるのです。
太陽の表面
光球には黒点と呼ばれる小さい黒い点が見られることがあります。黒点が黒く見えるのは、黒点からの光が周囲の光球からの光よりも弱いからです。一般に温度が高いほど放射される光は強くなります。黒点の温度は約4000~4500Kであり、周囲の光球の温度(約5800K)よりも低いため、黒点は黒く見えます。
光球には白斑と呼ばれる明るい部分が現れることもあります。白斑の温度は約6500Kであり、周囲の光球の温度よりも高いため、白斑は明るく見えます。
太陽表面では、高温のガスが上昇し、低温のガスが沈んでいくような対流が起こっています。この対流によってできた渦が、細かい粒状の模様として太陽表面全体に見えます。これを粒状斑といいます。粒状斑の明るく見える部分では高温のガスが上昇し、暗く見える部分では低温のガスが太陽内部に沈んでいます。
太陽の自転
太陽表面の黒点を毎日観測すると、黒点は太陽表面を東から西へ移動していくように見えます。これは黒点が移動する方向に、太陽が自転しているからです。
地球の自転周期は約1日(23時間56分4秒)であり、日本もアメリカもどこでも同じ時間で1周します。ところが、太陽の黒点は、低緯度では約27日で1周し、高緯度では約30日で1周します。この黒点の動きから、太陽は場所によって自転周期が異なることがわかりますが、これは太陽がガスでできているために起こる現象です。地球の表面は岩石で覆われていますので一体となって自転しますが、太陽表面はガスであるため、部分的に速く回ることもできます。
太陽活動
黒点の数は、1600年ごろから観測が行われており、約11年周期で増減することがわかっています。また、黒点の数が多いときには、太陽からの放射エネルギーが0.1%程度増加することが観測されています。黒点の数が多いときは太陽活動が活発になり、太陽活動極大期といいます。一方、黒点の数が少ないときは、太陽活動極小期といいます。17世紀後半の黒点の数が少ない時期はマウンダー極小期と呼ばれ、ヨーロッパでは寒冷な気候が続きました。